BreakThrough 企業インタビュー

世界が注目する紙パウダーがもたらす素材革命株式会社環境経営総合研究所

2016.12.15

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MAPKAから作られた製品

  • 大量に廃棄される紙を粉末状にした「紙パウダー」と樹脂を混ぜ合わせてできる、環境負荷の少ない新素材が革命を起こす。

コンサルティングでの失敗から、自らリサイクル事業に取り組む

株式会社環境経営総合研究所は、大手損害保険会社のサラリーマンだった松下敬通氏(代表取締役)が、環境関連ベンチャーの支援と育成を目的として、1998年に設立したコンサルティング会社。最初の顧客は「おから」を使ってリサイクル事業を行おうとしていた会社だったが、その事業計画が実態の無い詐欺であったことが判明し、松下氏も大きな損害を受けてしまう。結果、手元に残ったのは担保として取得したおからから緩衝材を作る特許のみ。「簡単に信用してしまった。甘かった」と悔やんだ松下氏だったが、この技術を使ってリサイクル事業に乗り出すことを決意する。

コンサルティング業から一転、ゼロからものづくりの勉強を始めた松下氏だったが、すぐに水分量の多いおからは緩衝材の素材として不適切であることが分かる。代替の素材を探し回ったが、なかなか良いものが見つけられない。あきらめかけた時に、知り合いの産廃業者から製本所が廃棄した「粉末状の紙」が持ち込まれた。早速試してみると、十分な品質を持った緩衝材として加工できそうなことが分かり、同社は廃棄される紙を素材とした事業を進めていくことになる。

左から「紙パウダー」、「MAPKAペレット」

紙の粉末と樹脂を混ぜ合わせて新素材の開発に成功

製紙会社や印刷工場から大量に廃棄される製品に使用不可能な紙の端材(損紙)を、独自開発の粉砕技術によって25~50ミクロンの粉状にしたものが「紙パウダー」。これに工業用でんぷんとポリオレフィン系樹脂を混練し、発泡剤を使わずに水蒸気発泡させたものが「アースリパブリック」と呼ばれる緩衝材だ。材料の55%以上が天然素材であり、環境負荷物質を使用していないために焼却時の有害ガスの発生もゼロという特長を持つ。大手自動車メーカーが緩衝材として、大手ハウスメーカーが床用断熱材として採用している。

「MAPKA(Moldable Paper Kankyo)」は、紙パウダーにポリオレフィン系樹脂を混練してペレット状にした新素材。従来のプラスチック材料と同様に、射出、押出、シート、サーモフォーミングによる成形が可能で、低収縮・高剛性・耐熱性に優れる特長を持つ。可燃物として焼却しても有害ガスを出さず、プラスチック原料と比べてCO2排出量を約28%削減できる。食品用トレー、カップ、家電部品、櫛やブラシ、箸、文房具などプラスチック代替品として幅広い分野で使われている。

現在、環境経営総合研究所は、国内に4つ(札幌、茨城、千葉、岡山)、海外で2つ(アメリカ、韓国)の生産拠点を持ち、アースリパブリックやMAPKAの生産を行っている。

アースリパブリック

紙パウダーが果たすポストプラスチック時代の役割

紙パウダーは世界のどこにもない環境経営総合研究所のオリジナル技術。それに対し、国内では「東京都ベンチャー技術大賞 特別賞」(2013年)、「経済産業大臣認定グローバルニッチトップ企業100選」(2014年)、海外からは「アメリカ大統領諮問委員会 ゴールドアワード」(2011年)、「ローマ教皇ベネディクト16世授福」(2011年)など、数多くの賞が贈られている。2007年にEUが発効した「REACH規則」など、これから化学物質への規制が世界的に厳しくなると予測されている。プラスチックや発泡スチロールに代わる素材として、アースリパブリックやMAPKAへの注目がますます高まりつつあり、同社が果たす役割も大きくなっていくだろう。

松下氏は「今後は地域創世に貢献する意味で、バイオマス資源を地域で再利活用する事業を支援していきたい。ゆくゆくはそれをアースリパブリックやMAPKAに続く事業の柱にしたいと思います」と語った。

環境経営総合研究所の茨城工場
環境経営総合研究所のアメリカ(ミッドランド州)工場

企業情報

株式会社環境経営総合研究所

プラスチック製品と同様の成形が可能な環境成形材料である「新素材紙パウダー」や、プラスチック発泡体と比べ圧倒的な環境優位性を持つ「新素材紙発泡体」を開発製造する、環境・リサイクルのトータルサービス企業。

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