BreakThrough 企業インタビュー

微細部品へのめっき加工技術で産業界の発展に貢献する株式会社エルグ

2020.03.19

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群馬県富岡市に本社工場を持つ「株式会社エルグ」は、半導体検査装置や自動車で用いられる微細部品への精密めっき技術で知られています。顧客の要望に応える社風と外部連携も含めた熱心な研究開発で、他社の追随を許さないレベルまで技術を磨いてきた同社の専務取締役・桐原聡二郎氏にお話を伺いました。


微細部品へのめっき加工で高い評価

鉄などの金属材料の表面に、金や銀またはニッケルなどの薄膜を被せて耐食性・機能性・装飾性を付加する「めっき」は、コネクタ端子の接続部などにも使用され、電子機器関連部品に欠かせない技術となっています。近年は機器の小型化に伴い、部品自体も微細化が進展。そのなかで微細部品へのめっき技術で高い評価を得ているのがエルグです。

「当社ではお客様の難しいご要望にも、試行錯誤を重ねながら何とか応えようとする社風があります。そうして一つ一つのご依頼に対応しながら、髪の毛より細い外径70㎛(1μm=0.001mm)のピン、直径13㎛の線材を巻いたコイルスプリング、各種パイプ、さらに穴が貫通していない袋穴製品やはりつき品など、幅広い形状の微細部品に対するめっきの技術を磨いてきました」

例えば袋穴製品への内面めっきは、穴の径が小さくなるほど高度な技術が必要です。部品に横穴を空けて対応するめっき会社もあるなか、同社では穴の深さが直径の10倍になるアスペクト比※1:10のものでも、横穴なしで袋穴の奥までしっかりめっきできるといいます。なお、貫通孔のパイプではアスペクト比1:100まで対応可能です。
※穴径に対する穴の深さの比率

絶え間ないベンチマークと確かな管理技術で品質を守る

「世界トップクラス」と自負するめっき技術をさらに磨くため、展示会などで市場のニーズをつかむとともに、部品の微細化や他社の技術動向についてもアンテナを張るという同社。バネやコの字形の絡みやすい微細部品の加工などに、和紙の紙漉きにヒントを得た「網付けめっき法」を取り入れるといった独自の工夫も行っています。

そんな同社の転換点となったのが、約20年前の「微細加工へのニーズに応えるため、研究開発に注力する」という決断でした。長靴を履いて前掛けを付けたイメージが一般的だっためっき業から、「白衣を着ためっき業」への転換に向け、作業環境の整備にも力を注ぎます。

「これが製品の品質向上にもプラスに働きました。電気めっきは外部電源を使用して製品に化学反応を生じさせて金属を析出させる技術で、精度を出すにはめっき液のpHや金属成分の濃度をしっかり管理することが鍵。作業環境を含めたトータルな管理技術の向上に努めたことが、品質の向上にもつながりました」

整備された職場環境で白衣を着て作業する社員たち

志ある会社との連携で新分野への挑戦を目指す

同社では、信州大学、群馬大学、関東学院大学などとも連携しながら、めっき用の薬液や、タングステン、ステンレス、チタンといった難素材への加工技術の研究を進めています。

「タングステンは半導体製造に使う検査装置などにも利用されます。その際、めっきで導電性を高めることで部品としての価値が高まる。しかし、線径が数十ミクロンと細く、変形しやすい素材なのでそれだけ難度は上がります」

めっきは部品の高機能化などでIT技術の進展にも大きく貢献してきました。「金属系素材への微細部品めっきなら何にでも挑戦したい」という思いのもと、加工系ものづくり会社との連携で活躍の幅を広げたいと考える同社が今、注目しているのが医療系業界です。

「例えばニッケルを使わず素材に直接金めっきができれば、人体に挿入する医療機器などにも使うことができます。そうすれば医療の現場に違ったアプローチをもたらせる。そうした志を持ったお客様と一緒に、新しい分野に挑戦していきたいですね」


企業情報

株式会社エルグ

専務取締役・桐原聡二郎(きりはら・そうじろう)

1947年に桐原鍍金工業所として創業。微細部品への精密めっき加工を得意とし、同社が加工した部品は電気、通信、自動車用センサーなど幅広い産業分野で使用されている。めっき技術の研究開発にも積極的に取り組んでおり、社内に専属技術スタッフや試作ラインを持ち、顧客からのニーズに丁寧に対応している。

企業情報ページはこちら

取材日:2020年2月3日

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