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微生物の力を利用して生ごみを液体に変える、業務用生ごみ処理機SINKPIA・JAPAN株式会社

2018.02.08

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“実績ゼロ”から大手コンビニへの導入を実現。独自開発素材で処理能力を向上させた「業務用生ごみ処理機」

学ぶべきポイント

  • 後発の強みを生かした、前例にとらわれない発想
  • 大手メーカーとのタッグによる開発力

業務用生ごみ処理機の製造・販売を手がけているシンクピア。もともとは電気製品の販売をメインに手がけていたが、家庭用の生ごみ処理機の存在を知り、開発に着手した。処理後の生ごみを肥料にする従来の「堆肥型」ではなく、水分として排出する「消滅型」に着目し、大手メーカーの協力を得て独自のバイオ技術を確立。展示会での実演を重ねて製品認知度を高め、現在は業務用に注力し、株式会社イトーヨーカ堂や株式会社セブン-イレブン・ジャパンなどさまざまな場所への導入を進めている。

業務用生ごみ処理機は、自然界から採取・培養した数種類の微生物をブレンドし、微生物が生息するための「微生物ハウス」に球体のチップなどを使用する。筐体内で生ごみと微生物ハウスが混ざり合うと微生物の力で生ごみが分解され、24時間程度で液状となって製品下部のメッシュから排水される仕組みだ。処理容量に応じて20~100キロの小型機から1~2トンを処理できる大型機まで、幅広いラインアップを用意している。

処理能力を左右する微生物ハウスは、大手メーカーの協力を得て、1粒に数億個が生息できるなど従来の木くずや籾がらよりも多くの微生物が生息できる素材を使用。これにより、生ごみの分解スピードが大幅に向上し、臭いが抑えられ、これまでの常識だった室外設置ではなく室内設置を可能とした。また、高熱処理を必要としないため、消費電力の節減などコストパフォーマンスの面でもすぐれた効果が期待できるという。現在は食品メーカーとの提携により自社専用の微生物を開発するなど独自性を高め、さらなる処理能力の向上に努めている。

従来品より微生物が多く生息できる微生物ハウスを採用。処理能力の向上に一役買っている。

現在では株式会社セブン-イレブン・ジャパンやスーパーマーケット、給食センター、食品工場などさまざまな場所でシンクピアの筐体が導入されている。生産量も着実に伸ばし続けており、同社専務取締役の松岡亮介氏は「最近は生産が追いつかないぐらい」と現状を語る。だが、2011年に業務用の販売を開始した当初は、営業先で生ごみ処理機への不信感を表されることも多く、話を聞いてもらえない時期もあったなど苦労を重ねた。また、各メーカーが参加する展示会で、生ごみを処理機に入れる実演を行った際は、注目は集めたものの実現を疑問視する意見も多く寄せられたという。

こうした逆風もあったが、自社製品の可能性を信じて展示会への参加を積極的に行う中で、高い処理能力が株式会社イトーヨーカ堂の担当者の目に留まり、数カ月にわたって実施したテストで信頼を得ることになり、店舗へ本格的に導入。その後は三重県伊勢市の給食センターでも1年間にわたるテストで好感触を得て導入に結びつくなど、着実に販路を拡大していくことになったのである。

今後は、生ごみが大量に出るカット野菜の製造工場への導入など、大型機のプロジェクトを積極化する方針を立てている。松岡氏は「一日に5トン、6トンの生ごみが出る工場はたくさんあり、大型機の市場は大きい」と意欲を示す。一方で、10キロ程度の廉価版の開発にも視野を拡げている。高額なイメージのある処理機だが、市場に廉価版を投入することでマーケットを広げることが今後描くビジョンである。

生ごみは投入から24時間程度で分解。分解後は液体となって下部から排出される。
  • 現在は大型機の拡販に力を入れるシンクピア。だが一方で処理容量が10キロ程度の廉価版にも熱い視線を注いでおり、実現すれば街の小さなラーメン店や個人経営の定食屋など、これまでは規模的に無縁だったさまざまな場所での活用も考えられるだろう。技術面では排水を液体肥料として再利用するアイデアも理論上は可能だといい、今後はさらなる利便性の向上が期待できる。

企業情報

SINKPIA・JAPAN株式会社

生ごみ処理機は歴史がありますが、特に業務用は設備が大がかりでコストがかかるものが多く、普及率が悪いのが現状です。製品をよりコンパクトにして価格帯を下げ、様々な方にご利用いただける環境を目指します。今後は生分解した水分を再利用し、メタンガス化や液肥化の研究も進めながら、海外での普及も視野に入れます。

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