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直径5mmのケーブルにセンサー・チップを埋め込み、
複数ポイントの同時計測を可能にした「ケーブル一体型多点温度センサー」三陽電工株式会社

2018.04.25

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複数ポイントの同時温度計測を可能にした多芯ケーブル「ケーブル一体型多点温度センサー」

学ぶべきポイント

  • 特許取得までに至った斬新なアイデア
  • 既存とは一線を画した手法を具現化する技術力

2018年に創業70年を迎えた、特殊電線・ケーブルの専門メーカーの三陽電工株式会社。カスタムケーブルの少量多品種生産を得意とする同社では、これまでに培った技術を活かし、複数ポイントで同時に温度を計測できる「ケーブル一体型多点温度センサー」を開発。現在、温度管理が必要な事業を手がける企業への交渉を進めている。

同社が開発した「ケーブル一体型多点温度センサー」は、直径5mmのケーブル内部に温度センサー(サーミスタ)が埋め込まれており、複数ポイントでの同時温度計測を実現した。計測範囲はマイナス20℃から100℃までと幅広く、利用にはインターフェース装置と一体となったケーブルをUSBでPCと接続して行う(下図参照)。温度変化による電圧変動をセンサーが検知し、PC画面上にグラフと数値で計測された温度が表示される仕組みだ。ケーブルの長さは最大100メートルまで対応可能で、センサーはケーブルの長さを問わず1~40ポイントまで埋め込むことができる。

温度を複数ポイントで同時計測する方法は、複数の熱電対を変換器などを介してネットワーク化する方式などこれまでにも存在した。しかし、機器の設置や電源工事が複雑なうえ、複数の熱電対変換器を用意しなければならないためコスト増になるなどのデメリットがあった。だが「ケーブル一体型多点温度センサー」は、ケーブルを任意の箇所に敷設するだけで計測できるため、コストカットにつながり、一度敷設してしまえば常時給電できることからメンテナンスも不要という。

同製品のアイデアは約3年前に着想し、「複数のポイントを計測できる機器を作りたい」という医療メーカーからの要望もあって試作品を開発。採用には至らなかったものの、その後、独自にサイズを変えるなどの改良を経て、現在の直径5 mmの多芯ケーブルが誕生した。ただ、開発面では試行錯誤を繰り返した。ケーブル内のセンサーにプラスとマイナスの配線を施す際に、通常であれば素材の電線を色分けするなどして識別するが、同製品は電線ではないものを配線しているなど仕組みが異なるため、識別の仕組みについて「材料の選定や色の用意などで苦労した」と同社の小林潤社長は振り返る。具現化にはこれまでに培ったケーブル開発の技術が活かされ特許も取得。「技術は他愛ないものだが、材料を変え、識別方法のアイデアを入れたことで特許まで取れたのは、苦労した成果」と語る。

現在はビニールハウスで農作物を栽培する業者や産業用ロボットのメーカー、倉庫を持つ大手通販企業などでの利用が見込めると考え、温度管理が必要なこれらの事業者と交渉を進めている。次のモデルの製品化も進めているといい、今後は認知度向上に注力し、導入を進めていく考えだ。

  • 複数のポイントで温度を計測できる同社の「ケーブル一体型多点温度センサー」。100mまでの範囲ならケーブル1本で計測できるため、農作物に限らず、たとえば発酵食品や日本酒など温度管理が肝となる食品関連での需要も多いに期待できそう。また、スマートフォンと連携させてリモートで管理するなど、PC接続という性質を活かした活用法も考えられる。さまざまな可能性を秘めている同製品に今後、注目が集まりそうだ。

企業情報

三陽電工株式会社

創業70年を迎えた特殊電線・ケーブルの専門メーカー。カスタムケーブルの少量多品種生産を得意としています。弊社製ケーブルの活躍のフィールドは幅広く、宇宙から海底まで、自動車用部品から照明機器まで、あらゆる環境で活躍しています。近年は独自技術の開発に努めており、特許の取得にも積極的に取り組んでいます。

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