BreakThrough 企業インタビュー

世界最高レベルの基板実装技術を追求し、日本のものづくりを支える株式会社アリーナ

2020.03.17

SHARE
  • facebook
  • twitter

株式会社アリーナは、プリント基板上に世界最高レベルの最狭隣接間隔で電子部品を実装する超高密度実装技術を誇る企業です。2019年には、基板内部に部品を実装する部品内蔵基板の製造にも成功。今なお技術を追求し続ける同社が、どのように技術開発を行い、この先に何を見据えるのか。同社代表取締役社長の高山慎也氏(写真左)と第1製造部部長の半田勝徳氏(写真右)に伺いました。


世界最小のプリント基板の加工が可能

あらゆる電子機器にとって欠かせない基板。特に携帯電話やスマートフォン、あるいはウェアラブルデバイスなど、小型・薄型でありながら高性能が求められる近年の電子機器には、高密度に実装された基板が不可欠。同社は、世界最小部品「0201」(0.25mm×0.125mm)のチップに、0.05mm間隔での実装という世界最高レベルの超高密度実装技術を確立しました。

「基板実装を請け負う当社は、基板メーカーと加工機メーカーとの3者の連携により、電子機器メーカー等の要望に対応しています。お客様の『もっと小さく軽くしたい』という要望に答えているうちに、小型化・軽量化が私たちの目標となり、世間が0.3〜0.4mm間隔の実装を目指していた1990年代前半には既に0.1mm間隔の実装を実現しました」

この超高密度実装技術はさらに進化を重ね、基板の内側の厚さが0.06mm程度の板に加工するという部品内蔵基板(特許取得)の技術につながっていきます。

「実は今、小型化に対する社会からの要望はある程度落ち着いています。そんな時、産業技術総合研究所から部品内蔵基板の話が舞い込みました。『できないと言わない』が当社のルール。これまでの実装技術とはまるで違うアプローチが必要で非常に困難な挑戦になりましたが、なんとか1年という短い期間で完成させました」

世界最高レベルの超高密度実装を支える機器について説明する半田氏

 

5G時代や宇宙ビジネスへの参入可能性を模索

同社が生み出した部品は、スマートフォンなどの通信デバイスのほか、車載製品やBluetooth、無線LANなどさまざまな製品に使われています。ただ、同社の“世界最高レベルの技術”が真価を発揮している分野は、まだそう多いとは言えないそうです。

「恐らく5Gの時代には、より多くの製品に当社の技術が必要になるでしょう。5G対応を行う場合、従来の機能に加えて5Gを付加することになります。デバイスの大きさを変えずに機能を追加したいとなれば、私たちの技術が必要になるはずです」

さらに同社が見据えているのは、宇宙ビジネスへの展開です。

「ロケットを一回打ち上げるのには数億円という費用がかかります。その一回に宇宙に多くのものを持って行こうと考えると、当然小さくて軽いものの方がいい。そこに当社の技術を活かすことができないかと模索しています」

日本から“ものづくり”をなくさないために

現状でも同社の技術に時代はまだ追いついていません。それでも同社が技術の追求をやめないのはなぜでしょうか。

「技術を求めると、そこに外部とのさまざまなネットワークが生まれます。ネットワークは財産で、未来の技術開発に役立ちます。実際、どんなに難しいミッションでも、当社はこれまでネットワークの力で大抵のことは解決してきました」

同社にはネットワークを大切にしながら技術を追求する明確な理由があります。その理由を語っていただくとともに、未来のパートナーに向けた熱いメッセージをいただきました。

「日本には小さな町工場にも世界に誇る技術がたくさん眠っていますが、今はその技術力よりもスピードやコストが優先されたりします。だからといって技術の追求をやめてしまうと、日本は何をもって海外企業と勝負していくのでしょうか。『日本といえば技術』『キーデバイスは日本』というポジションを失ってはいけません。日本から“ものづくり”をなくさないため、一緒に頑張れるパートナーに出会いたいですね」


企業情報

株式会社アリーナ

代表取締役社長 ・高山慎也(たかやま・しんや)(左)、第1製造部部長 ・半田勝徳(はんだ・かつのり)(右)

1970年設立。83年にプリント基板の実装事業をスタートさせると、その後高密度SMT(表面実装)技術をコアとしながら、携帯電話やスマートフォンなどのコミュニケーションデバイスに使われる超精密電子部品を多数製造。

企業情報ページはこちら

取材日:2020年1月24日

SNSでシェアしよう

関連記事