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西陣織など日本独自の複雑な織物づくりを支える!単動式電子ジャカード機をはじめ紋紙を電子化したダイレクトジャカードを自社開発CSS株式会社

2018.10.11

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国内唯一の単動式電子ジャカード機

summary

  • 既存FDコントローラをUSBコントローラに新規開発するなど、次々に機械を進化
  • 国内生産の機械が途絶えた繊維業界。その復活に取り組み、国内唯一の機械を完成

技術系ソフト会社からスタートしたCSS株式会社は、現在は、主に繊維業界向けにジャカード機器類を自社で開発し、販売している。主力製品である単動式電子ジャカード機の地域資源20161219中部第23号(特許第5326149号)をはじめ、ダイレクトジャカード(特許第4747308号)と、今は製造されていない既存2社のフロッピー(以下、FDという)式ダイレクトジャカードに対応するUSBコントローラは合わせて地域資源20110617中部10号に認定されている。また、どの業界にも対応するFDドライブに置き換わるUSBドライブを開発。その特徴は、USBドライブに交換後も“機械がそのまま使える”ことだ。
なぜ技術系ソフト会社が機械自体に挑戦したのか、開発の経緯を同社に伺った。

ジャカード機を取り巻く環境の変化

ジャカード織はジャカード機で織られた紋織物の総称だ。大きな紋様が特徴で、服地、お守り、法衣、ネクタイ、着物、帯、タオル、カーテン、絨毯等多くの繊維製品に使われている。

開発の経緯を語る前に、ジャカード機の仕組みを簡単に紹介したい。
もともとジャカード織は“紋紙”という穴があいた紙(パンチカード)が使われている。その穴は紋様ごとに異なっており、穴に横針が通る事で縦針が引き上げられる構造で、引き上がった縦糸の間を横糸が通って複雑な柄をつくりだす。
紋紙は作成にも時間がかかり、織柄が変わる度に紋紙を機場へ運び、取り付けるのも大変な作業だった。保管場所が必要なことや紙なので劣化が避けられないという問題もあった。

そこで、紋紙を電子データ化しFDに保存、横針をデータ通り押すようにした機械が“ダイレクトジャカード”だ。これをメカジャカード(紋柄により横針が押される事で経針が上がり、たて糸を柄に応じて引き上げる織機上に設置され、織機と繋がっている装置)に設置して使用していた。

カム付きダイレクトジャカード

このダイレクトジャカードは日本独自で進化したものだ。しかし、これを制作していた国内メーカ2社が不況のため2000年頃に製造を中止。記録メディアの急激な進化により、「FD」や「FDドライブ」自体も次々と製造終了となり、ダイレクトジャカードを使用して生産していた機屋は存続の不安を抱えることとなった。

経験のない分野に取り組む

CSSは、もともと技術系ソフト会社だったが、展示会で自社製品として開発した“パンチングマシン自動化システム”を見た西陣の機屋に「いま使っているダイレクトジャカードのFDコントローラに換わるUSBコントローラを造って欲しい」と相談され、既存2社のダイレクトジャカードに共通で使えるUSBコントローラを開発したのが始まりだ。
その開発過程は困難を極めたと社長の小門氏はいう。ジャカードを全く知らなかったため、まずCGSデータ(1983年に西陣織工業組合と京都染織試験場が中心となり開発されたジャカード織機用紋紙データフォーマット規格)を見てジャカード織を一から勉強した。開発に当たり、既存2社のダイレクトジャカード(1式)の中古をバージョンも分からず購入し、プロトコル(通信方法)の解析を始めたが、単に2社の違いだけでなく、製造年度によっても仕様が異なり、すぐに製品化できるものではなかった。ダイレクトジャカードの動作検証は現場で実機しながら動かない原因を究明し、その都度、基板設計の修正を行いながら開発した。

想定外の課題に直面

試行錯誤を重ねて既存2社共通型USBコントローラを完成させたが、今度は、USBコントローラからデータを受信し横針を押す“ダイレクトジャカードが壊れかけている”と機屋から言われ自社のUSBコントローラに合わせた“ダイレクトジャカード”を開発した。

その販売過程で小門社長は、それをセットするメカジャカード自体がもう製造されていないことを知る。新しいダイレクトジャカードを老朽化したメカジャカードに取り付けるには問題点が多く、メカジャカード製造メーカがない現状からジャカード織の危機を感じた。

日本の「西陣織」を守りたい一心で挑む

ちなみに、ジャカード機には復動式と単動式がある。復動式は高速織機向けで、おもに広幅織物に使われている。単動式は、開口が大きく西陣織の帯など、天然素材を使う、より複雑で風合いのある織物に使われる。
機屋は手間のかかる紋紙から電子データで製造する様になったが、今のメカジャカードが寿命を迎えたらどうなるのか。
日本の一女性として「西陣織の着物を存続させたい」という思いで小門社長は、メカジャカード本体を電子化する単動式ジャカード機の開発を決意したという。

現場の問題点を解決する

100年以上実績のあるメカジャカードの構造を電子化するとともに、機械の弱点だった横針の曲りや振動による針落ちを改善するために横針をプッシュレバー方式にして特許第5326149号を取得。完成した単動式電子ジャカード機は地域資源 20161219中部第23号の認定を受けた。この方式は横針指令をカセットにしたことでメンテナンスもしやすくなった。カセットの基幹を“先端技術を応用した材料”として“圧電素子”を使用した事で、尾張地区で3社目に最先端技術の会社にも認定された。西陣織の帯をつくる独特の織機(棒刀・ふみせ)にも対応できる仕様で、地域産業界からも、今後の日本の伝統織物技術への貢献が期待されている。

今後の展開。日本そして中東アジアへ

ジャカード織製品は幅広く、製品によって織機もさまざまなことから、西陣織だけでなく、絨毯や畳の縁の機屋から “開発協力するので電子ジャカード機を造って欲しい”という要望もあり、今後は織機に合わせたサイズ、1針荷重の違いを設計に活かし電子ジャカード機を開発していく予定だ。日本の伝統織物を次世代につなぐ上でも欠かせない電子ジャカード機。その進化に小門社長の情熱は果てしなく注がれている。

現在、販売は同社で行っているが、技術開発と製造に集中するため、販売を担ってくれるパートナー企業を求めている。ゆくゆくは電子ジャカード機を海外にも輸出していきたいと希望も膨らむ。この電子ジャカード機によって世界の織物がさまざまに進化するかもしれない。今後の発展に期待したい。

【動画】単動式電子ジャカード機の稼働する様子

企業情報

CSS株式会社

当社は日本で唯一、新規に自社開発で取り組む「単動式電子ジャカード」メーカです。当社の威信をかけ「九転十起」で完成させた自信作を展示します。

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