PICK UP

当たり前の部品だからこそ伸びしろも大きい
取引先の「不便」を引き出し、確かな技術を提供する大阪フォーミング株式会社

2018.02.28

SHARE
  • facebook
  • twitter

あらゆる産業のモノづくりを支える「ねじ」。一見地味な部品ながら、わずかな性能の差が大きな違いを生む「E-LOCK(イーロック)」シリーズが「ゆるみ」に強い秘訣を探る

学ぶべきポイント

  • 苦しいときこそ攻めの姿勢に転じる姿勢
  • 研究の進んでいない分野への改良の取り組み

ゆるみ止めナット、ブラインドナット、ステンレス製各種ねじ類、特殊圧造品の製造加工を手がける大阪フォーミングは、1971年の創業以来、一貫して高い技術力でモノづくりを支えてきた。

安定感のあるゆるみ止め性能を誇る「E-LOCK」シリーズは、同社の看板商品の1つだ。ナット上部に取り付けるフリクションリング(金属板バネ)の形状を工夫し、繰り返し使用にも耐える強度が大きな特徴だ。従来品であれば、いったん緩んでしまうと、締め直そうにも既にフリクションリングに歪みが生じていることも多い。「E-LOCK」シリーズでは、バネ性の高いステンレス鋼材を使用することで、その弱点を改良した。さらに革新的なのは、従来品は2枚羽がほとんどのリングの羽を3枚にした点だ。それによって、各羽にかかる負荷が分散され、安定したゆるみ止め機能を発揮することができる。

E-LOCK NUT【ELHN1・ELHN3】(六角ナット標準タイプ 1種・2種・3種)

同社が「E-LOCK」シリーズの開発に本腰を入れたのは、2008年のリーマン・ショック直後のこと。製造業全体が世界同時不況のあおりを受けるなか、同社の売上も落ち込んだ。危機感を覚えた同社は、あえて攻めの姿勢に転じ、「縁の下の力持ちから、自律的なメーカーとして生まれ変わりを図ろう」と、以前から温めていた3枚羽のアイデアを実現化に向けて動き出したのだ。

苦労したのは開発よりも、むしろ販路の開拓だった。従来品で十分だと思っている取引先に新商品を試してもらうのは、思いのほかハードルが高い。特に同社が強いパイプを持つ自動車産業は、人の命を預かる立場から何より安全性を重視する傾向がある。ねじ1つとっても、部品の切り替えには非常に慎重な姿勢を見せるのが常である。

当初はなかなか取り合ってもらえなかったが、主要取引先である自動車部品メーカーのもとに足繁く通ううち、技術者のなかには従来品に満足していない人がいることがわかってきた。粘り強く働きかけ、試しに使ってもらうことで、少しずつ評価を勝ち取っていった。その結果、部品の組付けの際、従来品ではたびたび生じていた精度のばらつきがなくなったと、高い評価を得たという。

ねじの歴史は古い。だが、あまりにも当たり前のシンプルな部品であるがために、意外にも大きな改良は進んでいない。アカデミズムの世界でも研究が進んでおらず、技術的なデータが共有されているとは言い難いのが現状だ。同社が目をつけたのはまさにそこだ。まだまだ改良の余地があるからこそ、大きなビジネスチャンスが眠っている。まずは、得意の自動車産業にさらに食い込み、他業界にも販路を拡大していきたい考えだ。

  • ゆるみ止めナットが威力を発揮するのは、振動が発生しやすく、ゆるみの生じる可能性が高い場所だ。建設・土木分野をはじめ、自動車やバイクといった乗り物など、あらゆる場面で使われている。多くの一般消費者も、それとは気づかずに大阪フォーミング製のネジに支えられているはずだ。一見すると地味ではあるものの、ねじ1本のゆるみが大きな事故につながりかねない。人々の安全を守る上でこれほど大事な部品もないだろう。さらなる改良に期待したい。

企業情報

大阪フォーミング株式会社

大阪・岸和田に本拠を置くゆるみ止めナット、ブラインドナット、ステンレス圧造品の一貫生産メーカー。鉄はもちろん、炭素鋼、ステンレス・チタン・アルミ等、これまで蓄積した高い技術力で御社のお役に立ちます。

企業情報ページはこちら

SNSでシェアしよう

関連記事