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経済産業省の製造業IoT支援施策とその基本的な考え方徳増 伸二<連載第4回(全4回)>

2018.04.27

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製造業IoTの取組をさまざまな観点から支援

つながることにより付加価値を高める「Connected Industries」を進めるにあたって、つながることを実現するIoTは特に重要です。ここでは当省(経済産業省)が進める製造業IoT支援施策について解説します。現在、行っている支援施策は大きく分けると以下の8つです。


1)先進事例(ユースケース)の見える化、創出

デジタル技術の活用などによって、「匠の技」を見える化し、熟練技術を若手に伝承する取り組み等。

<ものづくり白書>
<ユースケース・オンラインマップ>
→ドイツおよびフランスと共有。2017年3月のドイツ情報通信見本市(CeBIT)において、我が国は包括版を公表。公開されている事例は、日本210事例、ドイツ295事例、フランス169事例。
<スマート工場実証事業>
<ロボット導入実証事業>
<事例紹介ハンドブック>
など


2)中小企業への導入支援

<中小企業への助言や支援>
→「スマートものづくり応援隊」
中小企業でのカイゼン活動やIoT、ロボット等の導入を支援するインストラクターを各地の拠点で養成する取り組みを支援。2017年度は5拠点であったものの、2018年度は25拠点に拡大。県の産業支援団体や商工会議所などが主な拠点。今後は、40拠点にまで増やしていく方針。IVIや日本商工会議所、さらには「地方版IoT推進ラボ」や「よろず支援拠点」など他機関が行う取り組みと連携強化を目指す。

<中小企業が導入しやすいツールの発掘や普及>
→それぞれの企業の身の丈にあった活用方法を提案。より簡単に、低コストで使える業務アプリケーションやセンサーモジュールなどのツールについて、中小企業経営者の目線によりロボット革命イニシアティブ協議会ホームページで公表。


3)国際標準化(IEC/ISO)

我が国からの国際提案やドイツなど主要国との連携


4)サイバーセキュリティ

製造業の特性を考慮した取組推進、ガイドライン指針策定など


5)人材育成

デジタル人材の育成など


6)研究開発

システムアプローチなどによる研究開発の推進


7)規制・制度改革

ユースケース実施などを阻害する規制や制度を随時見直し


8)国際協力

日独などの政府やプラットフォーム間で連携および協力を一層推進


上記に加え、経済産業省のホームページでは「第4次産業革命に挑戦する中堅・中小製造業への支援施策」を公開していますので、ぜひご覧ください。

 

中小企業こそ「Connected Industries」に踏み出せ

最後に、中堅・中小企業におけるIoT活用推進における課題と取り組みの方向性についてお話しします。当省も積極的に関与しているロボット革命イニシアティブ協議会の部会において、課題を整理したところ、下記の点が挙げられました。

■ 一口にIoTといっても、何ができるのかわからない。大企業の話では?
■ 社内に技術がわかる人がいない
■ 社外にも相談できる相手がいない、誰に相談したらよいかわからない
■ 安価で簡単に使えるツールやシステムがない
■ 投資する余裕がない

前述した製造業の支援施策は、これらの課題に沿ったものです。さらに、上記の部会では下記の3点を基本的な認識として共有して取組を進めています。

1)「技術」からではなく「経営課題」に応じ、「解決手段」や「課題とボトルネック」を整理して対策を実行。
2)それぞれの企業の身の丈にあった活用方法がある。
3)IoTの導入は「頼れる企業」の重要な要素になり得る。

IoTは目的ではなく、つながることを通じて課題を解決するためのツールです。他方で、課題解決を通じて価値創出を行うにあたって、鍵を握る重要なツールの一つであることも確かです。経済社会のデジタル化が進展する中、顧客にニーズは益々高度化・複雑化・短サイクル化しており、自前主義の限界は明らかです。他者と如何に上手くつながり、全体のシステムの中で自分の強みを最大化して価値獲得できるかが問われています。その際、「Connected Industries」の考え方は助けとなるものと考えます。「Connected Industries」は決して難しいことではありません。まずは新たな“つながり”に向けて積極的にトライしてみることが重要です。

<連載第4回・完>


徳増 伸二(とくます・しんじ)
経済産業省 製造産業局 参事官(デジタル化・産業システム担当)(併)ものづくり政策審議室長

1994年経済産業省入省後、米国留学等を経て、大学連携推進課、研究開発課、NEDO出向、産技国際室長、産総研室長など、主に産業技術関連の部署を数多く経験。2016年7月に製造産業局参事官(デジタル化・産業システム担当)・(併)ものづくり政策審議室長に着任。
早大理工卒・同大学院修士、ハーバード大ケネディスクール行政修士、MITスローンスクール経営修士、東工大大学院社会理工博士、博士(学術)

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