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東日本大震災の被災地の声から生まれた超撥水するジャージ生地「MINO」株式会社カネマス

2019.10.15

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水への弱さを大幅に改善し、多様な機能を付加したジャージ生地「MINO」

製品名=「MINO(ミノ)」

水や液体汚れを強力に弾き、軽量かつ、通気性・伸縮性に優れる。

ニットなどの編み物は、伸縮性・通気性に優れる半面、水に弱い性質をもつ。この生地の柔らかさや伸縮性、通気性といった従来の長所は残しつつ、編み方を工夫しながら撥水加工を施すことによって、水への弱さを大幅に改善し、さらに多様な機能を付加したのが、株式会社カネマスが開発したジャージ生地「MINO」だ。小雨程度の雨水や液体汚れなどなら強力に弾くほか、素材はポリエステル100%であるため非常に軽量で価格面でも優位性があり、その上速乾性や保温性、UPF50+の機能も併せ持つという。

UPFは紫外線防御指標などと訳され、値が高いほうが防御効果も高い。なお50以上の値はすべて50+と表記される

日本の伝統的雨具「蓑(みの)」の構造が開発のヒントに

東日本大震災時に衣服が雨に濡れても洗濯ができないという困難に直面した被災者やボランティアの声が、この「MINO」の開発のきっかけになったという。日本の伝統的な雨具である「蓑」の雨が藁をつたって外に流れていく構造に着目し、それを繊維で再現するために空気の層を持つ立体的な形状に生地を編む独自の技術を確立。こうして編まれた生地に撥水加工を施す技術で特許を取得している。

「MINO」は現在までに、介護業界のレインウェアや農家向けの作業着、モータースポーツのチームウェアなどでの採用実績がある。同製品を使用した職員用・車椅子利用者用のレインウェアを試験的に導入した首都圏の介護施設では、「雨天時のデイサービスなどで傘をささずに安全な送迎サービスが実現できるようになった」「従来のカッパによる不快感が解消された」などの声が寄せられているという。

あらゆる業界に活用の可能性が広がる

今後は、介護業界でのさらなる利活用が期待されるとともに、より幅広い業界や製品への展開も視野に入れる。例えばペット業界における雨天時の散歩用ウェア、散歩用バック、急な荒天も考慮すべき旅行時のトラベルジャケット、雨や紫外線から赤ちゃんを守るベビーポンチョやベビーケープ、雨の日でもラウンドする人のためのゴルフウェアなど。「MINO」の活躍の舞台はありとあらゆる人の「日常」に潜んでいるだけに、展開の可能性は無限に広がる。

現状は生地のみの販売は行わず、要望をもとに自社工場で企画・縫製を行い、日本製のMINO製品に仕上げて提供するというスタイルを取っている。「さまざまな分野で商品化し、MINOというブランドを定着させたい」という株式会社カネマス。「MINO」の今後の展開に注目が集まる。

取材日:2019年7月1日

 

企業情報

株式会社カネマス

学校や一般向けスポーツウェアの製造に特化した1953年創業の企業。国内に自社工場を持つことによって、小ロット、多品種の注文についても短納期での対応を実現している。繊維の染色では、世界9ヵ国の特許を取得しており、2017年に特許を取得した「MINO」では「第6回渋沢栄一ビジネス大賞」のベンチャースピリット部門大賞をはじめ多数の賞を受賞。企業としては、翌18年に埼玉県の「彩の国認定工場」、経済産業省の「地域未来牽引企業」にそれぞれ認定されている。

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