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独自のバイタルセンサー技術によって、乳幼児の呼吸を優しく見守るベビーセンサー「Baby Ai」株式会社リキッド・デザイン・システムズ

2019.04.16

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「Baby Ai」の筐体。写真手前の上部通気口により、湿温度を感知する

学ぶべきポイント

  • 午睡における乳幼児の安全性の向上と、保育士の負担を大幅に軽減
  • バイタルセンサー技術による、クオリティオブライフの向上に寄与

株式会社リキッド・デザイン・システムズは、独自のバイタルセンサー技術を軸にユニークなテクノロジーを開発し、製品展開することで様々な社会的課題を解決している会社だ。

「バイタルセンサー」とは、人間の呼吸・心拍数などを計測し、動きを感知する技術のこと。元々は1990年代に大手電機メーカーの研究所によって、この技術は開発された。そして紆余曲折を経て、2013年同社が開発、及び販売を継承することになり、バイタルセンサーを応用した試作品の開発が始まった。

バイタルセンサーを応用した製品は当初、介護用に開発された。開発当時(2014年)、「後期高齢者が大幅に増加する2025年問題」が話題となり、同社は市場が莫大になると考えたからだ。しかしその予想は大きく外れてしまう。時期尚早のため、介護用のセンサーはほとんど注目されることがなかったのだ。
そうした状況の中で、転機が訪れた。2015年あたりからこの介護用のセンサーを「保育園で使えませんか」という問い合わせが来るようになったという。

2017年当時、保育園での乳幼児突然死症候群(SIDS)による乳幼児の死亡が、大きく取り沙汰されていた。そうした背景から、保育園関係者が介護用センサーに着目。乳幼児突然死症候群(SIDS)を回避する機器としてのニーズが生まれたのだ。この保育園からの引き合いが、同社による保育園の乳幼児向けセンサー開発の後押しをすることになる。

介護用向けのセンサーを乳幼児向けにするには、数年間の試行錯誤を要した。それは、介護用と乳幼児用ではマットに乗る重量があまりに違い過ぎるからだ。乳幼児の重さは3~10㎏程であるが、介護用はその10倍以上の重さがあり、当初乳幼児では軽すぎて感知できなかったのだ。こうした問題点を改善しながら保育園での実証実験をクリアして、保育園用ベビーセンサー「IBUKI PLUS」が2017年度末に発売された。

早速、東京都小金井市の保育園での採用が決まると、様々な保育園から問い合わせがあったという。また東京都がSIDS対策に助成金制度を始めたことも拡販の要因となったとのことだ。

保育園用ベビーセンサー「IBUKI PLUS」の特長は以下の通りだ。

〇布団の下に敷くだけで、高精度に感知するセンサー機能
(身体に直接つける医療機器と比較した場合、心電図の実証実験でほぼ同じデータを取得)
〇本当に呼吸に問題がある場合(=低呼吸や浅呼吸時)のみ反応し、アラートが鳴ること
(競合他社製品は、誤判定が多く、保育士の業務を煩雑にしてしまう恐れがあった)
〇午睡チェックアプリによる、保育士の負担を大幅に軽減
(通常は乳幼児が午睡する場合、呼吸や体動の状態を確認して午睡チェック表にまとめる必要がある。それらの業務をセンサーとアプリによる自動化で代行が可能)

保育園用ベビーセンサー「IBUKI PLUS」は、発売後に保育園業界から絶大なる評価を得た。そういった評価が一般にも伝わり、個人向けにもかなりのニーズが高まっていった。
そして「IBUKI PLUS」に寄せられた様々な意見を反映し、一般ユーザー向けにブラッシュアップした新たなベビーセンサーが「Baby Ai」だ。以下のような特長を有している。

〇マットレス一体型(「IBUKI PLUS」は布団の下に敷くタイプ)
〇マットレスは折りたためてコンパクトに収納。取っ手があるため持ち運びにも便利
〇授乳の際などにアラームを一時停止できる「だっこボタン」搭載
〇熱中症やインフルエンザ疾患を予防する、「温湿度センサー」搭載
〇コンシューマ向けに本体デザインをブラシュアップ
〇性能は維持しながらも、低価格化

専用マットレスは折りたためる形状ため、車での外出の際に持ち運びが可能だ

上記のような特長をもった「Baby Ai」は、今後一般ユーザー向けに市場展開していく予定だ。こうした機器が乳幼児のいる家庭にもっと広まれば、安全性も向上。さらに育児に注ぐ時間にも余裕が生まれ、毎日をより快適に過ごすことができるだろう。

現在は、元々のターゲットだった介護業界からも引き合いが来ているという。前回の開発段階ではタイミングが合わなかったが、今まさに介護の現場ではこうしたセンサーが求められているのだ。乳幼児とは違い、離床を検知する機能を追加することで2019年の秋に発売が予定されている。
また乳幼児、介護向けに加えて同社代表取締役の遠山 直也氏が着目しているのが「睡眠」だ。「私自身も睡眠障害がありますし、いびきに悩んでいる社員もいます。バイタルセンサーで、今後は睡眠改善につながる製品をつくっていければ」と遠山氏は語る。

あらゆる世代のクオリティ―オブライフ向上のために。同社の製品開発にかける情熱はこれからも続いていく。

取材日:2019年3月6日

 

企業情報

株式会社リキッド・デザイン・システムズ

独自のバイタルセンサー技術を用いたユニークなテクノロジーを開発し、様々な業界の社会的課題を解決する企業です。バイタルセンサーを用いた製品開発およびソフトウェアの開発を得意としています。

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