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農業のコスト低減・労力軽減・収益向上を実現する水耕栽培装置「浮かせてキット」有限会社グリーンスペース造園

2019.12.24

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家庭菜園から本格農業までをカバーし、活用の場は多様なビジネスへと広がる

製品名=水耕栽培装置「浮かせてキット」

従来の装置が抱える難点を克服

「浮かせてキット」は、野菜などの苗をメッシュポットに植え、水養液を入れた容器に浮かせて育てる水耕栽培の装置だ。従来の水耕栽培装置といえば、貯水槽と栽培槽の2層構成が一般的で、複雑な構造のため、根の絡みや2層をつなぐ管の詰まりなど、トラブルも少なくなかった。しかし1層構成の同製品は、2層式の装置に比べ低コストで導入・運営でき、初心者でも設置・管理が簡単に行える。加えて水養液の量も多いことから、苗の成長が早い上に大量収穫が期待できるのが大きなメリットで、1本の苗からミニトマトで1000個、小玉スイカで7個が収穫できたという利用者の報告もある。

さらに、ニーズに応じた形や大きさの栽培容器を製作しているのもポイント。ベランダや軒下で栽培する一般家庭用から、企業や農家に向けた大型商品まで利用環境に即した製品の製作・提供を行っており、約100種類の作物が栽培できることが確認されている。

導入やメンテナンスのコストを最小化

1層構成であることに加え、「苗を栽培用メッシュポットに入れ、水養液に浮かせて育てる」という栽培方法も同商品の特徴的な点だ。作物の成長に合わせた容器の移し替えも容易で、水養液にはポンプで空気を送り込んで対流を起こし、液中の酸素量を保って根腐れや水腐れを防ぐ。

構造が簡易な上、栽培容器の素材も小型はプラスチックや発泡素材などを用いて価格を抑えており、屋外・屋上・ベランダ・壁面・室内など多彩な場所に一台から設置可能。メンテナンスの手間も最小限になるよう設計されており、多額の初期投資をせずとも、予算・スペースに合わせた形で、小規模から農業に取り組むことができる。

現在、家庭向けの製品は、直販、ネット通販や、道の駅ほか数社への販売委託で展開中。企業・農家向け大型製品は、現地を調査して、試験栽培なども行いながら設計や事業計画を立案している。プロの農家からも多数の引き合いが出始めている。

未来の農業を魅力的な産業に

同製品は、有限会社グリーンスペース造園の代表取締役である小山茂樹氏が、低収益や重労働で日本の農業の就業者不足が深刻化する状況を憂い、4年を費やして完成させたものだ。植物工場のような大規模な設備投資は不要で、運営コストも低水準ながら、労力軽減や収益性向上により農業の魅力を高める可能性を秘めるため、日本の農業改革を目指したものとも言える。さらにソーラーシェアリング事業※に同製品を組み込むことや、店舗向け植物ディスプレイのリース事業、飲食店による“店産店消”など、活用分野は幅広い。

これらの実現に向け、同社では同製品の販売・設置を担う企業を募集するとともに、さらなる開発や製造・普及のための業務提携も視野に入れている。「誰でも簡単に場所を選ばず大量収穫できる水耕栽培キットを作りたい」という小山氏の願いを込めた同製品により、次世代型農業の幕が開く日は着々と近づいているようだ。
※営農も継続しながら、耕作地に支柱を立てて太陽光発電を行う。

取材日:2019年7月26日

 

企業情報

有限会社グリーンスペース造園

1989年創業。造園・植栽事業のほか、エクステリア工事、カーポート・舗装工事、屋上庭園・緑化工事などをプランニングから手がけ、「理想と現実を繋ぐ」をテーマに事業を展開している。「浮かせてキット」の完成後、2014年に特許(6項目)を取得し、翌15年に商品化。日本の農業の課題解決を目指している。

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