BreakThrough 企業インタビュー

米ぬかから生まれた新材料「RBセラミックス」の可能性に賭ける三和油脂株式会社

2020.04.07

SHARE
  • facebook
  • twitter

創業以来70年にわたってこめ油を生産してきた「三和油脂株式会社」は、こめ油抽出後の米ぬかを原材料に、高硬度、低摩擦、低摩耗など多くの特性をもった多孔性炭素材料「RBセラミックス」を産学連携によって開発しました。SDGsの観点からも優位性が高いこの素材の可能性について、同社業務部長の島貫文男氏に伺いました。


大量の絞りカスの高付加価値化に挑戦

健康志向の高まりなどを受け、近年注目度を増している「こめ油」。この油は玄米を精米した時にできる米ぬかに20%ほど含まれていますが、油を抽出した後の80%の米ぬかは、これまで肥料や配合飼料にするしかありませんでした。

「ただ、肥料として売った利益は、ほとんどが配送代に消えてしまいます。この80%から、肥料よりもより高い付加価値を生み出せないか。『RBセラミックス』はこのような発想から生まれました」

米ぬか=Rice Branの頭文字をとって名付けられた、この米ぬか由来の多孔性炭素材料は、山形大学との共同研究により開発されたものです。脱脂米ぬかにプラスチックの原料として使われるフェノール樹脂などを混ぜ合わせ、独自の方法で焼成することにより製造されています。同素材には、鉄鋼と同程度の硬さ、摩擦係数0.13〜0.2という低摩擦、鋼鉄の1000倍の低摩耗など、優れた特性があることがわかっています。

「RBセラミックスを荒く砕くと滑りにくくなるため、ゴムに交ぜて靴底などに採用されています。また細かく砕いたものは逆に滑りやすいという特性を持ち、ベアリングやギヤなどの摺動部材でノンオイルを実現するほか、メンテナンス性の向上にも貢献します」

原材料が日本の主食であるため安定供給も可能

素材が安定供給できるかも重要なポイントです。その点、日本の主食である米を原材料としている同素材には優位性があると言えるでしょう。

「日本の米の消費量は年間700万トンと言われていて、米ぬかの量はその約1割に及びます。そのうち約半分がこめ油業界に流れてきていますので、ニーズに応じて十分安定した供給が可能だと見ています」

同素材は現在、前述の靴底の滑り止めや摺動部材などのほか、オリンピック種目「リュージュ」のソリの氷面と接触する刃の部分、ハワイにある「すばる展望台」の可動部分などにも採用されているそうです。

「SDGsなどを背景に環境に対する意識が今一度高まっていることもあり、展示会などに出展した際にも、この素材への注目度が増しているように感じます。また、安定供給がしやすいのも、この米ぬかを原材料としたセラミックスの大きな強みだと言えるでしょう」

同社のRBセラミックスを活用した製品の一例

多孔性炭素材料「RBセラミックス」の誕生

創業70年という長い歴史を持つ同社ですが、事業の柱は常にこめ油関連。新たに参入した素材業界には戸惑うことも少なくないそうです。

「油の世界はある程度決まった基準があるのですが、素材はお客様によって求めているものが本当にさまざま。こちらもさらに勉強が必要ですが、そうした部分を橋渡ししてくれるパートナーがいるとより心強いですね」

“将来はRBセラミックスを会社の柱に”と考えているという同社。航空機関連、宇宙関連、あるいは水中機械関連などへの展開を見据えつつ、まずはより多くの人にこの素材を知ってもらうことを目標に掲げ、各種展示会への出展を継続しているといいます。

「これがオンリーワンの素材であることは間違いありません。実用化につながるのであれば、業種や業界、使用用途は問いませんので、この素材の活かし方を一緒に考えてくれる多くの企業と出会えれば嬉しいですね」


企業情報

三和油脂株式会社

業務部長・島貫文男(しまぬき・ふみお)

1949年設立。米ぬかを原料とする「こめ油」の業務用、一般用それそれの製造を手がける。独自の圧搾製法によるプレミアムこめ油「コメーユ」や低温圧搾製法による健康素材「ハイブレフ」などを商品化。このほか山形大学との共同研究で、油抽出後の米ぬかを原材料とした硬質多孔性炭素素材「RBセラミックス」の開発にも成功。

企業情報ページはこちら

取材日:2020年2月12日

SNSでシェアしよう

関連記事