BreakThrough 企業インタビュー

リスクを取りづらい今こそ、新たなパートナーシップを新光電子株式会社

<連載第2回(全2回)>

2020.09.10

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「音叉式力センサー」「音叉式やわらかさセンサー『SOFTGRAM』」に代表されるように、「新光電子株式会社」が世に送り出す製品は、ユニークでありながら時代のニーズを的確に捉えています。このような製品を開発する秘訣はあるのでしょうか。第2回は、「SOFTGRAM」開発の経緯などについて同社の森井俊秀代表取締役社長に伺うとともに、同社が大切にする製品開発のポイントや連携への思いなどを探っていきます。


新規事業部を設置し、ものづくり集団のDNAを呼び覚ます

「音叉式力センサー」を用いたはかりのシェアの高さは、前回の記事でも触れました。このように世界中から求められるキーアイテムがあると、その製品を量産してグローバルに届けるという部分に事業基盤がシフトしていきます。

「当社もそうでしたが、社員の中には『私たちは世界初の製品を数多く生み出してきたものづくり集団なんだ』という誇りがあるのを感じていました。そこで、私が社長に就任した2016年に、世の中の課題を解決するお役立ちアイテムを創造するための部署を新たに立ち上げました」

その後、徹底的なマーケティング調査のなかで、多くの業界で「やわらかさを正確にはかりたい」というニーズがあることにたどり着きます。そこから技術的な数々の課題を乗り越え、2年半という期間をかけて製品化された「SOFTGRAM」は、用途開発中にも何度も高い壁に阻まれたそうです。

「医療・ヘルスケア分野で多くの共同研究をさせていただきましたが、思うような成果につながらないこともありました。ただ大切なのは、そこから何を掴むかです。私たちの多くのチャレンジは、製品の課題や適性を知ることにつながりました」

世の中のお役立ちアイテムを開発するために立ち上げた部署には、各分野のエキスパートが集う。

経営者に大切なのは、ユーザーとしての客観的な視点

社会に求められる製品を開発する上では、単に技術的に最高の物を求めればいいというわけではありません。

「技術者はとことんやり切りたいわけですが、経営者となるとそうはいきません。開発の経緯を知っていれば判断に感情も入ってしまいますが、できるだけ客観的な立場から諸々の決定・選択を行うのが私の役割。その際、よい結果ばかりを想像せずに疑ってみる。さまざまな声に耳を傾ける。自分で視野が狭まっていると感じたら、いったん引いて考えるということを心がけています」

その客観的な視点は、製品開発にも活かされているといいます。

「私は技術者ではないので、技術的なアドバイスはできない。その代わり、とにかくユーザーとしてのフラットな目線でのフィードバックを遠慮なく伝えるようにしています」

新たなパートナーシップで新しい可能性を模索したい

同社はかつて、画期的な技術や製品の数々をすべて自前で確立していました。しかし今はオープンイノベーションでよりスピーディーに技術革新が進む時代。森井社長も連携には前向きなスタンスです。

「優れたリソースをもつ外部との連携はいまや事業手法としてスタンダードです。外の技術者と接することで、当社の人材が成長するというメリットも実感しています」

現在、疾患の検査などにも同製品の用途を切り拓こうと、東京都の医工連携コーディネータによるサポートも得て、大学の医学部との共同開発が進行中。また、食品や化粧品の領域も視野に入っています。

「企業は世の中に貢献することがミッション。そのことに社員やその家族も誇りがもてる人間集団を作り上げることが私の理想です。そんな当社を“面白い”と感じてくれる方がいれば、ぜひお声がけいただきたい。今は非常にリスクを取りづらい状況ですが、新しいパートナーシップを結ぶことで新しい可能性を模索していきたいと考えています」


連載「リスクを取りづらい今こそ、新たなパートナーシップを」

第一回 世界屈指の計測計量技術を誇る企業が、“やわらかさ”の測定を実現
第二回 リスクを取りづらい今こそ、新たなパートナーシップを


企業情報

新光電子株式会社

代表取締役社長・森井俊秀(もりい・としひで)

1963年、精密変位測定器である差動トランスのメーカーとして創業。世界で唯一の技術「音叉式力センサー」を搭載した精密な個数はかりや電子天びんなどで高い評価を獲得。その後、はかりメーカー「株式会社イシダ」のグループ企業となる。2019年2月、世界初の音叉式やわらかさセンサー「SOFTGRAM」を発売。

取材日:2020年7月28日

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