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産官学のネットワークを武器に、
得意分野を生かした協業で、東北発のイノベーションを全国へ東杜シーテック株式会社

2018.03.12

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金型の温度変化をリアルタイムに可視化する
ワイヤレスセンサー「TWINDS-T(ツインズ-ティー)」
生産現場のIoT化が、熟練工の経験や勘を超え、歩留まりの改善に貢献する

学ぶべきポイント

  • 産官学のネットワークから新ビジネスの芽を見出す
  • 他社のリソースをフル活用して得意分野に注力
  • 実績のない異分野にも取り組む積極性

半導体、自動車、画像処理などの分野でソフトウェア開発を手がける東社シーテックは、2017年秋、ワイヤレス温度センサー「TWINDS-T」をリリースした。ダイカストマシンや射出成形機など、金型内部の温度変化をリアルタイムに測定することができるのが特徴だ。最大8カ所の熱電対を0.1秒ごとという細やかな周期でモニタリング。1カ所あたりのコストは従来比の10分の1程度と低価格を実現した。JIS規格IP67に則った防水・防塵性を備え、過酷な製造環境下での温度測定にも威力を発揮する。FCC/CEにも準拠しており、海外の生産拠点でも使用可能だ。

温度センサーを用いない場合、金型の温度変化を知るには熟練技術者の経験と勘に頼るしかない。いわば職人気質の世界だ。TWINDS-Tを導入すれば、8カ所すべての温度変化を別室のモニタでリアルタイムにグラフ表示できる。内部温度を可視化することで、根拠とデータに基づいた「良品判別ライン」の指標設定が可能。その結果、「チョコ停」後の捨てショットを減らし、歩留まりを改善できるのがTWINDS-Tの強みだ。さらに、モニタリングしたデータはCSVファイルに保存でき、さまざまな解析にも応用できる。

TWINDS-T開発のきっかけとなったのが、仙台で産学連携活動を進める「マシンインテリジェンス研究会(MITOOS)」。東北発による事業基盤の醸成を目指すコンソーシアム組織だ。この研究会を介し、某自動車部品メーカーがリアルタイムの温度センサーを求めていると聞きつけた東社シーテックが名乗りを上げた形だ。

同社にとって金型業界は未知の世界。開発に着手した当初は、顧客の要望を具体化するために、異分野の専門用語を学ぶところから始まった。現場で困っていることや真のニーズを一つひとつ掘り起こし、それに応える形で徐々にTWINDS-Tの形が見えてきた。念入りなヒアリングをもとに開発されただけあって、顧客の生産現場では捨てショットを30%削減という成果が出ているという。

TWINDS-Tの製品化に当たっては、同じく仙台を拠点とする匠ソリューションズ株式会社とタッグを組んでいる。東社シーテックがソフトウェア開発を担い、匠ソリューションズ株式会社がハードウェアを担う。マシンインテリジェンス研究会で顔を合わせる旧知の仲で、TWINDS-T以外にも共同開発の経験があった。互いの強みを発揮することで、顧客満足を高める体制を築いている。

現在の顧客は東北だけでなく、関東から九州まで幅広い地域から引き合いがある。導入した顧客間で評判を呼び、徐々に知名度が上がっているところだ。自動車関連メーカーのほか、大学の研究機関への導入実績もある。

現状の取引先は、まだ国内の生産・研究拠点のみだが、アジアに工場のある企業を通して、海外進出を果たせればと見込んでいる。温度変化を熟練技術者の勘に頼らず、客観的なデータとして可視化できるTWINDS-Tであれば、言葉のハンディのある海外でも大きな威力を発揮できると期待している。

  • 従来の生産現場において、熟練技術者の経験と勘が「モノづくり大国」を支えてきたのは確かだろう。だが、いつまでもそればかりに頼っていては、スケールアップや海外への展開は難しいのではないか。熟練技術者が持つ「暗黙知」としての経験則を、誰もが共有できる「形式知」としてのデータに可視化することは、自社の技術・ノウハウを継承する意味でも、大きな価値となるはずだ。

企業情報

東杜シーテック株式会社

東杜シーテックは15周年を迎えました!TOHOKUでのモノ作りにこだわり、ソフトウェア開発や、お客様の目線によりそった課題解決の提案をしています。ベースとなる事業は、半導体・自動車・画像処理といった分野での開発ですが、大学や自治体、企業などとも積極的に連携し、自社製品を開発しています。

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