BreakThrough 企業インタビュー

製造業をはじめ、社会全体の構造を変え得る世界最速の3Dスキャナーを開発株式会社4Dセンサー

2020.02.18

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和歌山大学発のベンチャー「株式会社4Dセンサー」が開発した世界最速の3Dスキャナーは、大手自動車メーカー、建設会社、鉄道会社などに採用され、各社の生産性向上や業務効率化に貢献しています。今後ロボット分野への応用や、社会課題の解決も期待できるこの製品の強みや可能性について、同社取締役・入野康隆氏に伺いました。


動くものをスキャンし、“製造しながら検査”を実現

これまでの3Dスキャナーには、スピードが遅い、計測対象物の静止が必要などといった課題があり、製造現場での活用はオフラインでのサンプル検査など一部に限定されていました。この課題を解決したのが、同社が開発した社名と同様の製品「4D Sensor」です。

「3Dのx・y・z軸に、時間(t軸)を加えたという意味で、4Dと称しています。同製品は、1秒間に最高5万回という超高速スキャンができ、例えば工場のライン上で対象物の動きを止めることなく全数検査することなども可能。ラインの上流で検査して不良品を下流へ送らない仕組みもすでに構築済みです。つまり、“製造してから検査”ではなく、“製造しながら検査”という、ものづくりのパラダイムシフトが実現するのです」

同製品の活躍の舞台は、ものづくりにとどまりません。

「モーションキャプチャとしては、非接触式で人体の動きや呼吸をミクロン※単位で計測できるなど従来品の課題を解消しました。さらに鉄道会社からの依頼で開発した、列車通過中の鉄道橋のたわみを高精度にリアルタイムで計測するツールとしても実用化されています」

現在、日本では各種インフラの経年劣化が社会問題化しているため、今後同製品への期待はさらに高まっていくでしょう。
※1ミクロンは0.001mm。

特許技術と市販のカメラなどの組み合わせで新価値を創造

「4D Sensor」の利用法を解説する同社社員のサシャ・セレシュさん。世界最高の技術を持つ同社には各国から人材が集まる。

同製品のハードを構成するPCとプロジェクタ、デジタルカメラは、基本的に一般的な市販品を活用できます。計測時には、対象物に対してプロジェクタが2種類の格子を投影し、そこに生じたモアレ縞※をカメラで撮影。その輝度から独自のアルゴリズムで高さ(z軸)を計算し、2Dカメラでの3Dスキャンを実現しています。

「従来の位相シフト法による3Dスキャンでは、静止した対象物に対して3〜16枚の写真撮影が必要でしたが、当社が独自開発したOPPA法(One Pitch Phase Analysis法)という特許技術なら撮影は1枚、対象物が動いていてもスキャンすることが可能です」

同製品のスピードや精度などはカメラの性能や対象物までの距離などで決まり、現状は最高で二桁ミクロン程度の精度を実現できると言います。
※規則正しく並んだ模様を重ね合わせたときに生じる縞模様。

“ロボットの目”としての活用にも期待

これからの社会では“ロボットの目”としての活用も期待されます。

「動体を3Dでセンシングでき、リアルタイムのフィードバックおよび制御が可能な『4D Sensor』は、ロボットの性能の飛躍につながると思います。製造業ではバリ取りや研磨作業などのオートメーション化、物流業ではマテハン※への展開でより高度な業務が行えるようになるでしょう」

同社のキーワードは「社会実装」。大学発ベンチャーらしくシーズから始まっているだけに、それをいかに社会のニーズと結びつけるかがカギになります。

「『4D Sensor』は、ニーズに合わせてカスタマイズするのが基本で、他の測定器の1コンポーネントなどとしても提供できます。動体の3Dスキャンがどんな新価値を生み出すか。ぜひ皆様と一緒に考えていきたいと思います」
※マテリアル・ハンドリングの略。機械による運搬や荷役作業を指す。


企業情報

株式会社4Dセンサー

取締役・ 入野康隆(いりの・やすたか)

和歌山大学での研究をもとに、2012年に設立。高速で高精度な形状・変形計測装置の研究・開発・製造・販売を行う。特許技術OPPA法により世界一高速かつ高精度な計測装置の開発に成功。同技術を搭載した4D Sensorは用途に合わせてバージョンアップを継続中。

企業情報ページはこちら

取材日:2019年12月23日

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