PICK UP

汚濁水に直接投与、攪拌するだけで浄水できる凝集剤「エコマックス」。天然の鉱物が主成分で環境負荷が低く低コストアイサン工業株式会社

2019.04.25

SHARE
  • facebook
  • twitter

「エコマックス」外装。対応する業種に合わせて約50種ほどある

学ぶべきポイント

  • 「水」をリサイクルできる資源と考え、環境負荷の低い商品開発を行う
  • 利用者の作業工程を短縮、コストカットを実現

工業生産に使用された後の工業排水には、公害のもととなる有害な物質が含まれている場合が多く、そのまま捨てることは出来ない。国が水質汚濁防止法・下水道法で排出基準(総理府令で定めるとしているが,都道府県は条例でよりきびしい基準を定めることもできる)を設け、河川や公共下水道などへの排水を制限しており、工業生産に従事している事業者は排出基準に合うように適切な排水処理をしなければならない。
アイサン工業株式会社は、環境に配慮した天然鉱物を原料とした排水用の凝集剤「エコマックス」を製造し販売している。排水の内容物に合わせ約50種類あり、多くの排水に対応が可能だ。

アイサン工業株式会社は排水処理装置の設計、製造、販売をメインに1970年創業した。2000年から、将来の地球環境や循環型社会を見据え「水はリサイクルする資源」と凝集剤の開発に着手し、「エコマックス」が誕生した。同社取締役の高柳氏によると、環境に配慮することを一番に考え、主成分の天然の鉱石と環境負荷の少ない成分を約10種類配合し、有害物質の種類に合わせて配合を変えたため、完成するには時間を要したという。
「エコマックス」を排水の中に投入すると、汚れの素である物質がフロック(塊)になる。その原理は物質がマイナスイオンを持っており、「エコマックス」の主成分、天然の鉱石はプラスイオンを持つため、混合するとお互いに密着し中和され、塊になるしくみだ。加えて鉱石には細かな穴があり、臭いを吸着することもできる。塊を取り除きさえすれば、生態系にも影響のないレベルまで水質を浄化することができる。
水質の浄化の度合いを検査するものに「ヒメダカ試験」がある。「ヒメダカ」は観賞魚で、クロメダカに比べて環境に弱く飼育が難しい魚なので浄水の検査に使われる。「エコマックス」を使用した浄水に入れ96時間後も生存率は100パーセントだった。安全性の高さにより、2017年、国土交通省NETIS (ネティス)新技術情報提供システム(民間企業などにより開発された新技術を公共工事において積極的に活用していく目的のためのデータ)に登録された。

「エコマックス」で汚濁水が浄化される原理

「エコマックス」は環境負荷が少ないだけでなく、作業工程が少なくて済むことが特徴だ。従来、汚濁水の浄化は3~4工程で行われていることが多い。
凝集剤を使用する場合、表的な工程は以下の4つだ。
①凝集剤に合わせて汚濁水のpH管理
②凝集剤を水に溶かす(粉状のものを使用する場合)
③投入攪拌
④pH処理
「エコマックス」は中性の性質のため、pH管理は必要ない。汚濁水に添加し攪拌すると短時間で化学物質がフロック化する。それを除去するだけの工程で済む。施設設備も従来よりも必要なく、工程にかかる人も少なくて対応できる。

「エコマックス」は、排水の汚れの種類に対応できるように粉、液体合計50種ほどある。代表的な用途は、各種工場排水、塗装排水(水性、油性、UV、ウレタンなど)、建築土木排水、水産・畜産・食品工場などの有機排水、工場などの路面カッター水、コアボーリング排水、廃食用油を原料としたバイオ燃料製造工程で排出される排水など、多岐にわたる。実際に排水浄化を行うには、どの「エコマックス」が最適か選定する必要があるため排水サンプルをもとに同社にてビーカー試験を行い、凝集剤を選定してくれる。

今後の展開を同社の高柳氏に伺うと、まだ凝集できない物質があるので、さらに対応できる種類を増やしていく予定だという。「環境に負担が少なく、循環する水をつくる」という企業スローガンを貫く思いは強い。さらに「排水を浄化した後に出るフロックを脱水後、コンクリート等に再利用できるような仕組みやそのための薬剤を開発していきたい」と資源リサイクルへの熱意を語ってくれた。

取材日:2019年2月22日

 

企業情報

アイサン工業株式会社

当社は“水はリサイクルする地下資源”との観点から調査研究して、地球環境全般に配慮した製品の開発を積極的に推進しています。ビジネス面においても、地球温暖化問題や循環型社会の構築に積極的に寄与するため、環境関連技術の開発と実用化に取り組み、次世代への環境創造を推進していきます。

企業情報ページはこちら

SNSでシェアしよう

関連記事