BreakThrough 企業インタビュー

驚異の熱伝導性を誇るグラファイトおよびグラファイト複合部材を開発株式会社サーモグラフィティクス

2020.04.21

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「株式会社サーモグラフィティクス」は、銅の4倍超、アルミの8倍超という驚異の熱伝導率を誇る人造グラファイト、およびグラファイト複合部材「コンポロイド」を開発したベンチャー企業です。IT、自動車をはじめ多彩な分野の次世代機器への展開が考えられるこの複合素材は、いかに生み出され、どのような可能性を持つのでしょうか。同社の代表取締役・竹馬克洋氏に話を聞きました。


5GやEVなど次世代技術を支える

科学技術の発展は、もはやコンピュータなくして考えられません。ただし、コンピュータが発展し、処理するデータ量が多くなるほど、そこに発生する熱をどう処理させるかという放熱の課題が浮上します。

「例えばPCやスマートフォンには、熱対策素材としてアルミや銅などが用いられています。数値が大きいほど熱が伝わりやすいことを示す熱伝導率(W/mk)は、アルミの約200W/mk、銅の約400W/mkに対し、当社の人造グラファイト※はダイヤモンドに匹敵する1700W/mkと高い熱伝導率を誇ります。しかも、1cm3あたりの重さは約2.2 gで、銅の約9 g、アルミの約2.7 gに比べ、軽量化にも適しています」

同社は、このグラファイトの優位性を生かしながら、金属やセラミックなど別の特性をもつ素材と独自の技術で接合した複合部材『コンポロイド』を開発しました。熱伝導性が高くて軽い、しかも条件によっては3000度の耐熱性を持ち、熱による破損も起こしにくい──。そんな特性を持つこの複合部材には、将来、どのような活躍が期待されているのでしょうか。

「5G時代には、基地局やサーバなどで今よりも高い放熱性を誇る素材が必要になるでしょう。またEV化により今や走る集積回路のようになった自動車にも、軽量小型の半導体放熱素材が不可欠。コンポロイドは、こうしたニーズに十分応えられる素材です」
※グラファイト(黒鉛)は、六角坂状結晶の層状物質で、単層のものはグラフェンと呼ぶ。グラフェンが同軸管状になったものはカーボンナノチューブ。

高熱伝導グラファイト製複合部材「コンポロイド」を使用した機械要素部品の例

天然黒鉛よりも均一性に優れた人造グラファイト

グラファイトの高熱伝導率を利用する研究は各所で進められていたものの、粉状のグラファイトを金属粉などに混ぜて生成するという従来の方法では、脆く、熱伝導率も低下するという課題がありました。

「そこで当社では、炭化水素ガスを高温環境で熱分解するCVD法※により、天然黒鉛よりも結晶の均一性に優れ、不純物がほとんどない板状の人造グラファイトに着目。この高熱伝導グラファイトの結晶構造、表面状態を制御した上で、金属など他の特性を持つ材料と接合するという方法にアプローチを変えました」

こうして生み出されたコンポロイドは、結晶の方向が揃っているため、「熱の動きを制御できる」という他の素材にはない優れた特性があります。

「熱の移動方向を限定することで、例えばチップの間隔を狭めても熱干渉を起こさない設計が可能になるなど、新たな価値が生まれる可能性があります」
※chemical vapor depositionの略で、さまざまな薄膜を生成するための蒸着法の一つ。

デジタルな時代だからこそアナログな関係を

金属などの接合部材や、両面・片面などの接合方式、熱伝導の方向、めっきの有無といったバリエーションを選択することができるコンポロイド。今後はどのような進化が考えられるのでしょうか。

「グラファイトの層の間に別の材料を入れることなどにも取り組んでいますが、金属やセラミックとは別の新たな素材との接合が基本線になるでしょう」

その素材を提供するなど、未来のパートナーになり得る企業に向け、最後にメッセージをいただきました。

「当社は基本的にどんなに大きな企業であっても直接やりとりをします。デジタルな時代だからこそ人と人のアナログな関係を築きたい。お互いに何がやりたいのかという夢の部分が一致する企業の担当者と組んで、ワクワクしながら仕事をしたいですね」


企業情報

株式会社サーモグラフィティクス

代表取締役・竹馬克洋(ちくば・かつひろ)

2009年設立。表面改質、異種接合の要素技術を活用し、放熱性向上を目的として熱拡散部材・熱放出部材の開発・製造・販売を行う。なかでも高熱伝導グラファイト複合部材「コンポロイド」は、国内外の航空宇宙分野をはじめさまざまな業界に活用が広がる。

企業情報ページはこちら

取材日:2020年2月17日

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