BreakThrough 企業インタビュー

「人と地球を健康にする」バイオベンチャーが描く未来株式会社ユーグレナ

2016.08.29

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  • ミドリムシを始め、バイオテクノロジーによって、食料問題やエネルギー問題などの世界が抱える課題を解決することを目指す東京大学発ベンチャーの大いなる挑戦。

ミドリムシが秘めた大きな可能性

ミドリムシ(学名:ユーグレナ)は、大きさ約0.05ミリメートルの微生物で、和名ではムシと名付けられているが、虫ではなくワカメやコンブと同じ藻の一種。光合成で増えるが、細胞を変形させて移動することもでき、植物と動物の両方の生物学的特徴を持っている。「理科の時間に習った記憶がある」という人も多いだろう。

今から5億年以上前に地球に誕生したミドリムシだが、人類に発見されたのは17世紀中頃のこと。20世紀後半にはミドリムシの光合成の研究が進み、日本でも1990年代に食品や医療分野での活用が注目されるようになる。ミドリムシは光と水と二酸化炭素を吸収して育つため、地球温暖化対策への貢献が期待されている。また、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など実に59種類の栄養素を備えていることも分かっており、ミドリムシは世界が直面する食料危機や栄養問題を解決する可能性を秘めている。

ミドリムシの屋外大量培養技術を確立

2005年に設立された株式会社ユーグレナは、東京大学発のバイオベンチャー企業。同社の原点は、出雲充社長が東大1年生の時、バングラデシュを訪れた際に、貧困の現実である栄養失調を目の当たりにしたことだという。その後、東大農学部の後輩である鈴木健吾(同社取締役兼研究開発部長)からミドリムシが持つ大きな可能性を聞き、ミドリムシで食料問題を解決したいとの思いから起業を決意。社名のユーグレナはミドリムシの学名であるユーグレナ(Euglena)に由来する。そしてユーグレナ社はミドリムシの屋外大量培養技術を確立することに世界で初めて成功し、食料、繊維、飼料、肥料、燃料の5つの分野において、ミドリムシの培養技術を基盤とした事業を推進している。

すでに食料分野においては、沖縄県石垣島で培養されたミドリムシの粉末(石垣産ユーグレナ)を原料とするさまざまな製品を開発。サプリメント、飲料、クッキーなどの健康食品が一般向けに販売されている他、近年は化粧品市場にも参入している。自社製品の直販サイトを運営するなど安定した収益を確保しつつ、ミドリムシ/ユーグレナのイメージ向上に努めている。2015年には経済産業省による「第1回日本ベンチャー大賞」において、ユーグレナ社は最優秀賞である「内閣総理大臣賞」を受賞した。

石垣産ユーグレナ

ミドリムシが生み出すバイオ燃料が社会を変える

ミドリムシからバイオ燃料を作る――ユーグレナ社の挑戦に大きな注目が集まっている。ミドリムシから抽出される油分は、ディーゼル燃料やジェット燃料に適した性質を持つ。同社では大学や研究機関との共同研究によって、油分を多く算出するミドリムシ変異体を生み出すための基盤技術の開発を進めている。

石油を使えば大量の二酸化炭素が大気中へ放出されるため、地球温暖化への影響が問題となっている。しかしミドリムシ由来のバイオ燃料では、放出された二酸化炭素をミドリムシが光合成で吸収して再び燃料化するという循環型のエコシステムが理論上可能となる。また穀物由来のバイオ燃料のように、食料価格の高騰を招くこともない。

ユーグレナ社では、2017年夏より京浜臨海部に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの建設に着手し、2019年前半稼動を経て2020年の実用化を目標としている。近い将来、石油の輸入に頼らずとも、ミドリムシを始め藻類から作られた国産バイオ燃料によって社会が維持される時代がやってくることを期待したい。

DeuSEL®プロジェクト

企業情報

株式会社ユーグレナ

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