BreakThrough 企業インタビュー

世界初のグラスウール混錬技術「G-MAG」を開発。国内外で特許を取得し、ファブレスで事業展開ナノダックス株式会社

2019.01.10

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グラスウールは、ガラスを原料にした繊維の大きさが3~4μmの柔らかい短繊維

summary

  • 大手メーカーと共同開発後、知的財産権を所有することで製品化を推進
  • 世界初のグラスウール混錬技術「G-MAG」を開発し、国内外で特許を取得
  • パートナー企業と共同開発で製造を委託。ファブレスで事業を展開

外資系大手ガラスメーカーとの開発から独自特許を取得し、独自で製品化

ナノダックス株式会社は、2007年より外資系大手ガラスメーカーと、グラスウールを高機能化するための製品開発と市場開拓を展開。2013年に同社が単独特許を保有し、独自で製品化を進めるようになった。そして加熱式副資材投入フィーダーを開発することで、世界で初めてグラスウールを混練(コンパウンド)し、ペレット化する技術の開発に成功した。そして同社は、このグラスウール混練技術(名称は「G-MAG」)の特許を国内の他、米国・中国・韓国・台湾で取得。国内外の市場にこの新技術を供与することで、新たなビジネス展開を実現している。

アップサイクルすることで、地球環境にも配慮

そもそもグラスウールは、断熱性・吸音性・保温性に優れていることから、断熱材や保温材、冷蔵庫の真空断熱材等に多く使用されていた。使用後は廃棄物となっていたが、グラスウール混練技術「G-MAG」によって、グラスウールのアップサイクルが可能になった。この技術により、廃棄物を減らし資源の有効利用にもつながることから、地球環境への配慮をより推進し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できると考えられる。

新技術の特許をベースに、ファブレスで事業展開

また、世界初のこの技術の特許をベースに、基本開発は同社が行い、細部開発・試作はパートナー企業と協業するプロジェクトも実施している。このように生産はパートナー企業へ委託し、工場を持たずにファブレスで事業展開していることも同社の大きな特長と言える。

グラスウール混練技術「G-MAG」のメリットとは

ポリプロピレン(PP)や高密度ポリエチレン(HDPE)を使用して成形加工を行う場合、グラスウールを混錬するとソリ・収縮を抑える可能性が高まるという。その結果、離型後、工程の変形・修正に関わる時間の短縮が期待できるのだ。さらに歩留まりが良くなるため、不良品低減につながるようだ。そしてグラスウールが入ることで強度が増すため、肉薄化(軽量化)も可能になる。

そしてもう一つのメリットは、ガラスファイバーが抱える課題の解決手段になることだ。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエーテルイミド(PEI)といった樹脂の成形加工では、グラスウールが力を発揮する。極薄部分にガラスファイバー充填が不足する場合も、より細いグラスウールであれば末端部まで均一に充填できるからだ。その結果、強度を増すことができる。また高圧で成形するため、不良率の高い製品に対し優れた成形性を発揮する。さらに薄型品や精密品の成形の精度向上も期待できる。ガラスファイバーが行き届かない面もグラスウールを混錬することで問題解決へと導かれる。

広く知見を得ることで、自社製品の開発も推進

同社は新技術山形大学との産学連携や、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)への参加や名古屋市工業研究所からの技術特性の評価など、広く知見を得ることでさらなる技術開発の向上に努めている。

こうした取り組みを反映して、ここ最近ではグラスウール混練技術「G-MAG」をベースとした自社製品開発も推進している。
一つは、3Dプリンター用フィラメント「3Dmagic」の開発だ。世界初のポリプロピンにグラスウールを練り込んだこのフィラメント素材は、3Dプリンターによるギプスや義足ソケット製作に使用されている。現在、韓国にある二つの病院で治験の実施を行っている。さらにカンボジアに義足・補助具を提供する「夢プロジェクト」の一環として、「3Dmagic」導入による製作支援も行っている。
もう一つに挙げられるのは、プラスチック成型機用の洗浄剤「eco maru」の開発。世界初のグラスウールを練り込んだこの洗浄剤は、機器を傷付けにくい高い洗浄性を備えている。そのため、環境に優しい活動を目指す企業や、機器に傷が付く等、ガラスファイバー入り洗浄剤の欠点に悩んでいた企業への導入が期待できそうだ。

3Dプリンター用フィラメント「3Dmagic」によって製作された義足・補助具
カンボジアに義足・補助具を提供する「夢プロジェクト」に参画

同社の取締役開発部長 福山稔朗氏いわく「義足や補助具に関しては、日本よりも韓国やカンボジア国で需要が高まっている」という。このようにグラスウールが使用される領域はますます広がりつつある。グラスウール混練技術「G-MAG」の技術をベースに、グラスウールのさらなる汎用化に期待が寄せられている。

取材日:2018年10月23日

企業情報

ナノダックス株式会社

断熱材として世界的に使用されるグラスウールを、世界で初めて樹脂強化填料(フィラー)として混練(コンパウンド)する技術を開発。その特許を国内他、米国・中国・韓国・台湾で取得。欧州・タイ・インドで国際優先特許申請中です。この技術はプラスチック成型加工学会【2013年第1回技術進歩賞】を受賞しました。

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