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「プラスチックのリサイクル材料」をバージン材と同等まで品質を高める。生産能力向上で、日本のリサイクル比率アップをけん引株式会社近江物産

2019.01.15

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プラスチックリサイクルのフロー

学ぶべきポイント

  • 使用済みプラスチックの粉砕材とペレットを生産し、リサイクルを推進する
  • 産学官連携で研究開発にも注力
  • 補助金を活用し、大型機械を新設。生産能力アップを目指す

株式会社近江物産は、1977年、プラスチックリサイクルの専門企業として設立された。
同社はプラスチックのリサイクル工程のうち、使用済みプラスチックから再生プラスチックの原料(ペレット)を作るところまでを担う。使用済みプラスチックを分別、粉砕、洗浄した粉砕材と、その粉砕材に各種添加物を均質にブレンドしたペレットの2種類が同社の製品で、年間約2万トンを生産する。

同社が最初に注目されたのは、1980年に確立した「印刷剥離」技術の開発だ。当時、飲料はビン詰が多く、プラスチックの飲料ケースに入れて運搬されていた。ケースには商品名や会社名などが印刷されていたが、ケースをリサイクルする際は、この印刷塗料が問題になっていた。ケースを粉砕しても印刷塗料が点々と残り、そのまま再利用すると品質低下が免れない。
そこで同社は、印刷面を削り取る機械を作った。すると、印刷塗料を含まない均質な粉砕材が生産できる。この開発によって、同社のリサイクル製品の品質は大きく進歩したのだ。

また、1985年から、バッテリーのリサイクル事業に本格参入した。以前から、非鉄精錬メーカーが主体となり、廃バッテリーを回収、鉛のリサイクルを行っていた。同社はこうした非鉄精錬メーカーとタッグを組み、回収したバッテリーのケースなどのプラスチック部分を粉砕し、ペレットにする工程を担当している。このペレットは、再びバッテリーケースに加工される。

こうしたマテリアルリサイクルは、大きく3つに分けられる。
①リサイクル材でほかの工業製品を作る「物性保持リサイクル」
②先のバッテリーケースのように、元と同じ商品を作る「自己循環リサイクル」
③未使用のバージン材と同等まで品質を高めて再資源化する「物性向上リサイクル」

同社では特に、「物性向上リサイクル」に力を注いでおり、「再生プラスチックは二級品」というイメージの払しょくを目指している。

そのため同社は、経済産業省の推進する3Rにおける「技術戦略ロードマップ」にそった技術開発を進めている。滋賀県工業技術センター、龍谷大学、金沢大学などと産学官連携で、2005年に材料研究室を設立し、多様な特徴を持つペレットを開発しているのだ。

さまざまなペレット。均質な状態で、再生プラスチックを作りやすい

たとえば、抗菌性を持つ「白金ナノ」という物質がある。これは歯ブラシやまな板などによく使われる素材だ。同社では再生プラスチックに、この白金ナノを混ぜ込み、最適な混合比率を探り、抗菌性を持つペレットを生産している。まさに、物性向上リサイクルのひとつで、すでに製品化の段階は完了。今後は、販売を強化していくという。

同社はこれまで、飲料メーカーや自動車、住宅設備の関連企業との取引が中心だった。だが、飲料はビン詰めから缶やペットボトルでの流通が主流となり、飲料用ケースは使用頻度が低くなっている。そのため、物性向上リサイクルの研究を進めて、自動車や住宅設備関連とのパートナーシップをもっと高めたいという。

同社代表取締役社長の芝原誠二氏は「日本の使用済みプラスチックの多くは、従来は、海外に輸出されていますが、日本国内で循環、再利用できれば、立派な資源になります。日本が資源大国になれるよう、弊社も貢献したい」と意気込む。 その第一歩として、同社は、経済産業省から「円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業費補助金」の認定を受け、2014年に約1億円を投じて「2軸押出機」を新設。生産能力の向上に取り組んでいる。

2軸押出機で生産能力アップを目指す

取材日:2018年12月18日

企業情報

株式会社近江物産/滋賀バイオマス株式会社

≪近江物産≫
プラスチックマテリアルのリサイクル技術で高品質で価値ある材料を提供します。再生プラスチック原料のご相談は、お任せください。

≪滋賀バイオマス≫
木くずと廃プラスチックを混合した新たなバイオコークス(PMBC)を製造発売。石炭コークスに匹敵する熱量を実現。化石燃料の代替でCO2削減に貢献します。

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