BreakThrough 企業インタビュー

人の負担を軽く、人手不足に対応した物流支援ロボット「CarriRo ® (キャリロ)」株式会社ZMP

2019.03.28

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「CarriRo®」には、前を歩く人についていく「カルガモモード」と「自律移動モード」の2種類のモードがある

summary

  • 人材不足に対応するロボットの開発
  • 使う側の利便性を追求したモノづくり
  • コストを抑え、利用者の経費削減に貢献する

生産労働人口の減少とともに人手不足が懸念されている。特に物流の現場では昼夜問わず稼働し続けているために人材の確保が大切だ。そこでロボットによる省人化が求められてきた。株式会社ZMPは、少ない人数でも運搬できる台車型の物流支援ロボット「CarriRo®」を製作。2016年の販売から導入企業の時間とコスト削減に貢献している。
台車型の物流支援ロボットの開発に至った経緯や、今後の展望を同社の笠置事業部長に伺った。

ロボット技術の会社、株式会社ZMP

株式会社ZMPは2001年、二足歩行ロボットを製作する企業として創業した。ロボット製作の技術を応用し、社会課題を解決することを目的としている。企業ミッションは“人が運転するあらゆる機械を自動化し、 安全で楽しく便利なライフスタイルを創造する”。代表的な取り組みは自動運転車・ADAS(先進運転支援システム)だ。これはドライバーの安全・快適を実現するために自動車自体が周囲の情報を把握し、ドライバーに的確に表示・警告を行ったり、ドライバーに代わって自動車を制御するなどの運転を支援する機能の総称で、その開発に取り組んできた。2018年8月には世界初の自動運転タクシーでの営業運転を東京駅(大手町)から六本木まで運行し、90%以上の区間を自動運転走行で走破した。2020年の自動タクシーの実現に向けて動いている。

物流ロボット開発の経緯

「CarriRo®」開発の着想は、同社の近くにあった配送センターで一人の作業スタッフの方が台車2台を同時に使って荷物を運んでいた光景から生まれている、と笠置事業部長は言う。運ぶ人の負担にならない方法が、自動運転車の技術を活かして作れるのではないかとの考えだった。
実際に利用者側にニーズがあるのか、何社にもヒアリングした結果、間違いなく求められていることがわかり、2014年、開発がスタートする。翌年には前を歩く人に追従する試作機が完成し、実証実験を行う。実験によって、前を歩く人が後ろの「CarriRo®」を気にせず自由に歩ける自動制御、追従速度、停止位置、動き始めの走り出しなど、利用者であるお客様たちの感覚的な意見を大切にしながら調整が繰り返された。2016年8月に、前を歩く人について動く「カルガモモード」を搭載した「CarriRo®FD」が発売開始となる。2018年には、無人での搬送を可能にする、「自律移動モード」を搭載した「CarriRo®AD」も発売を開始した。

「CarriRo®」の基本的な特長

「CarriRo®」は台車型の物流支援ロボットであり、本体は55㎏。最大積載量は150㎏(牽引可能重量は300kg)だ。
人力で運搬する場合、動かし始めに力を使わず、運搬中も荷物の重みを感じることなく運ぶことができる「ドライブモード」がついている。これは台車のハンドル部分についているジョイスティックという入力装置をにぎり、前後左右、動かしたい方向に傾けることで操作する。手を離せばゆっくりと止まるスローストップ機能もついている。

カルガモモードは、前を歩く作業者がビーコンと呼ばれる発信機を腰のベルトやポケットにつけるだけで、追従し、人が止まると50cm程度後ろで止まる。また、追従させている「CarriRo®」の後方にビーコンをつけると、さらに後ろに別の「CarriRo®」を追従させることができるため作業者の負担なく複数台分の運搬が可能だ。

自律移動モードは、同社が自動運転事業で培った画像認識技術を応用した「CarriRo Visual Tracking(キャリロ ビジュアル トラッキング)(特許出願中)」という方式で自律移動を実現している、と笠置事業部長は言う。現在市場に出ている自律移動の方式にはライン式AGVとSLAM式の自律搬送機がある。ライン式AGVは磁気テープを移動経路に合わせて軌道を引くため安定走行を実現しているが、経路の変更がしづらいという点がある。SLAM式はレーザーセンサを使って環境をマッピングし、ルートを覚えこませる作業(ティーチング)を行えばルート設定が可能になり、柔軟な運用には向いている。しかし、ティーチングに時間がかかること、商品や棚の位置など外部の環境変化に対応しにくいという点がある。

「CarriRo Visual Tracking」という方式は、移動する路面にランドマークと呼ぶQRコード入りのシールのようなものをポイントごとに貼る。「CarriRo®AD」がその上を走行すると、画像認識によって位置補正と走行指示情報を同時に受け取る。それを繰り返すことによってゴールまで確実に到達するという仕組みだ。ランドマークには固定タイプと可変タイプの2種類あり、クライアントのニーズによって使い分けることが可能になっている。固定タイプは直進や右左折、Uターンなどの走行指示が予め固定されているタイプのもので、走行ルートが決まっている現場などに向く。可変タイプはその都度、ルートを変更したい場合に適している。これにはピッピと呼ばれるタブレットで指示をだすことで自由に変更可能だ。ランドマークは10メートル以内の間隔で貼り、設置作業は1~2時間ほどで済むという。

自律移動モードの「CarriRo®AD」は路面に貼られたランドマークを識別し自動で動く

「CarriRo®」のオプションと今後の展開

「CarriRo®」にはオプションで牽引アタッチメントが装着できる。アタッチメントを使用することで、「CarriRo®」にロールボックスパレット(カゴ台車)や六輪台車(スリムカード)が簡単に着脱でき、牽引するそれらの台車の幅に合わせて調整が可能だ。牽引機能を使うと300㎏まで運搬することができる。
パトランプという周囲への安全に配慮したアタッチメントもあり、「CarriRo®」の走行に合わせて光り、さらに「CarriRo®」本体からサウンドも流れるので、注意喚起を促すことが可能となっている。

今後の展開を笠置事業部長に伺うと、「CarriRo®」の使用状況として、牽引機能での需要が大きいため、引き続き使用される現場ごとに求められる種類に合わせたアタッチメントの開発を進めていく予定だという。併せて、現在は屋内使用を想定した製品であるが、屋外使用の開発も視野に入れ検討を進めている。

「CarriRo®」は現在、リース又は買取にて購入ができる。リースを組めば3年又は5年単位のリース契約になるが、月あたりの費用を安価に抑え、物流の現場の省人化に貢献している。すでに導入している企業は100社超で、作業者がラクに短時間で運べるようになったことはもちろん、大手企業の中には10台のリースで5人の人件費が削減された例もある。ますます省人化が進む業界において期待される製品だ。

取材日:2019年3月18日

企業情報

株式会社ZMP

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