BreakThrough 企業インタビュー

多彩な連携により、物流に欠かせない“緩衝設計”の価値を高めるカネパッケージ株式会社

2020.03.26

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埼玉県入間市に拠点を置く「カネパッケージ株式会社」は、物流に欠かせない梱包材などの緩衝設計で、医療機器や分析機器などの精密機器メーカーからも高い評価を得てきました。各種連携にも力を入れながら事業の幅を広げ、卵の殻とプラスチックを使ったハイブリッドエコ素材「プラシェル」の普及プロジェクトでも注目を集める同社の常務取締役・高村賢二氏にお話を伺いました。


確かな緩衝技術とトータルな視点で付加価値の高い物流を実現

カネパッケージでは、高度な緩衝技術と資材削減や梱包作業性の向上に加えて、環境対応にまで配慮した包装設計で、医療機器メーカー、各種精密機器メーカー、自動車部品メーカーなどから広い支持を得てきました。

「創業当初から優れた衝撃吸収力を持つ発泡ポリプロピレンの販売を手がけるなど、当社では緩衝技術の向上にこだわり続けてきました。梱包材は製品を破損なく輸送するのに欠かせませんが、安全性を重視するほど梱包の量も増え箱も大きくなりがちです。当社では輸送効率や省資源など、物流全体をトータルな視点で俯瞰しながら、付加価値の高い究極の緩衝設計を目指しています」

同社は時代に即し、社会や顧客のニーズを見据え、制約やピンチをバネにしながら事業を拡大してきました。業界で発泡プラスチック素材製造時のフロンガス使用※が問題となった際も、段ボールによる緩衝研究に力を入れて技術を向上。この研究が、200m上空から落としても中の卵が割れないダンボール容器の緩衝設計や、埼玉県からも表彰された、構造解析ソフトを使った段ボール製梱包材の開発につながっていきます。
※現在は、フロンガス使用は全廃。

海外協力工場との上手な連携でピンチを逆転

同社にとって最大の危機は1996年。当時の受注の約9割を占めていた大手電機メーカーが海外への工場移転を決めたときのことです。それに伴い同社も海外進出を決意しますが、道のりは平坦ではありませんでした。

「海外生産であっても、製品には高い品質が求められます。しかし日本から材料を取り寄せるとコストが合わない。そこで現地の協力工場にノウハウを提供し、現地材料の特性を理解した上で、品質管理と技術レベルの向上に努めました」

現地協力工場との連携により低コスト・高品質の緩衝・梱包材をつくりあげた同社には、多くの日系現地メーカーから声がかかり、各社が他国に進出する際にも声がかかるようになりました。その結果、同社は海外6カ国に拠点を置き、売り上げの海外比率が8割に及ぶまでになりました。

企業連携で環境に優しい素材「プラシェル」の普及を推進

そんな同社は今、新たな企業連携によって環境保全に向けた取り組みを進めています。それが卵の殻を全体の60%配合することで、石油系樹脂の使用量を大幅に削減したバイオプラスチック「プラシェル」の普及を推進する「エコ玉プロジェクト」です。

「当社がフィリピンでのマングローブ植林によるカーボンオフセットなど、以前からSDGsや環境関連の取り組みを進めていることを知って、『プラシェル』の開発元である『株式会社サムライトレーディング』が声をかけてくれました」

同製品は既存のプラスチック成形用の設備で加工でき、価格も通常のプラスチックと同程度。カネパッケージはプラシェルの原料販売と製品開発等を担当するほか、株式会社サムライトレーディングが行っている開発にも協力。卵の殻の使用量を高める研究、石油系樹脂を生分解性樹脂に置き換える研究、また梱包材へのプラシェル導入に向けた研究などが進んでいます。

現在、同プロジェクトに協賛する企業39社は、それぞれ社内備品の素材としてプラシェルを活用したり、プラシェル素材のノベルティを採用したりと、さまざまな形で協力しています。最後に同プロジェクトへの思いやプラシェルの今後について高村氏に伺うと、次のように答えてくれました。

「今世の中にあふれているプラスチック製品の素材をすべてプラシェルに変えることができれば、環境負荷は大きく下がるはずです。価値観をともにするさまざまな企業と連携し、協力の輪を広げていきたいですね」

“連携”に力を入れる同社では、来客時にはハンドベルでおもてなし


企業情報

カネパッケージ株式会社

常務取締役・高村賢二(たかむら・けんじ)

1976年に埼玉県で創業し、緩衝設計から緩衝材・梱包資材の設計・加工までを手がける。フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイ、香港、メキシコにも拠点を持ち、従業員は海外事業所を合わせて1000人超。2017年に完成した本社にあるR&Dセンターには、振動試験機、圧縮試験機、落下試験機など評価機関と同等レベルのテスト機材を揃えている。

企業情報ページはこちら

取材日:2020年2月10日

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