山王テクノアーツが手がけた業務用ラベル
- 太陽光や風雨に強く、はがれず、色落ちしない業務用ラベルを製造するオンリーワンメーカーの物語。
屋外環境に強い工業用ラベルを製造する
1967年設立の山王テクノアーツ株式会社は、住友スリーエム株式会社(現スリーエムジャパン)の特約加工店として、米国3M社製品の販売代理および印刷加工や成形加工を行ってきた。現在は、鉄道車両や航空機で使われる工業用ラベルやステッカーの製造を主力としている。同社が得意とするのは、優先席や車両番号の銘板、JR東日本の新幹線のロゴマークなどで、太陽光や風雨でも剥がれず、色落ちもしない長期耐候性を持ったラベルを車両メーカーに提供している。一見塗装に見えるものも、シールで実現していることが多い。
その他、農機具のメーカーロゴ、エアコンの室外機のスペック表、公園の遊具のキャラクター図案などのラベルやシールの受注も多い。東日本大震災後、沿岸地域の自治体から公園に貼るための海抜表示や避難場所の説明などを蓄光シールで製作したこともある。シール印刷を行う同業者は全国に多いが、山王テクノアーツのように屋外使用に特化した業者はほとんどないという。また印刷業界に多い二次請けや孫請けではなく、クライアントと直接取引を行っている点も同社の特長である。

他社が真似できない航空機マーキングのノウハウ
航空機の内装品を手がけるメーカーからの依頼で、機内に貼られている様々なステッカー(座席番号、禁煙マーク、注意事項など)を納品していく中で、旅客機の外装マーキングの受注を受けるようになる。航空会社の広報や広告代理店から提供されるマーキングのイメージ案を元に、航空機の湾曲した外装に貼り付けた場合に図柄がゆがんで見えないように画像を調整して最終イメージを作成する。ボーイング777やエアバス320などの機体に応じた調整のノウハウを持っているのも同社の強みである。代表取締役の田中祐氏は「試行錯誤を通じて得られたノウハウで、他社には真似ができないと思います」と語る。
完成したイメージ図を1メートル四方のシールに大型プリンタで分割出力し、機体に貼り合わせてラッピングする。かつては塗装で行っていたために塗り替えに時間がかかったが、シールなら一晩で作業が完了する。意外にもシールの方が塗装よりも軽く仕上がるという。万一飛行中にシールが剥がれるようなことがあれば大事故につながる可能性もあるため、同社では航空宇宙業界向けのISO規格も取得している。最近は短期間にキャンペーンを変えるLCC(格安航空会社)からの受注も増えているという。

「元気」をラベルに乗せて。
田中氏の前職は外資系のIT企業で、山王テクノアーツに入社後は社内のIT化に積極的に取り組んだ。「入社当時は営業所と工場が分かれていたので、両拠点をネットワークでつなぎ情報共有ができるようにして、生産管理のデータベースを作りました。最近ではクラウドサービスを採用して、営業マンが出先から社内情報にアクセスすることもできます」田中氏が率先してIT化を進めたため、導入もスムーズに行うことができた。同社と同じくらいの規模の中小企業で、ここまでIT活用に取り組んでいる事例はなかなか無いという。近年はCRM(顧客関係管理)システムを導入し、営業力の強化にも取り組んでいる。直接クライアントと接することができるメリットを活かし、営業マンから提案していくことも多い。
田中氏は「当社はクライアントからの依頼に忠実に応える受託製造ですが、少しでもわれわれの思いを乗せて納品したいと考えています」と言う。それを表現する意味で「『元気』をラベルに乗せて。」を経営理念に定めている。

企業情報
山王テクノアーツ株式会社
山王テクノアーツのラベル・ステッカー・マーキング類は電車・飛行機業界で45年の実績を誇り、数々の企業様より多くの信頼をお寄せいただいております。屋外用の表示物には、ぜひ山王テクノアーツのラベル・ステッカー・マーキングをご利用ください。
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