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自動運転とテレマティクスが自動車産業を変革する

発想を学ぶ

2016.08.01

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自動運転実験車。ミリ波レーダー、ライダー、カメラが搭載されている。

  • 2020年に向けた政府の強い期待も含め、自動車メーカーは大変革の時を迎えつつある。クルマ社会の変化に向けた現在のキーワードとそれを取り巻く状況を探る。 

“グーグルカー”の登場で一変したクルマへの認識

「走る・曲がる・止まる」という基本性能が何よりも重要なクルマにおいて、カーナビやGPSといったテレマティクスは、カーライフを充実させる便利なサービスにすぎなかった。しかし、アップルやグーグルなどのITジャイアントがテレマティクスを介してビッグデータの獲得に乗り出し、グーグルにいたってはその先に完全ドライバーレスの自動運転車を見据えている。

現在注目される自動運転は、「無人運転」との区分が曖昧になりがちだ。ドライバーが専用ボタンを押すなどして操縦方法を切り替える「自動運転」と、最初からドライバーを前提としない「無人運転」とでは、意味合いがまったく異なる。将来的には自動運転に向かうことを前提に、可能な範囲で実証実験を重ねているのが現状といえる。

トヨタ自動車は2015年10月、自動運転実験車(Highway Teammate)を公開、首都高速道路での合流、車線維持、レーンチェンジ、分流、追い越しを自動運転で行うデモ走行を実施した。Highway Teammateは、地図情報との照合により自車両の位置を把握するほか、走行ラインと目標速度を生成したうえでハンドル、アクセル、ブレーキを自動で操作する。トヨタでは、2020年頃の実用化を目指し開発中としている。

ITS技術とテレマティクスサービス

トヨタの自動運転に含まれる技術に「ITS Connect(アイティーエスコネクト)」がある。ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は通信と交通の融合を研究する分野で、主導的な立場をとるのがトヨタだ。 またトヨタはテレマティクスサービス「T-Connect(ティーコネクト)」を提供。2016年4月熊本地震の際、従来から提供している「通れた道マップ」の初期画面を被災地付近に設定。直近約24時間に実際にクルマで通行できた道路の情報を地図上に表示し、1時間ごとに更新した。今後のテレマティクスサービスについて具体的なイメージを示した例といえるだろう。

コネクテッドカーと車載OS争奪戦

クルマの通信機能を表す言葉として「コネクテッドカー」がある。外の世界とつながることを表現した名称で、大きく2つの領域に区分される。1つは、ETC、VICS(道路交通情報通信システム)、ACC(車間距離制御装置)など、ITSに属するサービス。もう1つは音楽、映像、SNSなどインフォテインメントが主体となるサービスで、アップルとグーグルが相次いで本格参入してきた分野だ。ここでもトヨタは独自の路線を打ち出している。Linux協会と連携し 「Automotive Grande Linux(AGL)」という独自の車載OSを構築する大規模な構想を発表。AGLは、オープンソースのLinuxをベースに「コネクテッドカーとして理想的な車載OS」を各自動車メーカーに呼び掛けている。

人工知能、ライドシェアリング・サービスウーバーへの投資

2015年末から、トヨタによる人工知能(AI)事業への投資に関する報道が相次いだ。自動運転においてAIはまさに“目”となる効果が期待できる。 センサーで取得した情報から次に起こりうる事態を想定することは事故の軽減に大きく寄与するだろう。

2016年5月にはライドシェアリングサービス最大手のウーバーと、ライドシェア領域における協業を検討する旨の覚書を結んだことを明らかにした。ウーバーは昨年秋、独自に自動運転技術の研究開発を進める計画を明らかに しており、2016年5月にはピッツバーグでの公道走行実験が伝えられていた。今後の自動車メーカーと自動運転を取り巻くサービスは、ますます進化のスピードを増していくだろう。

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