BreakThrough 成功事例

開発製品の大きな可能性を、情報交換と連携でさらに引き出す株式会社日本抗菌総合研究所

2019.11.26

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株式会社日本抗菌総合研究所代表取締役の富士野彰宏氏


独自の技術で従来にない価値を持つ製品を開発できれば、市場展開の大きな可能性が生まれます。その可能性をさらに広げる上で役立つのが、情報収集や企業の出会いの場となる展示会。除菌・消臭など優れた機能を持ちながら十分に活用されていなかった水酸化カルシウムの水溶性化に成功し、多方面への展開を進めている「株式会社日本抗菌総合研究所」は「新価値創造展」や「新価値創造NAVI」をどのように活用していったのでしょうか。


多様な効能を持つ「水酸化カルシウム」を水溶性化

「消石灰」とも呼ばれる「水酸化カルシウム」は、その強い殺菌力、消臭力などによって古くから疫病の消毒に利用されてきました。現代でも、鳥インフルエンザや豚コレラの対策などに用いられる一方、こんにゃくの凝固剤として食料品にも使えるなど、その幅広い用途に秘められた可能性は大きいです。

しかし一点、「水に非常に溶けにくい」という難点があるため、限られた分野でしか使用されてきませんでした。この水酸化カルシウムを独自の技術で水に溶かせるようにしたのが「株式会社日本抗菌総合研究所」です。

「高い殺菌能力を持つこの物質を水に溶かすことができれば、除菌スプレーやウエットシートなど、さまざまな製品に活用できます。しかし従来の方法では十分水に溶かしきれず、再結晶してスプレーのノズルが詰まったり、工場の製造機器内で固まってエラーを起こしたり、ウェットシートで拭いても白いカルシウムの跡が残るなどの不具合が出てしまう。この問題を何とか解決したいと考えました」(富士野代表)

しかしどの会社も成功しなかった可溶化の技術を実現するには、苦労がありました。

「今までに数々の特許をとってきましたが、やはり開発はトライアンドエラーの世界です。先人が古くから積み上げてきたデータや、自社のそれまでの経験を基にして、何千回、何万回チャレンジを繰り返す——。そんな温故知新とランダムスクリーンの組み合わせによって、もう駄目だと諦めそうな壁を何度も乗り越えてきました」(富士野代表)

他社のニーズに触れることで新たな気づきを得る

こうして開発された同社の「可溶性水酸化カルシウム」からは、ウェットシートや除菌消臭スプレーなど、さまざまなタイプの製品が誕生しています。

「水に溶けないという問題が解決された当社の『可溶性水酸化カルシウム』は、医薬部外品や化粧品などにも使えるようになりました。しかも1%という高濃度で溶け込ませることができるようになった結果、従来とは比較にならない殺菌力・消臭力を発揮。カンピロバクターやノロウイルスを10秒で99.9%除菌できることを確認しています」(同社広報担当者)

水に溶かせる「可溶性水酸化カルシウム」。高濃度の実現により、殺菌・消臭力は従来に比べ大幅UP。

このポテンシャルに満ちた製品をより広い形で展開していくため、同社は2017年に中小機構のマッチングサイト「J-GoodTech」に登録します。そして同年11月の「新価値創造展2017」の会場内で行われた「J-GoodTech商談会」にエントリー。これが製品をさらに進化させるきっかけになりました。

「ある大手企業様からお困りごとを伺ったところ、これまで当社が“除菌・抗菌・消臭分野”で進めてきた開発路線よりも、さらに高い精度が求められることに気付きました。そこで社内に新たな開発路線を立ち上げて研究を進めた結果、近年問題視されているVOC(揮発性有機化合物)の高効率な低減剤の開発に成功。また、今なお連携を続ける総合商社様ともこの商談会で出会いました」(同社広報担当者)

一般的な展示会との違いが活用のポイント

翌年の「新価値創造展2018」では、開発、製造、販売など、より幅広い分野でのパートナーシップ構築を求め、自らブースを出展することになります。

「この出展をきっかけに、さまざまな企業の方から、新しい分野の開発を共同で進めて自社の販売網で流通させたいなどといったお申し出をいただきました。そのなかの数社様とは、今でも深く関わらせていただいています」(同社広報担当者)

同社は「新価値創造展」と他の展示会の違いをどんなところに感じているのでしょうか?

「新価値創造展は、非常に多彩なジャンルの企業が参加するため、一般的な展示会に比べて“同業他社よりも目立つこと”に力を注ぐ必要がありません。また、冷やかしでブースに来る方も少ないのが特徴ですね」(同社広報担当者)

さらに、同展と連動するWeb展示会「新価値創造NAVI」に登録された各社の担当者には決裁権をもつ方が多く、ファーストコンタクトから折衝までスムーズに話を運べることもメリットと感じているようです。

そんな同社は今後、どのような事業の展望を思い描いているのでしょうか。

「自社の可能性を広げる上で重要なのは、何を目的に、誰と手をつないで、何を作るかなんですね。当社では今後も、他社とパートナーシップを組みながら、より安全で、よりみなさんが幸せになれる、今までに世になかった製品を共に作っていきたいですね」(富士野代表)

 

取材日 2019年10月16日


企業情報

株式会社日本抗菌総合研究所

取材にお答えいただいた方=富士野彰宏代表取締役

2015年創業。世界に「ない」ものを創造することをテーマに、研究開発を行う奈良県の企業。化学薬品は一切使用せず、天然資源にこだわるなど地球環境に優しいモノづくりを実践する。あらゆる粉末を水の中で崩壊させることを可能にする「タブレット粒技術」など先端技術の開発や、「可溶性水酸化カルシウム」をはじめその先端技術を活用した新製品の開発などを行う。

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