BreakThrough 企業インタビュー

24時間365日稼働できる独自システムを活かし、夢のある連携で新価値創造をHILLTOP株式会社

2019.11.14

SHARE
  • facebook
  • twitter

京都に本社を構える「HILLTOP株式会社」は、職人技のデジタル化と、24時間365日の稼働を可能にする独自システムの活用により、国内はもとより米国シリコンバレーなどでも躍進を続ける老舗金属加工メーカーです。同社がデータ活用による業務の標準化に舵を切り始めた38年前に入社し、発展の歴史を支え続けた現東京支社長の静本雅大氏にお話を伺いました。


無人稼働で短納期・高精度を実現

モノづくりの業務フローの中に人が介在する場合、休息は不可欠です。通常、この人が休息している間は、モノづくりもストップせざるを得ません。しかもその業務が特定の人にしかできない“職人技”を必要とするものである場合、深刻度はより深まります。同社が独自開発した「HILLTOP System」は、現代のモノづくり中小企業の多くが抱える上記のような課題を解決しうる夢のようなシステムです。

「HILLTOP Systemなら、PC上で必要な操作を行うだけで、製造機器などを24時間365日稼働させることができます。その上、シミュレーションは実機を使わずにシステム上で行えることもあり、さらなる短納期が実現。しかもこのシステムの基となっているのは、職人たちの技術を細かく細分化し、30年以上をかけてデータベース化したものですから、仕上がりの精度にも自信があります」

同社は、世界の最先端企業が集う米国シリコンバレーにも拠点を開設。スピード感や精度の高さは、NASAやテスラといった名だたる組織や企業からほぼ毎日製作依頼が届くといった事実が証明していると言えるでしょう。

また、人材不足や技術の継承にも課題を抱える現代のモノづくり企業にとっては、“職人技のデジタル化”も見逃せないトピックに違いありません。しかもHILLTOP Systemは、あらゆる製造機械とのリンクが可能。今後モノづくり企業と連携し、閑散期で稼働率が下がった機械を有効活用して生産を行うシェアリング事業なども想定していると言います。

HILLTOP Systemを用いて、PC上で加工シミュレーションを行っている様子

始まりは30年以上前に語りあった夢

HILLTOP Systemの構築がスタートしたのは、高度経済成長期の1983年にまでさかのぼります。

「当時の金属加工メーカーは、作れば作るだけ売れて儲けることができましたが、知的労働は最初の試作品を作り上げたときだけ。その後の量産はすべてがルーチンです。『これを一生続けていくのは嫌だな、もっと多くの業務を知的労働で占めたいな』と、体中油まみれ、鼻の穴の中まで真っ黒になりながら、山本昌作現副社長と夢を語り合っていました」

夢は語るものではなく叶えるもの──。同社は早速行動を起こします。最初に始めたのは、職人技を含む日常業務の見える化でした。

「同じ、あるいは同種の注文に対して、すべて最初からやり直しているのは非効率的です。ですからまず注文の内容を一つ一つ詳細に記録するようにしました。加えて、加工のパターンごとに使う機械の種類、回転数、金属に刃を当てるポイントといった職人たちのアプローチの違いも記録。各製品を作るために最も効率的な方法が何かを探り、それを標準化していきました。当時はPCなどありませんでしたから、これらをすべてノートに書き出していたわけです」

当時の鉄工所には珍しくSEも採用し、独自のシステム構築を推進。1991年に「HILLTOP System」での生産がスタートしました。その後も匠の技の新たなデータ化と、ITや加工機械の進歩に対応したシステムのバージョンアップを繰り返し、今に至ります。

「量産からの脱却を目指した時、『なんで儲けることをやめるんだ?』と周りのメーカー仲間からはかなり不思議がられました。でも私たちは、儲けよりもこのモノづくり業界で働く意味ややりがいを重視したかった。今もその思いは変わりません。業界全体を底上げし、若い子たちにとっての魅力アップを実現したいと考えています」

一緒に夢を語り合える企業と連携したい

同社はかねてより他社の見学なども受け入れて自社の技術や業務内容を公開し、業界全体の発展とそのスピードを加速させることに取り組んできました。この働きかけをより積極的にした一つの形が、先に少し触れたシェアリング事業でしょう。

「HILLTOP Systemは、販売はしていませんが、システムと他社工場の機械などをつなぎ、当社が機械を動かすシェアリング事業の実現に向け、すでに検証を行っている段階です。この事業がスタートすれば、機械利用の最適化による生産性向上が期待できるだけでなく、後継者が育たなかった場合の技術の喪失を防ぐといった面でも貢献できると思います」

同社はこのシェアリング事業の展望を次のように描いています。

「HILLTOP Systemは、遠隔地の工場ともつながることができます。この先に考えているのは世界展開。世界中の工場や機械を当社が動かすことで、HILLTOPクオリティが世界基準になります」

またシェアリングとは別に、同社は今、量産化を請け負うパートナー企業も求めています。

「当社は『同じことは2度やらない』がコンセプトですから、量産はやりません。ただ、量産してほしいという要望はあります。この部分を請け負っていただくパートナー企業は常に探しています」

ではそのようなパートナー企業に求めるものは何か──。静本氏に伺うと、30年前より変わらない熱い思いを語ってくれました。

「お互いに夢をもって連携したい。そして、会社同士というよりも、人と人との出会いを大切にしたいです。社員でも社外の人でも、それぞれの個性こそ新しいビジネス創出や新しい価値創造の推進力だと思います。ぜひモノづくり業界の底上げにつながる新たな価値を、一緒に創造したいですね」


企業情報

HILLTOP株式会社

取材にお答えいただいた方=静本雅大東京支社長

1980年、山本精工株式会社として創業。社業の核はアルミ加工で、宇宙やロボット、医療やバイオなど、あらゆるジャンルを網羅。利益率は、鉄工所の平均を大幅に上回る20%超を誇る。取引先には、国内スーパーゼネコンや、米国ウォルト・ディズニー社、アメリカ航空宇宙局(NASA)ほか、多くの世界トップ企業らが連なる。

企業情報ページはこちら

取材日:2019年9月26日

SNSでシェアしよう

関連記事