BreakThrough 企業インタビュー

自社の強みと顧客ニーズを知り、エコシステムを形成すれば、生き残りは可能ミツフジ株式会社

<連載第2回>(全2回)

2020.02.20

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独自の銀メッキ導電性繊維「AGposs(エージーポス)」によるウェアラブルデバイスを活用したソリューションサービス「hamon(ハモン)」で、国内外から注目を集める「ミツフジ株式会社」。同社を倒産の危機から立て直した社長の三寺歩みてらあゆむ氏に、市場の動向を見据えた今後の展開や、ものづくり中小企業へのメッセージなどを伺いました。


市場の変化を見すえ、連携も視野に入れた課題解決を目指す

ウェアラブル市場は、その将来性への関心が高まり、近年さらに拡大しています。そんななか、「素材となる糸、生体情報を取得できる上に着心地にもこだわって織り上げたウェア、省力化・小型化を目指したデータ送信用トランスミッター、着用者の状態を見える化するアプリやクラウドを統合したワンストップ・ソリューション『hamon』の提供」を強みとしてきた同社も、新たな方向へ舵を切ろうとしています。

「20世紀は、小型化などの機械の性能や素材の質が売りになりました。しかし21世紀は、その機械や素材を使って“どんな課題を解決できるか”が問われる時代。当社も導電性が高い『AGposs』で得られる正確な生体データと、状態の見える化を行う独自のアルゴリズムを核とし、ほかの組織や企業との連携を視野に入れた、社会課題の解決を目指すプラットフォーム企業を目指していきたいと考えています」

医療・健康分野をターゲットに事業の幅を広げる

現在、同社では社会課題解決型企業を目指して、特に医療・健康分野に注力し、体調変化やてんかん予知、ストレス管理を含む経営課題の解決に向けたソリューションに挑戦しています。

「医療機器の承認取得を目指す一方で、医療レベルの健康管理、一般の方がリーズナブルかつ手軽に役立てられるサービスも展開していきたい。スポーツサイエンスの分野では、アスリートのトレーニングや体調管理に必要なデータを取得・解析する事業も始めました」

企業連携も積極的に行い、株式会社ワコールとはブラジャー型ウェアラブルを共同開発。さらに健康経営に積極的なPeach Aviation株式会社の協力で、ウェアを着用した客室乗務員から取得した生体情報で医師監修によるストレス解析を行い、働き方改革や勤務体制改善などを目指しています。
※メンタルヘルスの分野はメディカル・ビー・コネクト株式会社と業務提携。

 

ブラジャー型ウェアラブル「iBRA」。

 

大学との共同研究でコアとなるデータ分析を強化

大学との共同研究にも力を入れています。産業医科大学とは暑熱対策のアルゴリズム開発で連携。さらに、名古屋大学、東京医科歯科大学、熊本大学とは、てんかん発作を事前に予知する仕組みを共同で開発しています。

「大学の産学連携本部に連絡すれば、こちらの資金が少額でも共同研究を検討してくれます。中小企業も臆せずアプローチできると思います。」

2018年には共同開発のさらなる推進に向け、経済産業省の補助金も活用しながら、福島県川俣町に新工場を設立。共同作業室、会議室、実証実験室、セキュリティ完備の研究開発室などを設けたこの工場は、単にウェアを生産する工場だけでなく、アイデアをすぐ形にできるイノベーションの場としても活用でき、ラピッドプロトタイピング(高速試作)が可能となっています。

「市場が大きくなれば多くの企業が参入してきますが、1社しか生き残れない市場なんてありません。自社の強みをきちんと把握し、社会課題にしっかり向き合い、多様なパートナーと連携・共創しながらビジネスエコシステムを形成していけば、生き残りは可能。状況に応じて戦う場所を変えながら、新たな価値を創造する経営をしていきたいですね」


連載「独自の銀メッキ導電性繊維にIoTを掛け合わせた課題解決型ビジネスで事業を再建」

第一回 独自の銀メッキ導電性繊維にIoTを掛け合わせた課題解決型ビジネスで事業を再建
第二回 自社の強みと顧客ニーズを知り、エコシステムを形成すれば、生き残りは可能


企業情報

ミツフジ株式会社

代表取締役社長 三寺 歩(みてら・あゆむ)

1956年に三寺氏の祖父が京都で創業した西陣織の帯工場をルーツとし、その後79年に三ツ冨士繊維工業株式会社として設立。95年に米国の銀メッキ製造会社と独占販売契約を締結し、2002年には銀メッキ繊維の総合ブランド「AGposs」を商標登録。15年に現社名に変更し、翌16年に自社初のソリューションサービス「hamon」を発表。

取材日:2019年11月28日

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