PICK UP

3Dスキャンで非対称性をスピーディに可視化する「ボディバランスモニタ」株式会社ノア

2019.12.05

SHARE
  • facebook
  • twitter

モニター上では色のグラデーションにより背中の歪み(非対称性)が表される

製品名=「ボディバランスモニタ」

体に負担をかけず背中の歪みをモニターに3D表示

「ボディバランスモニタ」は、ワンショット型3Dスキャナにより体の歪みなどを一瞬でモニタリングできる装置だ。3Dスキャナで人体等を非接触計測(スキャン)すると、モニターの3Dモデル上に左右の歪み(非対称性)が色の違いとなって現れる。

薄手のものなら着衣のままでも測定可能。さらに非接触かつ0.1秒以内という瞬時の撮影でデータを取ることができるため、同一姿勢を長時間保つことが困難な人でも対象となり得る。また、非対称性を評価するエリアは自動抽出され、個別エリアの指定も不要。解析も高速で、開始から結果表示まではわずか数秒間だ。

モニターには、対称の部分は緑色、非対称の部分はその度合いにより緑⇒赤と緑⇒青のグラデーションで表される。どの程度の歪みを非対称として判断するかは、ミリ単位で指定が可能であるため、微小な歪みでも可視化できる。

開発成功のカギは特許申請中のアルゴリズム「R-ICP」

3Dスキャナや各種アプリケーションの開発・販売を行う株式会社ノアは、2014年に「ハンディ3Dスキャナ」を開発した。これはデジタルカメラ感覚で誰でも簡単に撮影可能という画期的な製品だったが、3Dスキャナ自体の社会的認知度が低く、用途開発に苦労していたという。

やがて北海道大学大学院医学研究院の須藤英毅准教授より脊柱側弯症診断装置について相談を受けたことをきっかけに、この「ハンディ3Dスキャナ」を応用した開発を始めることになるが、「非対称性をどのように表現するか」が難題に。そこで同大学院情報科学研究院で工業部品の非対称性を研究する金井理教授と連携。金井教授より提案された基本アルゴリズムを基に共同開発を行った結果、非対称性を可視化・数値化するアルゴリズム「R-ICP」(Reflected Iterative Closest Point)にたどり着いた。この「R-ICP」に同社独自の3D処理技術を適用し、処理の高精度化・高速化を実現。4年以上の開発期間を経て、須藤准教授の希望に適った、脊柱側弯症などによる非対称性の可視化システムが完成した。

アルゴリズムの「R-ICP」は現在特許申請中であり、また、「ボディバランスモニタ」の技術を導入した製品は、脊柱側弯モニタとして、このほど医療機器として承認された。

医療およびヘルスケアの分野で幅広く普及を目指す

現在までの「ボディバランスモニタ」の販売先は、おおむね研究者。他には子どもたちの健康診断などにもすでに導入されている。開発段階から「子どもたち何百人もの計測を簡易に短時間で行える装置を目指した」というこの製品にとって、これは理想的な利用シーンだろう。また、スーパー銭湯やフィットネスクラブなどで、ユーザーに背中の歪みのデータを提供するヘルスケアイベントなどでも活用されているという。

今後、医療機器承認が下りると、医療機器として、健康診断用途を含め幅広い販売が可能になる。一方、ヘルスケア用途では、スマートフォンアプリと組み合わせた健康管理システムを構築し、整体・整骨院などへの導入を目指している。

3Dスキャナと、その価値をいっそう高めるアプリケーションシステムを、顧客ニーズに沿って開発していくという同社だけに、「ボディバランスモニタ」の活用が広がることによって、さらなる展開も生まれてきそうだ。

取材日:2019年9月13日

 

企業情報

株式会社ノア

1993年、つくば市に設立。主要事業は3Dスキャナと3Dデータを利用したシステムの開発。簡易操作のハンディ3Dスキャナ「Hapimono:3D」を製品化したほか、メーカー工場の製品検査などに使われる最高分解能0.1㎜・最短測定時間1.0秒の3Dスキャナも実現。2010年に札幌市に北海道技術開発センターを設け、北海道大学大学院との連携により18年に「ボディバランスモニタ」の開発に成功。

企業情報ページはこちら

SNSでシェアしよう

関連記事