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抗菌の新しい技術「抗菌ナノ粒子」の作用を製品化して市場へ。より高い除菌・抗菌・防臭・消臭効果が期待できる浄菌スプレー「AUSIRO miniplus」株式会社ナノカム

2018.10.16

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AUSIRO(オウシロ)シリーズの中でも人気が高い「AUSIRO miniplus」。抗菌ナノ粒子が増量されている

学ぶべきポイント

  • 文部科学省や経済産業省から研究成果を認められ事業基盤を確立
  • 新しい殺菌作用の仕組みを創出することで、公衆衛生に寄与
  • 生体に安全な「抗菌ナノ粒子」は、生態系に影響を与えず環境に配慮

21世紀の現在でも、世界中のいたるところで細菌による感染症への脅威が見られる。そして、細菌は短期間で抗生物質への耐性を獲得してしまうという特徴がある。そのため、細菌への対応は公衆衛生上、大きな課題となっている。こうした社会背景の中で、横浜市立大学医学研究科准教授(2011年当時)の城武昇一氏は細菌の構造・増殖過程に着目することで、全く新しい殺菌作用の仕組み、「抗菌ナノ粒子」を開発した。

この「抗菌ナノ粒子」とは一体どのようなメカニズムなのだろうか。
城武氏がまず、目を向けたのが細菌の細胞壁と増殖プロセス。ほとんどの細菌は細胞壁を持っており、その細胞壁が人体における骨のように形を維持する重要な役割となり、内圧を抑えることで細菌の構造を保持している。細菌はこの細胞壁の成長・複製も含めて増殖を繰り返しているのだ。

「抗菌ナノ粒子」は細胞壁に接合することでその効果を発揮する。「抗菌ナノ粒子」は細胞壁の糖鎖ペプチド表層と親和性が高く、「抗菌ナノ粒子」が接合した局所部分に対して、細胞壁の合成を阻害する。また接合していない面は細胞壁の成長が行われるが、接合面とのアンバランスな成長により、内圧を保つことができず細菌は自己融解を起こしてしまう。そして細菌自身の成長力を使うことから、腸内の善玉菌のように成長が遅い菌を殺すこともない。

通常の薬剤が持つ化学的作用とは異なる物理的作用のため、耐性菌を生まず持続性が担保されていること。動植物には副作用がなく生体への安全性が確保されていること。生分解性であるため自然環境に蓄積せず、生態系を傷つけないこと。これらは全く新しい抗菌の技術であり「抗菌ナノ粒子」の大きなメリットとなっている。

ナノポリマーと細菌細胞壁との接合模式図
断面図による細菌の自己融解の様子

新しい殺菌作用の仕組みを実現する材料の探索・研究に12年を費やした城武氏は、この「抗菌ナノ粒子」の誕生を機に2011年、株式会社ナノカムを設立。その後、大学を退官し、「抗菌ナノ粒子」の技術を事業化するために本格的に歩みを進めていった。そして「抗菌ナノ粒子」の研究成果によって「文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト(2012~2013年度)」や「経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業(2012~2014年度)」として採択される。こうして支援を受けて事業基盤が固まっていくと、城武氏は「抗菌ナノ粒子」の作用を形にして、より多くの方々に認知され、公衆衛生に役立ててもらいたい、と考えるようになった。そこで製品化し、市場へと展開されたのが、浄菌スプレー「AUSIRO」シリーズだ。

抗菌・除菌・消臭・防臭が一本でできるこの浄菌スプレー「AUSIRO」シリーズのコンセプトは「自然と、生きていく」。人はもちろん動物や植物も傷つけない、自然と共生する抗菌技術で安心できる生活を提案している。この製品群の特長は「抗菌ナノ粒子」の効果により、朝起きて身体に吹きかけると、昼頃まで約6時間、作用が持続すること。万が一誤って飲用しても身体に全く問題がないほど生体への安全性に優れていること、などがある。 そして「AUSIRO」シリーズの中でも、抗菌ナノ粒子が増量されて人気が高い製品が「AUSIRO miniplus」。より高い除菌・抗菌・防臭・消臭効果が期待できるという。使い方も多種多様、あらゆるシーンで活用できる。例えば、食事前に手に吹きかけて衛生を保ったり、電車の「つり革」の衛生が気になる人は、手になじませて使ったりすることができる。あるいはガーデニングで植物に吹きかければ、植物を病原菌から守ることができる。

現在、同社は一般消費者向けの通信販売を展開するまでに至った。社会のさまざまなシーンで、「抗菌」に対する意識はますます高まっていくことが予想される。同社では、これらの製品群増産のために、新たな製造拠点をつくることも検討中だという。
これからの社会の安全・安心のために、抗菌技術のさらなる進化、発展は大いに期待されるところだろう。

主力製品の「AUSIRO miniplus」(右から2番目)をはじめ、AUSIROシリーズは現在、6つのラインアップ

 

取材日:2018年9月20日

企業情報

株式会社ナノカム

弊社のナノポリマーは「菌と親しいものづくり」という人や生物が共存できる世界を目指した技術です。ナノポリマーによる物理的作用と菌自身の成長力により菌が自己融解するので、耐性菌が生じず副作用もありません。ウィルスは不活化し感染を防除。生体内や土壌中で分解されるので、体内蓄積や環境悪化の心配もありません。

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