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心身の状態を科学データ分析できるウェアラブルセンサ「BIT(ビット)」と生体情報解析ソフト「BITAS(バイタス)」が「元気で長生き」を実現する株式会社人間と科学の研究所

2019.03.12

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左:M-BIT(測定データをメモリーに保存するタイプ)
右:R-BIT(無線通信でリアルタイムに確認できるタイプ)

学ぶべきポイント

  • 心身の状態をデータとしてとらえる方法を開発/li>
  • 本人が気付かない心の状態、ストレス度合いを判断できる
  • データの結果から病院に行く必要度合いをレベルで告知

人生100年と言われる長寿時代を迎え、できれば病気にならずに生きたい、仮になったとしても大事に至らずに過ごしたいと思う人は多いだろう。そのためには定期的に健康チェックをし、早期発見に努めることが大切になる。手軽に自分の身体の状態がわかる方法があれば、誰もが健康チェックを習慣化することができるだろう。
株式会社人間と科学の研究所が製作したウェアラブルセンサ「BIT(Bio-Information Tracer:生体情報追跡装置)」と生体情報解析ソフト「BITAS(BIT Analysis Software)」は、心身の状態を収集、科学データとして分析し、問題のある時に病院に行くように教えてくれる。「BIT」は軽量小型で胸に貼るだけで子どもから高齢者まで利用できる手軽な装置だ。

同社の飛岡社長は、東京大学航空宇宙研究所職員を経て東大のロケット人工衛星の打ち上げ研究にも従事。その後、哲学・社会学・経済学・生物学等を学び、学際分野の研究を進める。そして1975年、新しい時代のニーズに答えるべく、現代人間科学研究所を設立し、政府や地方自治体関係の様々な委託研究を行ってきた。その後、BITの研究・開発を行う株式会社人間と科学の研究所を2009年に設立した。医学とかけ離れた経歴に思えるが、ロケット研究の中で宇宙医学を扱っていた実績が現在につながっているとのことだ。
飛岡社長は、これからの時代はいかに病気を未然に防ぎ、元気に長生きするか、が大きなテーマだと考える。そのためには健康を害してから医療に頼るばかりではなく、自分が自分の主治医となって心身の状態を認識することが大切と考え「BIT」を開発するに至ったという。

私たちの生命は「新陳代謝(生命が必要な物質を取り入れ、いらないものを身体の外に出す働き)」と「恒常性(常に心身を正常な状態に保とうとする機能)」によって維持されているが、それをコントロールしているのが自律神経系だ。自律神経の異常が人体に変調をきたし、逆に体に異常があると自律神経に影響が出る。このことから心身の状態を知る科学データは自律神経の交感神経と副交感神経の働きと変動でとらえられる。身体の状態だけでなく、交感神経と副交感神経のバランス解析によりリラックスしているのかどうか、精神的に辛い状況なのか予測も可能だと飛岡社長はいう。その変化を把握するために有効なのが心電図だ。

飛岡社長

ウェアラブルセンサ「BIT」はサイズ40×39×8mm、重量14gと小型の機器だ。専用の電極パットを胸に貼って各種データを測定する。使い方の異なる2種類のタイプがある。「M-BIT(メモリータイプ)」と「R-BIT(無線通信タイプ)」だ。

「M-BIT(メモリータイプ)」はデータをメモリーに保存し、長時間、ありのままの生活の中でデータを観察するために使用するものだ。睡眠解析や1日以上の行動解析、健康状態の把握に用いる。防水仕様になっているのでシャワーやお風呂での利用もでき、日常の生活そのままに使用できる。
「R-BIT(無線通信タイプ)」は、リアルタイムの計測用。データを無線で送信し、パソコンやスマホで、かかりつけ医などの医療者が観察できる。

「BIT」は3種類のデータを測定している。
1つめは、心電図。心電図は、心臓の電気的な活動の様子を記録する。
2つめは、身体の活動状態がわかる加速度。これは上下方向、左右方向、前後方向の3つの方向の加速の大きさを検出できる加速度センサーが使われているので、装着している者の活動を詳しく測定し、どんな動きをしていたのか推定も可能だ。
そして3つめは、体温を計測している。

「BIT」で得られた3つのデータをもとに、人体の心身の働きを解析するのが生体情報解析ソフト「BITAS」だ。「BITAS」は目的に応じ、いくつかのシリーズがある。
・「BITAS-HEALTH」
基本的な健康状態を解析。不整脈や心拍、呼吸の乱れや糖尿病のリスクなどが把握できる。
・「BITAS-SLEEP」
睡眠を解析。睡眠の質や無呼吸の頻度など、睡眠時の状態が把握できる。
・「BITAS-STRESS」
自律神経の活動を解析。交換神経の活動量など、心身の健康状態が把握できる。
・「BITAS-PHYSICAL ACTIVITY」
身体活動を解析。活動の強度や活動量、消費エネルギーなどが把握できる。
・「BITAS-POFD」
歩行姿勢のバランスを解析。歩行の安定性や姿勢のゆがみなどが把握できる。

例えば健康管理目的のためにチェックする「BITAS-HEALTH」であれば、解析によって、心拍の異常、呼吸の状態、糖尿病の可能性、表皮温度の変化、活動量(運動不足かどうか等の基本項目をトータルチェックし、下図のようなレポートが作成される。検査結果に問題があり、医師への相談が必要では?という場合にはレポートに病院マークがついてくる。

「BIT」のデータをもとにした「BITAS」の分析結果(BITAS-HEALTH)

実際にサービスを利用する場合は、クリニックや検診センターなどで「BIT」を貸与、個人が自身で「BIT」を使用してデータを測定し、その「BIT」を解析センター(または地方回収拠点)にて回収。解析センターは「BITAS」でデータを解析しレポートを作成し、そのレポートが個人やクリニック・検診センターに送付されるという流れだ。
レポートでは病院に行く必要があれば知らせてくれる。そこまでではない場合でも自分の状態がわかり、健康を維持できるのは大切なことだ。

従来の健康診断では病院などですべての検査をしなければいけなかったが、「BIT」は自分でデータがとれるという手軽さから、老人施設での導入や離島、無医村など医者に頻繁にかかることのできない人たちのヘルスケアのためのツールとして期待されている。また、飛岡社長によると運動時の身体の部分の使い方が詳細に分かる点を活かしたスポーツ用の「BITAS」も完成間近だという。

現在、様々な引き合いもきているが、「自分が自分の主治医になってほしい」という開発当初の想いから、一般ユーザーを含めより多くの方に利用してもらうため、販売代理店を探しているとのことだ。「BIT」・「BITAS」の普及は、多くの人の健康寿命の増進に貢献してくれそうだ。

取材日:2019年2月4日

 

企業情報

株式会社 人間と科学の研究所

代表飛岡健は、東京大学大学院航空工学終了、同宇宙研究所を経て、東大のロケット、人工衛星の打ち上げ、研究に従事、財団法人日本ウェルネス協会学術顧問として健康、未病に関する医工学的研究を進めてきた社会、経済、政治、文化、技術、医療に関する調査、研究に携わり、現在は生体センサーの研究開発を本格化する

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