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RFID技術で世界のスポーツ計測市場を席巻マイクロ・トーク・システムズ株式会社

2016.10.24

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RFIDを使ってタイム計測が行われている自転車競技

  • 世界各国のマラソンやトライアスロンなどのスポーツ大会で使用される、RFIDを活用したタイム計測機器を開発したベンチャー企業の軌跡。

RFID技術に未来の可能性を見出す

1994年設立のマイクロ・トーク・システムズ株式会社は、日本では数少ないRFID(Radio Frequency Identification)技術に特化した製品の開発・生産・販売を行っているメーカーである。RFIDとは電波を使って、ICチップが入ったタグのデータを非接触で読み書きするシステムで、バーコードのように一つ一つ読み取り機でスキャンしなくても、複数のタグの情報を一括して読み取ることができる。同社の創業当時、日本ではまだRFIDをどのように活用できるのか議論している時代だった。

マイクロ・トーク・システムズは、テキサス・インスツルメンツ社のRFID用のICチップを使って、まず鍵メーカー向けにRFIDタグ内蔵の鍵をかざすだけでマンションのエントランスや部屋の解錠ができるシステムの開発に成功。このシステムは現在までに500万人のマンション住人が使用しており、同社の事業を支えるロングセラー商品となった。その他、スポーツクラブや温浴施設向けにRFIDを使ったロッカーのシステムも開発され、全国の施設で使われている。

橋本純一郎 代表取締役社長

セミアクティブタグを自社開発し、スポーツ計測で躍進

マイクロ・トーク・システムズでは創業時からスポーツ計測市場での展開を考えていた。RFIDを使えば、数万人が参加するマラソン大会でも個々のランナーの正確なタイムを自動計測することができる。ところがオランダのベンチャー企業が、このシステムを先行して発表し、アトランタ五輪でも正式採用されるなど、またたく間に市場を抑えてしまった。後発で同じようなものを作っても市場を奪うことはできないため、マイクロ・トーク・システムズではそれまでの電池を内蔵しないパッシプ型ではなく、電池を内蔵したセミアクティブ型のRFIDチップを自社開発(J-chipシステム)。セミアクティブ型にはパッシブ型に比べて、より離れた場所にあるタグを読み取れるメリットがある。陸上競技の公式ルールでは選手の胸の位置でタイムを計測しなければならない。先行したオランダ企業のシステムはパッシブ型のため、足にタグをつけざるをえなかったが、J-chipシステムではゼッケンにつけたタグで公式ルールに沿った計測が実現できた。

J-chipシステムは2005年の発表以来、国内外のマラソン大会で採用実績を増やし、世界陸上でも使われるようになった。また自転車レースやトライアスロン、ノルディックなど他の競技でも採用されるようになり、2012年にはITU(国際トライアスロン連合)が、J-chipシステムを標準計測機器に認定している。

J-chipシステムのタグ
J-chip計測受信機

S-Locationシステムで幅広い分野でのRFID活用を目指す

J-chipはスポーツ計測というニッチな市場ではブランドとなったが、より広い分野での活用を目指して開発されたのが「S-Locationシステム」である。これはJ-chipシステムにピンポイントでの位置情報を組み合わせたもの。RFIDタグを使って「いつ」「どこに」「誰が」いたかを自動検知するもので、オフィスや工場などで動態管理に利用できる。約3万人が働く原子力関連施設の入退出システムや大手通信会社の全国の支店のオフィス内管理システムとして採用された他、化学工場や半導体工場、食品加工工場のセキュリティ管理に活用されている。近年では学校向けに児童・生徒の登下校管理システムとしての採用が進んでいるという。

その他、S-Locationシステムを応用したものとして、「室内ランニング自動計測システム」がある。スポーツクラブや体育館内で行うランニングイベントで、個々の走者が「何キロ走ったのか」「どのくらいのペースなのか」をモニタ上に表示するシステムで、GPSが使えない屋内でも複数同時測定が可能となっている。

企業情報

マイクロ・トーク・システムズ株式会社

RFID(Radio Frequency Identification)は当社の主力製品です。1994年創業以来、単独企業としては日本でもっとも長くRFIDに特化した製品の開発・製造・販売を行なっています。

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