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SF映画さながらに、空中に映像やタッチパネルを映し出す「パリティミラー®」株式会社パリティ・イノベーションズ

2019.02.07

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パリティミラー®の模式図

学ぶべきポイント

  • 世界初、最新のナノテクノロジーを活かした光学素子「パリティミラー®」の開発
  • 裸眼で見られる浮き上がる映像を作り出す
  • センサーと連動し、空中タッチパネルに応用

何もない空間に映像が浮かび上がる。まるでSF映画のような光景が現実のものになっている。株式会社パリティ・イノベーションズの前川社長が作り出した「パリティミラー®」という樹脂成型の光学素子(レンズや鏡、プリズムのように光を曲げたり、反射させる機能をもつもの)を使うことで空間に映像を浮かび上がらせることが可能となった。しかも浮かんだ映像にセンサーをつけてスイッチのように操作することもできる。

株式会社パリティ・イノベーションズの前川社長は、2006年に在籍していた国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)にて、世界初の空中に映像を写しだす「パリティミラー®」を開発。その後、NICT発のベンチャー企業として2010年、同社を立ち上げた。
現在は主に空中ディスプレイに関する光学部品/システムの企画・開発・設計および産業財産権の取得・ライセンス事業を展開している。「パリティミラー®」の量産化や応用したシステムの試作、開発を行っている。

「パリティミラー®」は、下に置いた光源が、そのまま鏡に映すように面対称の位置にフルカラーでゆがみのない映像として浮かび上がるという。どのような仕組みなのか、同社の取締役開発部長、前田氏に伺った。

「パリティミラー®」は一見、プラスチックの薄い板のように見えるが、表面には極小サイズ(200μm)のマイクロミラー(鏡)が数十万個並んでいる。この並びは2面コーナーリフレクタアレイ(Dihedral Corner Reflector Array:DCRA)構造を特徴としている。具体的に説明するとプラスチック素材のマイクロミラーの2面が垂直になるように配置されたものだ。基本はミラーの反射の原理を使い、直交する2つの面で2回反射することで空中に像を映す仕組みとなっている。

これまでにもハーフミラー、透明スクリーンなどを使うことで空中映像を実現する技術はあった。それはあくまで「映像が空中に浮かんでいるように見せる」技術で、実際に浮かんでいるわけではなかった。「パリティミラー®」の違いは光の集合体による「実像」であることだ。

「パリティミラー®」による空中映像は一般的な鏡(平面鏡)で作られる鏡映像と同じで面対称位置に結像するが、鏡の向こう側にある「虚像」ではなく、こちら側に光を実際に集めてできる「実像」で、現実の物体の様な存在感・臨場感を持つ。世界初のプロダクトとして注目される理由がここにある。

空中タッチディスプレイ

また、同社では、「パリティミラー®」を使用し、照明などのスイッチを空中映像として表示し、実際に空中でオン/オフを操作できる「AiRSwitch(エアスイッチ)」も開発した。直に触れずに押せる空中映像スイッチは衛生的なため、医療の場や飲食店、工場、公共スペースでの操作盤などへの活用が考えられるという。
さらなる応用商品として、デスクライトのデモ機や、時刻が浮かび上がるデジタル時計やスマートフォンでとった映像とバーチャルの組み合わせのAR(Augmented Realityの略で、一般的に「拡張現実」と訳される)なども試作中だ。

今後の展開として、2019年春からネットで「パリティミラー®」を単体で販売する予定だ。購入者が自分で作成加工し楽しむことができるようになる。
現時点では「パリティミラー®」のサイズは150ミリ×150ミリが最大で、サイズを大きくすることは技術的課題であるが、1年後には200ミリ×200ミリまで拡大する計画だ。サイズが大きくなれば比例して大きな映像を映せるため、広告やエンターティメントなどの用途での可能性も広がっていく。具体的に商品化する事業パートナーも募集中とのこと。空中映像がどのように活用されるのか注目したい。

取材日:2019年1月30日

 

企業情報

株式会社パリティ・イノベーションズ

弊社は(国)情報通信研究機構発のベンチャー企業です。「SF・ファンタジー世界の表現が当たり前に存在する生活空間を作る」というミッションのもと、空中映像技術の研究開発と実用化を目指しております。

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