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美しい円弧状の薄溝加工を可能にする「大口径 放電加工用パイプ電極」株式会社ナンシン

2018.03.13

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精度の高い円弧状の薄溝加工を実現
銅素材の「大口径 放電加工用パイプ電極」

学ぶべきポイント

  • 従来にない薄さと口径を具現化した技術力
  • クライアントのニーズに粘り強く実現する強い想い

超高精度微細管の設計開発・製造などを手がけるナンシン。同社では、車のエンジン内の一部を加工するための製品として、これまでの事業で培ったノウハウを生かして既存製品にはない“大口径”かつ板の厚さが“薄い”という強みを打ち出したパイプ電極「大口径 放電加工用パイプ電極」を開発。車メーカーや金属加工を行うメーカーをターゲットに普及を進めている。

「大口径 放電加工用パイプ電極」は、硬い鉄鋼などを対象に、放電による薄溝加工を行うために用いられる、電気鋳造による純銅製のパイプ電極だ。パイプ電極自体はこれまでも存在していたが、従来品と異なる点は、円の直径がφ6~7ミリ以上と大口径で、かつパイプの板の厚さも標準サイズで0.05ミリ以下と薄いということ。こうした特性により、切削加工やこれまでのパイプ電極では実現が難しかった、美しく精度の高い円弧状の薄溝加工が可能になった。ギザ状の突起物である「バリ」や変形を抑えた特殊カットが行えるほか、口径をミクロン単位で調整することも可能であるという。

同製品の開発は2011年から進められた。もともとニッケル素材の肉薄のパイプの製造を得意としていた同社だったが、クライアントから銅素材による薄いパイプの製品化を提案され、開発に着手。以降、技術的な面での障害はなく順調に開発は進められたが、銅という異なる素材への扱い方について修練が必要だったほか、クライアントを交えた試作品のトライ&エラーに一定の期間がかかるため、完成には約4年の歳月を要することとなった。また、いかにコストパフォーマンスを出すかという点でも苦労があったという。

同社では2015年から同製品の本格展開をスタートさせ、現在は車メーカーのほか、金型の精密加工を行うメーカーなどに提供している。これまでになかった製品ゆえ、市場の潜在需要については未知数な面はあるが、同社管理部営業グループ部長の酒井龍二氏は「製品の認知度を高め、大口径の薄肉のパイプ電極というジャンルを確立したい」と意欲を示す。ガソリンが流れる流路を作れるなどの実績が示すとおり、液体や気体の流路を作ることができるため、酒井氏は「液体や気体を扱っているメーカーにも製品を知ってほしい」とアピールしている。

「大口径 放電加工用パイプ電極」による加工例。バリや変形を抑えたカットが行える。
  • 大口径でありながら薄いという、従来は難しかった構造を実現した株式会社ナンシン。開発面では「技術的な難易度は高くなかった」といい、その言葉の裏側には、ミクロン単位での微細な調整が行える高度な技術力への自負がうかがえる。ニッチな分野ゆえ、認知度向上に時間を要するというハードルはあるが、製品の優れた特性が広く知れ渡れば、一気に利用が進む可能性もがあるだろう。

企業情報

株式会社ナンシン

他社では真似の出来ない 電気鋳造によるマイクロパイプ技術 を通じて、お客様の【部品の小型化】に貢献します。また、パイプ単体の販売だけでなく二次加工或いはアッセンブリを組み合わせた、お客様のニーズに結び付く付加価値提案を得意としています。

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