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酸素供給や廃水浄化を低コストで実現できる重力式酸素溶解器安原環境テクノロジー株式会社

2019.12.17

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実証試験を目的にベトナムのエビの養殖場に設置された「DO-MAX Falls150t」

製品名=重力式酸素溶解器「DO-MAX」

自然エネルギーの活用で電気代を最大86%削減

安原環境テクノロジー株式会社の「DO-MAX」は、低コストで酸素を水に溶かし込むことができる重力式酸素溶解器。養殖に必要な酸素を供給できることに加え、超音波洗浄や廃水浄化設備の能力向上も期待でき、すでに水耕栽培工場や鯉の養殖場などでの活用が始まっている。

同製品では、土木工学における河川工学、海岸工学の知見をベースとし、流れる河川の水や海岸で砕ける波の海水中に酸素が溶け込む原理を応用。自然界にある重力に加え、遠心力や負圧差を利用しながら、水を上から下へ流すことで空気中の酸素を水中に溶け込ませ、溶存酸素を増やし、同時に数ミリ程度の気泡を生成する。

同製品の大きな強みは、自然エネルギーを活用するため、コスト優位性が高いこと。従来の電力のみに頼った酸素溶解方法に比べ、50%以上のエネルギーコストが削減可能で、電気代を最大86%削減した事例もある。また、基本構造を単純化することにより、ほかのタイプの酸素溶解器に比べて故障も少なく、メンテナンス費も圧縮できるという。

国内外で実績をあげ、用途がさらに拡大

同製品には、二つの主要機種が存在する。一つは、超音波で気泡を圧壊し、さらに水中の溶存酸素を短時間で飽和状態にする「DO-MAX(USW)」。もう一方は、超音波を発しない、よりシンプルで低価格の「DO-MAX Falls」だ。

これまでの採用実績としては、まず国内外の鯉の養殖場がある。鯉が育つための酸素供給が主な目的。特に稚魚の養殖プールでは気泡が邪魔になるため、気泡を圧壊するDO-MAX(USW)への評価が高い。

また、アジア諸国に多数あるエビの養殖場でも導入が進むほか、国内では水耕栽培工場からの受注実績もある。

他に「DO-MAX」を活用する理想的な場の一つは、廃水浄化設備のばっき槽。特に中小の食品メーカーなどで、廃水浄化設備が老朽化し性能が低下した場合、既存の酸素供給装置を同製品に替えれば、消費電力の大幅削減が可能となる。

また、超音波洗浄機の一部として同製品を使い、洗浄用の液体に気体(酸素)を供給するという活用法も考えられる。孔の中や凸凹部分も洗浄できる超音波洗浄機の利用分野は幅広く、エンジン等の機械加工部品、半導体ウエハ、携帯電話、医療用器具、LCDレンズ、メガネと枚挙にいとまがない。ただ、洗浄中に洗浄液の中の気体が自然減し、洗浄効果が低下してしまうという課題がある。そこに同製品を組み込めば、気体(酸素)を補うことができるわけだ。

産学連携で今後も水環境をクリエイトする独自の製品を

「DO-MAX」は、もともとは同社が自社のために産学連携によって開発した製品だ。微生物を活用して浄水・浄化を行う同社のバイオ事業の効率を最大限に高めるため、自然エネルギーを活用した重力式酸素溶解器の開発を検討。河川工学、海岸工学の知見をもつ徳山工業高等専門学校土木建築科・上 俊二教授の支援を仰いだ。また現在は、製品のいっそうの性能アップに向け、坪郷計算工学研究所の坪郷浩一氏(工学博士)とも連携。同製品による酸素溶解について、流体解析に基づく検証実験・評価を進めている。

「DO-MAX」の機能拡充に期待がかかるのはもちろん、水環境をクリエイトする企業の独自の発想によって生み出されるそのほかの環境対応製品にも注目だ。

取材日:2019年8月8日

 

企業情報

安原環境テクノロジー株式会社

1968年創立。水道・浄化槽・水処理設備などの公共事業で設計・施工・メンテナンスの実績を重ねる。2007年、公共事業の縮小傾向を受け、水環境に特化した会社を目指し環境バイオ事業部設立。微生物による水質浄化剤や、微生物で油を分解し産業廃棄処理不要の油吸着分解材を販売開始。16年、国内で「DO-MAX」の特許を取得、「DO-MAX (USW)」を発売し、17年、「DO-MAX Falls」を発売。

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