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医療や介護のニーズをくみ取り具現化した「歩行リハビリ支援ツールTree(ツリー)」。大企業と連携し、量産化に向けて開発を進めるリーフ株式会社

2019.04.09

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歩行リハビリ支援ツールTreeは、独自技術の球体駆動モジュールを活用している

学ぶべきポイント

  • 独自技術の球体駆動モジュールを活用し、歩行リハビリ支援ツールTreeを開発
  • Treeは利用者のモチベーションアップと、指導者の負担軽減に貢献
  • Tree量産化に、大企業から資金面と営業力、生産力の支援を受け、開発に集中

2008年に福岡県北九州市で創業したリーフ株式会社は、創業後、「球体駆動モジュール」という基本技術を開発した。球体駆動モジュールとは、装置の底面に球体が設置され、それがくるくる回ることで360度を自由に移動できるものだ。特に斜め方向への進行は、一般的なタイヤだとカーブを描いて方向転換するが、球体駆動だと最短距離を直線的に進むことができる。

この球体駆動モジュールを用いて新製品を開発する際、同社は高齢化社会に着目した。というのも、北九州市は高齢化率が高いため、これからは医療や介護が成長分野になると考えたのだ。

そうして2009年頃、「歩行リハビリ支援ツールTree」の開発に着手した。九州工業大学大学院生命体工学研究科の宮本研究室・吉田香研究室と、理学療法士でもある九州栄養福祉大学小倉南区キャンパスの橋元隆教授と、同社が共同開発を行った。2012年にはプロトタイプが完成したが、その後も現場の意見を聞きながら、改良を続けており、現在は「臨床研究モデル」として一部の医療機関などに提供されている。

利用者を支えることがなくなり、指導者の体力的負担が軽減された

Treeは、脳血管障害や足の骨関節疾患などで歩行訓練が必要な方の、機能回復リハビリを支援するものだ。従来の歩行リハビリは、理学療法士などがリハビリを受ける利用者の体を支えながら、声をかけ、歩数を数え、歩行時間も計測する、指導者の負担が大きいものだった。
しかし、Treeを利用すれば、利用者がTreeのハンドルを持ち、画面に映る自分の足の位置と次の一歩の目標位置を見て歩く。自分の足元を見る必要がないので、うつむかず姿勢よく歩行訓練ができる。
Treeにはハンドルへの荷重や両足裏への荷重、足の位置などを検知するセンサーが付いている。そうしたデータをリアルタイムで表示しながら、利用者それぞれのリハビリ設定に従って、歩幅の目安などをTreeが指示し、声かけも行う。そのため、指導者には心身両面で負担が軽減され、より専門性の高い指導に注力できると好評だ。利用者にとっても、指導者の技量差による影響を受けず、いつも一定の訓練が提供されるので、機能回復の度合いがわかりやすい。回復が実感できたら、モチベーションアップにも繋がり、「リハビリが楽しくなった」と語る人もいるという。

利用者は画面を見て歩くため、良い姿勢で歩行できる

スタートアップ企業の同社は、現場を訪ね、ニーズをくみ取り、開発を行う。何度も現場に出向き、意見を聞き、改良を重ねて、プロトタイプを具現化することを得意としている。だが、スタートアップのみならず、中小企業にとっては、「作る」ことより「売る」ことの方がむずかしいといわれる。できれば、営業面は大手企業の、量産化は生産力のある企業の力を借りたいところだ。

Treeの量産化にあたって、同社は、大企業との連携を実現した。まず資金面は、トヨタ自動車や三井住友銀行が出資する「未来創生ファンド」、大分銀行を中心とする「おおいた中小企業成長ファンド」、パラマウントベッド、電子部品の第一精工から、2億8000万円の出資を受けた。また、営業面はパラマウントベッドが、生産面は第一精工と連携して、同社は、量産化モデルの開発改良に集中する。

Treeはシンガポールでは医療機器として、公立チャンギ総合病院で採用され、同社と共同研究を行っている。同社はこれを足がかりとして、今後はアジアだけでなくヨーロッパへの進出も視野に入れている。
将来的には、北九州市が2016年に介護ロボット開発の「国家戦略特区」に指定されたことも後押しとして、Treeだけにとどまらず、医療やリハビリ、介護に関する課題解決型企業として、さらなる開発事業にまい進したいという。

取材日:2019年3月20日

 

企業情報

リーフ株式会社

球体駆動技術、小型多軸アーム、小型・中型特殊機械装置、その他医療リハビリ向けロボット製作のノウハウを持ち、企画提案から試作開発まで、今までにない発想を利用者視点で実現します。北九州にいながら、世界に向けた先進的な研究開発を行っており、一人一人の意見を尊重し、カタチにしていきます。

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