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環境にやさしく、“加熱”も“冷却”も可能。ペルチェ式電子クーラー、デジタル温度調節器ハヤシレピック株式会社

2018.11.08

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標準タイプの「ペルチェ式電子クーラーユニット」。顧客の要望に適した設計、開発を行っている

学ぶべきポイント

  • フロンなどの冷媒を使用せず、環境にやさしいクーラーを実現
  • 既存の技術を発展させ、より効率的・効果的な温度管理機能を追求
  • オーダーメードで一品物から制作することで、技術や設計ノウハウを確立。さらなる拡販を目指す

一般的に、クーラーや冷蔵庫などの温度の管理には、「冷媒(熱を運ぶ物質)」が使われている。「フロン」は、その代表と言える存在だ。ガスの一種でありながら、燃えにくく、化学的に安定しており、人体にも無害なフロンは、理想的な冷媒として、エアコンや冷蔵庫、冷蔵・冷凍ショーケースなどの幅広い用途に使われてきた。
フロンには、大きくわけてCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)の3種類がある。以前は、CFCやHCFCが使われていたが、最近は、HFCが使われることが多い。これは、80年代後半以降、CFCやHCFCによる、オゾン層の破壊が深刻な問題となったからだ。
その後、オゾン層を破壊しないHFCが普及しているが、いずれのフロンも強力な温室効果ガス(地球温暖化を促進する物質)であることには変わりがない。HFCの温暖化係数は、CO2(二酸化炭素)のおよそ2,000倍もあるという。

そんな中、フロンなどの冷媒を一切使用せず、“加熱”も“冷却”も可能な環境にやさしい冷却装置として注目されているのが、ハヤシレピック株式会社の手掛ける「ペルチェ式電子クーラー」だ。

ペルチェ式のクーラーは、電流により冷却・加熱、両方の温度制御を自由に行える半導体素子(ペルチェ素子)を用いている。このペルチェ素子に直流電流を流すことにより、素子の両面に温度差が発生し、一方では吸熱(冷却)、一方では発熱(放熱)が起こる。

電極を変えて、熱の流れの方向を変えれば、吸熱(冷却)と発熱(放熱)する面を反転させることも可能なのが、ペルチェ式電子クーラーの特長だ。同社のデジタル温度調節と組み合わせることにより、プレート上面が無負荷条件の場合、周辺温度が25度の時に、80℃まで2分、-16℃まで8分と、高速な温度到達速度をかなえた。

また、冷媒を使用したクーラーでは、冷媒漏れチェックなどの定期点検が必要になるが、ペルチェ式電子クーラーはその必要がない。その分、メンテナンスコストを抑えられるのが利点である。小型化、軽量化が可能なので、応用できる分野も広く、現在、同社の製品は、主に、バイオ・医療などの研究分野や検査分野などで活躍しているという。

「デジタル温度調節器」。クーラーと組み合わせて使うことで、短時間で設定温度に到達する

開発のきっかけは、今から30年以上前に、医療機器メーカーから、ペルチェ素子を用いたクーラーの設計を依頼されたことによる。新規性という意味では、ペルチェ式は特に目新しい技術ではない。ペルチェ効果(ペルチェ素子に電流を流すことによる吸熱・発熱効果)に関しては、200年以上前にすでに発見されており、60年ほど前には、実用的なものが開発されていた。

ただし、クーラーとして使用する場合、「冷却」する一方で生じる「熱」を、うまく排熱していく必要がある。排熱方式には、一般的に、ファンの送風で熱を逃がす「空冷式」と、水の循環によって冷却する「水冷式」の2種類があり、どちらの方法がより適しているのか、用途によって使い分けて設計している。排熱によって、いかに効率的な温度管理をするのかが、技術的にもっとも難しい側面だ。

「ペルチェ式電子クーラー」の冷却部分。産業機器、医療機器、分析機器等の冷却、加熱、温度管理に様々な分野で幅広く対応している

同社では、性能、サイズ、価格など、顧客の要望に応じた特注品のクーラーを1品物から、オーダーメードで設計している。一方で、年間1万台以上の生産能力を持ち合わせ、量産受注体制も整っている。組立ては全て国内の高い品質管理のもと行っているが、より価格を抑えての普及を実現するために、海外からの部材の仕入れなども視野に入れていきたいとしている。

今後は、医療分野での拡販を目指す一方で、既存の枠に捉われない、新しい分野での用途開発にも意欲的だ。研究開発型の試作品製作など、温度に関する製品や問題解決に寄与する新しいアイデアに協力していきたいとしている。

取材日:2018年10月10日

 

企業情報

ハヤシレピック株式会社

ハヤシレピック株式会社(旧林時計工業株式会社)は、昭和5年の創業以来時計製造で培った精密加工・組立技術を礎に発展してまいりました。多様化するお客様の要求に応えるために、変化の早いグローバルな時代だからこそ、製造・加工はもとより世界の優れた製品を見出し、メーカーとしての総合力を発揮してまいります。

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