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必要な数や色に小ロットで対応。コストや在庫管理の課題を解決する、プラスチックの染色加工株式会社ムラカミ

2019.04.18

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プラスチックの染色加工ならば、ニーズに応じた様々なカラーへの調色が可能

学ぶべきポイント

  • 染料に関する実績と知見により、プラスチックの染色加工技術を開発
  • プラスチックの染色加工へと基幹事業をシフトさせる先見性と柔軟性

株式会社ムラカミは、プラスチックの染色加工を専門に行っている会社。汎用樹脂からスーパーエンプラ、3D造形樹脂といったものまで、成形品の状態で染色によって着色する独自の技術を有している。

同社は、1957年に村上染料薬品会社として京都市で設立された。創業時から繊維染色用の工業薬品や有機合成染料の販売を手掛けていたことから、同社には染料に関する実績と幅広い知見があった。この実績と知見にチャレンジ精神が加わって、プラスチックの染色加工の技術を開発することになった。

そのきっかけは、20数年前に同社代表取締役の村上賢治氏が当時流行していた「異業種交流会」に出席したことに端を発する。交流会に出席していたプラスチック成形メーカーの社長から、「プラスチックを染色加工できないか」という提案があったのだ。この提案から、1995年からプラスチックへの染色の研究開発をはじめ、基幹事業を徐々にシフトしていった。

そもそもプラスチックの染色加工とは、一体どのような技術なのだろうか。

プラスチックの染色加工は、従来の着色方法である「材料着色」と「塗装」とは異なり、染料が持つプラスチックに対する親和性を利用し、染料をプラスチック樹脂成型品の内部に浸透させていく技術だ。

従来の着色方法である「材料着色」と「塗装」には上記のメリット・デメリットがある

従来の着色方法と染色加工の決定的な違い。それは染色加工の場合、樹脂成型品を小ロットで着色できるということだ。樹脂成形を営む中小企業では、小ロットで着色した成形品が必要となることが多い。しかし「材料着色」をした樹脂を仕入れる場合、数百kg~1tと大量の樹脂を購入する必要がある。このためコスト面や在庫管理が課題となっていたのだ。また、成形後に着色する「塗装」の場合、塗膜の剥がれ落ちや、塗装できない樹脂の種類があることがネックとなっていた。このような従来の着色方法のデメリットを覆すことができるのが、「染色加工」といえる。染色加工の場合、必要な数や色での小ロット対応で、コストの大幅な削減が期待できるのだ。

同社は様々な試行錯誤を繰り返しながら、約4年の歳月を経てプラスチックの染色加工技術を完成させた。そして同社独自の技術であることから、この染色加工技術はMTP(ムラカミ・サーモ・プレッシャーの略)プラスチック染色と名づけた。

小ロット対応の他にも、MTPプラスチック染色のメリットは以下の通りだ。

MTPプラスチック染色のメリット

またMTPプラスチック染色の開発において、重要視したのが安全面や環境への配慮だ。RoHS、REACH、EUなどの規制をすべてクリアしていることからも安全性の高さが窺える。そして染色は染料が樹脂内部に浸透するため、塗料でコーティングする塗装と違い、塗膜の剥がれ落ちの心配もなく、医療施設などでも使用が可能になる。さらにバイオプラスチックにも染色が可能なことから、今後、より自然環境に負担のない製品づくりに貢献することもできるのだ。

染色加工には現在、次のようなデメリットもある。野外などの過酷な環境下での色落ち、耐光性に難があること。射出成形によるABS樹脂を染色した場合、曇りや傷が目立つこと。シリコン樹脂の染色後の色移りなどが挙げられる。これらのデメリットは、今後、実証実験などを重ねることで解決の糸口を見つけ、改善していくとのこと。

同社は現在、染色加工の技術でアパレルメーカーや、医療部品、産業部品製造業など幅広く取引を行っている。今後、求める事業パートナーとしては樹脂成型品を取り扱う企業全般で、使用用途も多種多様だ。

同社の村上氏曰く、「今後は展示会などに参加することで、私たちには想像しえなかった染色の活用法に出会えることを期待しています」とのこと。小ロットに対応できる、プラスチックへの染色加工のニーズはまだまだ無限に広がっている。

取材日:2019年3月4日

 

企業情報

株式会社 ムラカミ

創業当初は織物への染料・薬品の販売を手掛けており、染色に関する知識と経験が豊富にあります。現在は国内で唯一プラスチックの染色を専門にしている事業形態を営んでおります。不可能とされていた樹脂への染色の成功、培った染色・調色技術でプラスチック製品への新しい可能性をご提供いたします。

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