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人工筋肉に用いるための静電アクチュエータを開発ストローブ株式会社

2019.11.26

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新たな駆動機構と注目される静電アクチュエータは、電圧を加えるだけで収縮運動が可能

製品名=「静電アクチュエータ」

軽量で高効率を実現する第3の駆動機構

物を動かす駆動機構として誰もが思い浮かべるのがモータやエンジンだろう。これらに次ぐ第3の駆動機構になり得ると近年注目を集めているのが、ストローブ株式会社が東京工業大学とともに開発した「静電アクチュエータ」だ。

同製品の大きな特徴は、他の駆動機構に比べ圧倒的に軽量であること。構成材料はPETフィルムと銅箔であるため、あるモータと比べた場合、約6分の1の重量で同じ出力を得られるという。

エネルギー効率は、エンジンの30〜40%に対し同製品は50%程度と、人工の動力としては非常に高いことも強みの一つ。しかも、駆動による発熱もない。さらに収縮時間はわずか1000分の1秒程度と応答性に優れ、かつその動きも静かでしなやかだ。

静電力の活用で高効率を実現

同製品の動力には、静電力(クーロン力)※が活用されており、電極となる銅箔を一定の間隔で幾重にも折り重ね、そこに電圧をかけることで収縮運動を行う。銅箔による電極板を積層すれば、ストロークを長くすることも可能だ。

そしてもともと運動の方向が直線であるため、モーターなどと違って回転力を直線運動に変換する必要がないことや、力の保持にエネルギーを消費しないこと、さらに銅箔を最も高い効率を得られるような間隔に重ねることなどにより、エネルギー効率の高さを実現している。

開発のきっかけは、東京工業大学の実吉敬二准教授が進めていた研究に同社の前身となる企業がアプローチしたことで、共同研究契約を締結。その後同社を立ち上げ、製品化に向けた研究開発が進められてきた。
※二つの荷電粒子間に働く引力や反発力。

ロボティクス領域での活躍に期待

軽量なのにパワフルという特徴をもつ同製品の展開として、開発元が考えているのは成長市場であるロボティクス領域だ。高効率の人工筋肉として、特にロボットハンドやウェアラブルのパワードスーツなど、人間の能力を拡大するための製品とは好相性。重量や運動の方向など他の駆動機構が抱えていた課題を一掃できる可能性もある。

モータやエンジンが牽引してきた駆動機構の一般常識を、日本発の静電アクチュエータが覆す──。今後、そのような展開に発展することも十分に考えられるだろう。

取材日:2019年10月8日

企業情報

ストローブ株式会社

2002年に日本石油ガス株式会社初となるベンチャーへの出資で誕生した日本リビング株式会社が前身。その後、08年に関連会社のふくはうち株式会社を事業継承してストローブ株式会社が誕生した。「Science Technology Research And Worldwide Betterment」をミッションに掲げながら、センシング技術や真空技術に強みを持ち、静電アクチュエータの開発のほか、人工血管等DLC成膜、ホルムアルデヒド発生源検知センサーの開発製造などを行う。

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