BreakThrough 企業インタビュー

大学発の手書き文字認識技術の本格ビジネス化を目指してアイラボ株式会社

2016.12.26

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数式認識エンジン

  • タブレットやスマートフォンで一般的となった手書き文字認識技術をコアに、自動採点システムなど教育市場での展開を目指す大学発ベンチャーの挑戦。

東京農工大学の技術を元に大学発ベンチャーを起業

スマートフォンやタブレットの液晶画面に電子ペンなどで「あ」と書くと、それがテキストの「あ」に即座に変換される――これを実現しているのが「オンライン手書き文字認識」と呼ばれる技術。アイラボ株式会社は、この技術のコアとなる手書き文字認識エンジンの開発・商品化を行うベンチャー企業である。

アイラボが持つエンジンは、東京農工大学中川研究室の中川正樹教授が開発したもの。中川教授は人間とコンピュータを結ぶインターフェースの観点から文字認識技術の研究を進めてきた。1990年代には公的機関からの助成金を受けたり、大手企業との共同研究も行われるようになった。大きな転機となったのが、2008年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「大学発ベンチャー創出推進」に採択されたこと。これは起業してビジネス化を目標としたプロジェクトであったため、実用化を目指した研究開発が一気に進んだ。そして2011年12月、中川教授と20年来の付き合いのある堀口昌伸氏を代表取締役として、アイラボ株式会社が設立された(中川教授は同社取締役)。

文字認識の原理

iPad登場が追い風となり手書き文字認識を一般的なものに

堀口氏がアイラボの事業プランを練っていた時に、最大の課題が手書き入力を行うデバイスの問題だった。理想は液晶画面とコンピュータが一体となったものだが、当時は高額なペンコンピュータくらいしか市場に無く、アイラボが自社でデバイスを生産することも現実的ではなかった。ところが2010年4月に「iPad」が発売されたことで状況は一変。ペン入力に最適とも言えるiPadやAndroidタブレットが広く普及した状況の中でアイラボは事業をスタートすることができた。

アイラボの手書き文字認識エンジンは、漢字(JIS第一・第二水準)、ひらがな、カタカナ、アルファベット、ギリシャ文字、数字、記号に対応し、95%(自由筆記)の認識率を誇る。くせ字や続け字、縦書き、斜め書きでも認識可能で、書くと同時にテキストに高速変換される。アイラボからこのエンジンのライセンス供与を受けたソフトウェア会社が各種の手書き認識アプリケーションを開発して販売。同社のエンジンを使ったタブレットやスマートフォン用のアプリを通じて、手書き文字認識が一般的なものになりつつある。2014年、アイラボは「東京都ベンチャー技術大賞 奨励賞」を受賞している。

記述式のテストを見すえた自動採点システムの開発

現在アイラボが最も重要な分野と考えているのが教育市場。通信教育業者、塾経営会社、教育出版会社からの問い合わせが多いという。分数や平方根、指数の認識など中学校レベルの数学の採点にも対応可能。またタブレット上に書いた漢字の筆順や字のきれいさを判定する小学生向けの書写学習システムも提供している。2015年10月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の課題設定型産業技術開発費助成金に採択され、現在「タブレット上で筆記された解答の自動採点システム・サービスの開発」が進められている。

2020年に予定されているセンター試験改革では従来のマークシート方式から記述式に変更される。アイラボでは数十万人が受験するテストを迅速に採点するには、将来文字認識エンジンの活用が不可欠と考え、その実現に向け小学校・中学校向けの自動採点システム開発から始めているという。

漢字の筆順・きれいさ判定エンジン

企業情報

アイラボ株式会社

アイラボ株式会社は手書き文字認識エンジンで社会に貢献します。

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