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東北大学の先端技術支援により、AI・超音波を使った雌雄判別装置「Smart Echo(スマートエコー)」やワイヤレス温度センサー「TWINDS-T(ツインズ-ティー)」を開発東杜シーテック株式会社

2019.03.12

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「Smart Echo(BXシリーズ)」 。魚の腹部にあてるだけで瞬時に雌雄が判別できる

学ぶべきポイント

  • 業界のニーズを把握し、東北大学より先端技術の支援を受けて開発を進める
  • 「Smart Echo」は超音波画像を取り込み、AI学習によって、業務効率を向上
  • 金型内部の温度を「TWINDS-T」で可視化することで、不良品の削減に貢献

2002年に創業した東杜シーテック株式会社は、製品組込みソフトウェアの受託開発業務を中心に行っていた。しかしリーマンショックを経て、それまで培ったノウハウに加え東北大学の先端技術支援を受けることで、自社製品の開発にも注力できるようになった。

そうした成果のひとつが「Smart Echo」だ。
開発のきっかけは、2011年の東日本大震災にさかのぼる。東北大学情報知能システム研究センター(IIS研究センター)の鹿野満特任教授は、津波などの被害を受けた三陸沿岸部の聞き取り調査を行い、復興に寄与する研究テーマを多数発掘しており、その中から同社はマダラの「はらこ」が白子か魚卵かを判別する装置の開発に着手した。

マダラは、ベテラン漁師でも外見での雌雄の判別は難しく、数少ない「目利き」が1匹1匹経験に基づく判別を行っているのが現状である。

同社は2012年から雌雄判別装置の研究開発を開始。当初はX線や、赤外線の分光特性を利用する方法を試みたが成果が得られず、2014年から、東北大学医工学研究科の西條芳文教授の研究シーズである超音波を利用しての開発に切り替えた。
Smart Echoは、魚の腹部にあてると、超音波により腹部の画像をとらえる。そうした腹部の画像をAIに学習させて、雌雄判別を実現したのだ。2019年2月には各地の漁協、水産加工会社などへサンプル出荷を開始。本格的な販売開始に向けて準備を進めている。
また並行して、サケの雌雄判別装置の開発も行っており、違う魚種への展開も進めている。

「Smart Echo(SXシリーズ)」は腹部内の画像を、スマートフォンで観察できる

Smart Echoのタイプは2種類ある。
BXシリーズは、この装置ひとつで雌雄判別ができる。完全防水なので、船上や水のかかる漁業の現場でも使える。
もう一方はSXシリーズで、スマートフォンで、魚の腹部の画像を直接見ることができるタイプだ。養殖施設や水産試験場など研究目的での使用も可能で、雌雄判別以外のニーズも期待できる。

多くの一次産業がそうであるように、漁業も深刻な人手不足に陥っていて、IT化などを駆使し、少人数でできる漁業が求められている。Smart Echo が浸透すれば、雌雄判別の作業は簡便になり、業務効率が向上するだろう。

また、同社には「TWINDS-T」という製品もある。
TWINDS-Tは、ダイカストマシンなど金型内部に熱電対を最大8カ所配置し、0.1秒ごとに温度を測定。測定結果はWi-Fiを利用して離れた作業管理ルーム等のPCで確認できる。温度変化は、PC上でグラフ表示され、リアルタイムでモニタリングすることができるものだ。

TWINDS-Tがあれば、マシンから離れた場所でモニタリングできるため、労働環境も改善される

以前から、ダイカストなど金型鋳造では、金型内部の温度管理が非常に重要であることが知られていた。だがこれまでは、数百度近い高温になるものを常時測定する術がなく、熟練技術者の経験に頼っていた。

こうした企業の持つ課題を捉え、東北大学と仙台市を中心とする地域の中小企業40~50社が産学連携して、課題解決に当たっているのが、マシンインテリジェンス研究会(MITOOS:Machine Intelligence Tohoku Society)だ。金型内部の温度測定も、MITOOSにニーズが寄せられ、会員企業である同社と匠ソリューションズ株式会社が協力して開発を進めた。

こうして完成したTWINDS-Tは、そのデータを蓄積することで、良品を製作した際の温度指標を確立できた。常時モニタリングしていれば、指標からはずれたときにはアラームなどで異常を知らせ、不良品が次の工程へ進まないように、また、マシンをいったん止め、調整することで不良品を削減できる。

今後は、さらに、温度測定ポイントを現在の8カ所から16カ所、32カ所へと増やすことを検討している。また、測定対象に合わせて最適な熱電対を選択するなどして、ダイカストマシンだけでなく、ほかの業界へも活用の幅を広げていく予定だ。
同社は、AIをはじめとする先端技術で、あらゆる産業の発展に貢献できる企業を目指している。

取材日:2019年2月22日

 

企業情報

東杜シーテック株式会社

東北大学との産学連携でご指導いただいたAI・画像処理技術を応用し、お客様の課題を解決するため最適なソリューションや製品をご提供しています。また車載向けや半導体製造装置向け分野での先端ソフトウェアの開発経験とノウハウを活かし、ソリューションビジネスも対応しております。

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