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消防隊員のヘルメットにも採用。燃えにくいという特性を持った発泡スチロール「カルック」株式会社永和マテックス

2019.03.19

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消防隊員のヘルメット内部のライナーに採用された「カルック」。その名称は軽いという、もう一つの特性に由来している

学ぶべきポイント

  • 消防隊員のヘルメットにも採用され、災害救助時の安全性に寄与
  • 災害に強く、環境にも配慮された素材として社会に貢献

株式会社永和マテックスは、発泡スチロールをはじめとするプラスチックの不燃化・断熱化に特化した研究開発の会社だ。安心・安全に貢献できる新素材・新商品を開発することで広く社会に貢献している。

同社の主力製品となるのが、不燃・難燃の機能を持った、燃えにくい発泡スチロール「カルック」だ。従来の発砲スチロールは、汎用性の高いプラスチックとして世界的に見ても広く使用されていたが、燃えやすいというデメリットがあった。そのため、安心・安全の要素を確保することができず、建材等に使用する際のネックになっていたのだ。

発泡スチロールの燃えやすいというデメリットを解消したのがカルックだが、なぜカルックは燃えにくいのだろうか?
秘密は、「ビーズ」にある。カルックビーズはポリスチレンの原料ビーズを一次発泡させ、そのビーズに一粒ずつ薬剤をコーティングしたビーズ(以下C/Bという)である。カルックに使用されているC/Bは、火炎にさらされると瞬時に融解燃焼して「空洞化」する。さらに「ビーズ」の一粒ずつに施されたコーティング層が、火炎に接触した場合も燃焼せずに「炭化」するのみで粒形状を維持できるのだ。この空洞化と炭化が、火炎と高熱のバリアとなり、延焼の進行を遮断する。このメカニズムにより、カルックは特許を取得しており、国土交通省大臣認定の不燃材料として認定もされている。

“燃えにくい”という他にも、カルックには以下のような特性がある。
「超軽量」「優れた断熱性」「自由な成型が可能」「低吸水性」「リサイクル可能」
こうした燃えにくいことを筆頭に様々な特性が注目されて、カルックは東京消防庁のヘルメット内部のライナー(クッション素材)に採用されることになった。
火災時の消火活動において、従来の燃えやすい発泡スチロールでは、高温のせいで消防隊員のヘルメット内部の発泡スチロ-ルが溶けてしまい、隊員の頭部に貼りついてしまう恐れがある。こうした状況では、消火・救助作業に支障が出るばかりでなく、隊員の命にかかわる危険があり、安全面での対応が課題となっていた。通常の発泡スチロールの場合、炎が近づくと数秒の間に燃えて溶けてしまう。しかしながらカルックを使用したライナーならば、表面は焦げてしまうものの、8分以上炎にさらしても溶けないことが実証されたのだ。
同社と大手ヘルメットメーカーの共同開発によるカルックを使用したヘルメットは、消防隊員用防火帽としてISO規格、EN規格にクリア。現在は、東京消防庁をはじめ、全国消防本部のうち数カ所で採用されている。

カルックは災害に強い素材といえる。このため大震災への対応を考慮して、天井パネルや壁ボード等の建材にも広く活用されている

また、環境配慮の面など、以下のような様々特長をもつ製品だ。

〇フロンは使用していない。
カルックの発泡ガスは、ブタンやペンタンなどの炭化水素であり、特定または代替フロンはもちろんフッ素系ガスは全く使用していない。またブタンやペンタンも製造後、短期間で空気に置換され製品中にほとんど残存していない。

〇シックハウス症候群対策
カルックには遊離ホルムアルデヒド量の少ない樹脂を使用。なおかつ加熱成形と加熱養生により反応を完結することで、「シックハウス症候群」などの原因とされているホルムアルデヒドの発散を極めて少なく抑制。同社測定ではFフォースター等級(ホルムアルデヒドの発散レベルを、星の数で等級分けされたランクで、F☆☆☆☆(Fフォースター)はその中で、発散レベルの最も低い製品に表示することができる最高ランクの等級)となる。

〇ダイオキシンを誘発しない
カルックの構成材料成分には塩素系、臭素系の難燃剤を使用していないため、ダイオキシン誘発はなく、環境にやさしいものなっている。

このような点からカルックは、災害に強く、環境に優しい製品として、今後も建材はもちろん様々な分野で使用されることになるだろう。
同社の代表取締役の植田勲氏は「カルックは元々、ニーズに対応した製品ではなく、燃えにくい発泡スチロールをつくるというシーズから開発した製品です。開発から約20年を経て、やっとニーズとシーズが合致したといえます。」と語る。

さらに「カルックはあくまで素材であり、その素材の使い方を決めるのはお客様次第です。」と植田氏は続ける。現在、商社を通じて、東南アジア諸国に普及させるための大型冷蔵庫の断熱材としての引き合いがあるという。カルックというシーズがますます成長を遂げ、世界の様々なニーズに応えていくことが期待される。

取材日:2019年2月19日

 

企業情報

株式会社永和マテックス

プラスチック(含む発砲プラスチック)の不燃化、断熱化に特化したR&D会社。軽量化・省人化・省エネ化及び安心・安全に貢献できる新素材・新商品の開発会社。

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