BreakThrough 企業インタビュー

PC2万種類以上の多品種生産を業界最短3日でデリバリー可能な生産方式の秘密NECレノボ

2016.08.08

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マスコミ初公開のネジ締め多関節ロボット

かつてPCを本格的に普及させた主役がIBM PCといわれるが、レノボ(Lenovo)社は、2004年12月、そのIBMからPC部門を買収した。このニュースは当時、年の瀬に業界を騒然とさせた。その後、2011年7月にはレノボ、NEC出資の合弁会社が誕生、100%子会社のレノボ・ジャパンとNECのPC事業であるNECパーソナルコンピュータとの事業統合が行われ、2015年2月にはThinkPadの国内生産がNECパーソナルコンピュータ米沢事業場で受注生産されることとなったのである。

いま米沢事業場では、トヨタ生産方式採用及びITフル活用による革新などで、2万種類にも及ぶPC多品種生産を実現、それも業界最短3日のデリバリーを実現している。

画期的な生産をつかさどる二つの革新

米沢事業場におけるNECパーソナルコンピュータのPCは、CPUをはじめOSの種類、メモリ容量ほか仕様を顧客が選択してオーダする受注生産が行われている。日本全国からのオーダをもとに、部材手配や最終組立て、検査、箱詰めなどのプロセスを経て顧客に出荷する。1日最大1万台の生産能力をもち、受注モデルの種類は実に2万以上にも及ぶ。顧客へは、業界最短の3日でデリバリーしている。こうした多品種、業界最短のデリバリーを可能としたのは、”生産革新”と”IT革新”で構築されていったシステムにほかならない。

「生産革新」はトヨタ生産方式の導入に起因するところ大である。トヨタ生産方式の基本的な考え方は、”ジャスト・イン・タイム”、すなわち”必要なものを、必要なときに、必要なだけつくる”だ。したがってムダは出さない。それまで生産ラインは、ライン生産方式で、組立てラインや検査ラインなどに多くの担当者があたっていたが、これをセル生産方式にしたのである。そして組立や検査、梱包までに3~5名の担当者があたる少数精鋭型にした。つまり1台ずつ匠の人たちの手が組み立てていくのだ。2万という多品種受注やサイクルの早い新製品発表に応えるには、セル生産方式にみるこの職人技が力強い武器となる。

次にセル生産方式を支える「IT革新」。米沢事業場ではRFID駆使の統合生産システムが全体管理をする。”かんばん”でサプライヤから組立て部材を受け入れると、部材ストアから必要なものをピッキングして生産ラインに供給する。たとえば、いつの時点でピックすべきか、不足すればいつ供給すべきか、まできちんと管理されている。このように、生産ライン上の生産工程管理や品質トレーサビリティなどがRFID統合生産システムで管理され、生産の効率的なスピードアップが図られているのである。

これら二つの革新のほか、様々なアイデアが現場担当者から提案され、生産に適合すると判断されれば、迅速に作業に生かされている。たとえば、スキルに基づいたラインにおけるリレー作業の工夫や電動ドライバ揺れ防止機構、部品移動棚ほかのアイデアが生産性向上に生かされるのである。また品質改善に対しても、USBに保護キャップをつけてキズ防止をしたり、いわゆるポカをおこさないためのネジ締めテンプレートやネジ締め確認システムの採用など、現場からは、これまでに数多くのアイデアが日常作業に逐次いかされている。たとえば、かなり前の伝票が相変わらず使われているので、現場の声に基づき改正すると、効果てきめんにコスト削減に結びついたというエピソードもあるほどだ。

異なる高低差でも可能な新型ネジ締めロボット

マスコミ初公開というネジ締め多関節ロボットが最近、生産ラインにお目見えした。ロボットはノートPCをつくる工程でも使われていたが、それは同じ高さのネジ締めにしか使えなかった。デスクトップPCの工程では、ネジ締めの高さが異なる。新しいロボットは、高低差におけるネジ締めの位置決めやネジ打ちをこなしてくれるので、この分、作業担当者の労力を省くことができ作業効率もぐんと向上する、という。米沢事業場では、この多関節ロボットのノウハウを生かして他の分野でも利活用していきたい意向だ。

PCで築き上げた経験・知識をサーバにも水平展開

レノボ・ジャパンではこのほど、米沢事業場で「ファクトリー・インテグレーション・サービス」(FIS)の受注を開始した。このサービスは、顧客からx86サーバのオーダが入ると海外で生産し、米沢事業場で外観検査をはじめ内蔵オプションの実装、初期稼働確認、OSやソフトのインストール、外装検査ほか多数の作業によるインテグレーションやカスタマイズを施して、顧客に届けるというものだ。目下、月400~500台こなし、さらに台数アップをめざしている。まさに、PCで築きあげた経験や知識が、いまサーバ分野にも生かせる新ステージを迎えるときがきた。

NEC米沢工場の紹介映像

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