PICK UP

積層プレス工法で炭素繊維強化プラスチックを量産化。回路基板の技術を活かした「KIBAN:LIGHT(キバン:ライト)」などを展開株式会社水田製作所

2019.02.21

SHARE
  • facebook
  • twitter

「KIBAN:LIGHT」シリーズ「KAGEE~影絵」。裏面に回路基板の機能を残し、LEDを発光させている

学ぶべきポイント

  • 量産品の生産工程を応用することで、品質の安定化、炭素繊維強化プラスチックの新規用途開発に貢献
  • 空間デザイナーとのコラボレーションで、基板回路技術を活かした照明を展開
  • 今後は、ナチュラルさを加えたWoodCarbon(ウッドカーボン)等、製品開発を推進

近年、炭素繊維強化プラスチック(以下CFRP)が注目されている。比重は鉄の4分の1と軽量で、高い強度、ゆがみにくさなどの特徴を持つ高機能素材だ。
航空機や人工衛星、レーシングカーのボディなどの大型部品に使われることが多いほか、最近では、車を軽量化し燃費向上を目指す自動車業界で用途開発が進んでいる。さらには、ゴルフクラブのシャフトや釣り竿など、高価格帯の製品に使われるケースも増えている。
だが、これまでCFRPは手作業に近い工法で製作され、工業的生産体制ではないため、コストや工期、品質管理面において課題を抱えていた。

株式会社水田製作所は、創業80年を超えるプリント基板、端子台などの総合アセンブリメーカーだ。ガラス繊維強化プラスチック(以下GFRP)の製造や加工などの実績があり、その量産に用いていた積層プレス工法を応用して、品質の安定化などCFRPの新たな部品・製品製造に取り組んでおり、現在も新たな用途開発に努めている。

また、CFRPの新たな用途として、同社は、本業であるプリント基板と組み合わせることで、新しい価値を生み出したいと考えた。そこで、発光させる回路を配したプリント基板を中心にし、CFRP2枚で挟み込むように一体成型し、光る棒を製作した。約60センチの光る棒は、繋ぐことで長さを伸ばすことができる。こうしたプロトタイプをいくつか展示会に出品したところ、評価する声があり、新たな連携へと発展していった。

なかでも、同社にとっては異文化とも感じられる空間デザイナーらとの出会いが、次の事業へのきっかけとなった。「基板の配線パターンが格好いい」と価値を感じてくれた空間デザイナーらと何度もミーティングを行い、ブラッシュアップを重ね、「KIBAN:LIGHT」シリーズ「Mo-DULO(モデュロ)」という照明器具を完成させたのだ。

「KIBAN:LIGHT」シリーズ「Mo-DULO」。光り方の違いで、おしゃれな空間を演出する

上の写真にある黒い照明は、プリント基板にCFRPを独自の工夫で一体化させており、白い照明はプリント基板の配線パターンをそのまま使っている。基板にLEDを配し、黒く光を遮断するCFRPと、白く光が透けて見え配線パターンが浮かび上がる基板そのままのものと、異なる光の見え方を演出できる。写真は五角形の面を組み立てて12面体になっているが、一面ずつ取り外して自由な形に組み替えることもできる。もちろん白と黒を組み合わせることや、ペンダントライトのように吊り下げることも可能だ。

またKIBAN:LIGHTシリーズの新たな照明として、デザイン性を向上させた「KAGEE~影絵」を発表した。プリント基板は通常、GFRPに銅箔が貼られた基材を使用し製造される。通常は、回路を保護するために、回路の表面へ「レジスト」というインクで緑に着色されることが多いが、あえてその処理はせず、銅そのものをデザインに活かした。表面は銅をデザイン性のあるイメージにエッチング処理し、同時に裏面には回路基板の機能をそのまま残してLEDを搭載し、発光させる。すると、影絵のようなデザインが浮かび上がるのだ。また、銅は自然経年変化するため、経年による味わいや深みも演出できる。底部には充電バッテリーを内蔵し、一度の充電で約10時間点灯する。A5判ほどの大きさで195gと軽く、移動させるのも簡単だ。
KAGEEは2019年2月から東京渋谷の東急ハンズのほか、インターネットショップなどでも販売を始めた。デザインや大きさなど、オーダーメイドでの製作も受け付ける。

WoodCarbon。製造可能な範囲での大きさ、形状、厚みの変更が可能

同社では、さらなるCFRPの用途開発・展開も推進している。
CFRPならではの軽さと強さに、木目を施しナチュラルな風合いを加えた「WoodCarbon」を製作。家具や什器のメーカーとタイアップし、インテリアの意匠パネル、プロダクトの仕上げ材、キッチンパネルなどさまざまな用途での活用を模索している。同社の持つ基板回路の技術と組み合わせて、たとえばある部分だけを光らせるなども可能で、従来とは一味違った家具などを展開したいメーカーに営業活動を行っていくという。

また、現在は、熱硬化性プラスチックであるCFRPの展開が中心だが、同社には、熱可塑性プラスチックであるCFRTPの製造・加工にも実績がある。今後は、WoodCarbonを中心に、炭素繊維強化プラスチックの量産化と用途開発を進め、高機能素材をもっと身近なシーンで活用できる未来の構築を目指している。

取材日:2019年2月4日

 

企業情報

株式会社水田製作所

樹脂成形部品およびプリント基板、端子台などの部品製造から組立完成品の設計・受託製作までをコアに「総合アセンブリメーカー」として小規模EMS体制によりお客様のニーズに総合的にお応えする企業です。また、近年注目されている炭素繊維複合材の工業的生産をめざし、製造技術開発と用途開発を進めております。

企業情報ページはこちら

SNSでシェアしよう

関連記事