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刃への負荷を分散させる「切削負荷分散型方式」を採用した「スカットドリル」株式会社ミヤギタノイ

2018.02.08

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タップメーカーとしてのノウハウを注入。安定した穴径を生み出すCFRP向け工具「スカットドリル」

学ぶべきポイント

  • 既存のノウハウから別の商品を生み出すアイデア力
  • 長期にわたる開発を成し遂げた製品への強い思い

ねじ加工に特化したタップとダイスの専門メーカー・田野井製作所。その宮城工場であるミヤギタノイでは、航空機などで使用されている「熱硬化性CFRP」という素材に穴を開ける工具を開発。ねじの加工・生産に欠かせないタップやダイスの専門メーカーとして培った技術を活かし、従来品よりも安定した穴径を開けることができる「スカットドリル」を生み出した。

「スカットドリル」は、タップの刃の形状を刃先に応用したドリルだ。製品には先端刃で穴を切り開き、多数の円周刃が徐々に穴を広げる「切削負荷分散型方式」を採用。カーボン繊維と樹脂で構成されているCFRPの切削は、従来品では先端の刃に負荷が集中するため、穴径にはギザ状の突起物である“バリ”やデラミネーション(層間剥離)が発生してしまう。だが同製品では、先端だけではなくドリルの円周に設けられた多数のギザ状のねじ山でも切削を行うため、負荷が分散され、バリが抑制できる。同社技術部の田部友和氏は「タップメーカーだからこそできる技術」と力を込める。加工時の切削熱も従来品に比べて約15%低減されるという。

「スカットドリル」の開発は2012年に始まり、長期におよぶ試行錯誤を経て、2017年の秋から取り扱いを開始した。特に苦心したのは、負荷を分散させるための最適な刃形状の見極めだ。刃先のどの部分に負荷が集中するのか、動力計を用いて分析を繰り返し、専門の研究機関などからもアドバイスを受けて最適なねじ山の形状や切削溝の形状を見つけるための改良を重ねた。同製品による穴あけは、バラつきのない安定した穴径が得られるため、作業の効率化やコスト削減の面でも効果が高い。CFRPは航空機だけではなく、軽量化を目的として現在は自動車のボディーやタイヤのシャフト、医療器具などでも使用されているため、今後はこうしたシーンでも「スカットドリル」の活用が進む可能性が高まる。

現在は航空機関連の大手重工メーカーから受注が進んでおり、現場での実用化へ向かい順調な動き出しをみせている。田部氏は、まずは国内で確固たる評価を得て、最終的には航空機の市場規模の大きい海外での展開も視野に入れていると明かす。今後はメディアでのPRや展示会への出展などで認知度を向上していき、「スカットドリル」の普及を目指していくのが現在描いている青写真だ。

  • CFRPが航空機に留まらず、自動車など多方面での活用が広がっているという現状を鑑みれば、専用工具の需要も今後、拡大することは想像に難くない。負荷を分散させることは、結果的に工具自体の寿命の伸長にもつながるため、コストパフォーマンスの面での効果も期待できそうだ。

企業情報

株式会社ミヤギタノイ

親会社である田野井製作所は創業して94年、ねじ加工に特化したタップとダイスの専門メーカーとして、技術やノウハウを蓄積し、数々のオンリーワン製品を開発・製造し、お客様のモノづくりや生産性向上に貢献しています。

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