PICK UP

「ナノファイバー量産装置、社長の英断と社員の心意気が製品化を実現」関西電子株式会社

2017.03.17

SHARE
  • facebook
  • twitter

ナノファイバー量産装置を前に、進士国広代表取締役(右)と近藤正博プロデューサー(左)

今回ナノファイバー量産装置を製品化したのは、東京都大田区に本社を置く創業50年の老舗企業「関西電子株式会社」。誰もがその有用性を認めるナノファイバーだが、量産性やコストにまだ課題があり、広く産業分野に応用されているとは言い難い。この状況下、ナノファイバー量産化の検討がいろいろ進んでおり、成果も出始めている。同社のナノファイバー量産化装置もその1つ。以下に、その概要を紹介する。

ちょっと太目のナノファイバーだが、量産性・低コスト化・低環境負荷を重視

ナノファイバーの代表的な製造法としてエレクトロスピニング法(電界紡糸法)があるが、同社の量産装置はメルトブロー方式を採用(図1)。「ナノファイバーとしては太目だが、安定した量産性と低コスト化を実現でき、かつ環境に優しい点に惚れ込んだ」と進士社長は語る。同社の量産装置では、φ100~900nm、長さ200~300mmのファイバーを、1時間あたり6kg製造でき、コストは従来比1/5。エレクトロスピニング法のように、大量の溶媒を使用しないので、環境にも優しい。ファイバーの材質は、安価で比較的良く使われるポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなど。また、生分解性プラスチックの中で最も一般的なポリ乳酸もナノファイバー化可能。今回の一連の装置開発には、東京都中小企業振興公社の補助金を活用したとのこと。

図1:代表的なナノファイバー製造法

図2:ナノファイバー量産装置

ナノファイバーの応用分野は広い!

このナノファイバーの応用分野としては、各種フィルター材を初め、断熱材や保温材(建材、寝具、衣料用)、吸音材、油や水の吸収材、育苗マットなどの農業用資材など、非常に幅広い(図3)。特に、表面を親油性にしたポリプロピレン製ナノファイバーは、たった1gで53.8gの油を吸収できる(一般財団法人化学物質評価研究機構にて測定)。また、保温性や通気性の良さから、寝具への応用にも期待が集まっている。更に今回、ナノファイバーのシート化装置を新たに開発した(図4)。この装置は、ナノファイバー量産装置から噴出したファイバーを、幅1mのシート上に直接付着させるもの。これにより、1m幅の長尺ナノファイバーシートが量産可能となり、アパレル業界からも注目されている。今後は、ファイバー表面に抗菌性や消臭性等の付加価値を付け、応用範囲を更に拡大させたいとのこと。

図3:ナノファイバーの応用例

図4:ナノファイバー・シート化装置

製品化成功の鍵はノズル形状

昨年5月の販売開始以来、これまでに6台のナノファイバー量産装置を販売。開発担当の近藤氏は「装置開発の最大の課題はノズルだった」と語る。7年前から、ノズルの材質や形状、サイズ、個数、目詰まり防止策など、いろいろ試行錯誤を繰り返してきた。結果、現在の36孔タイプのノズルを完成させ、製品化に漕ぎ着けた。従来から、高圧電源を公的機関や大学、企業のエレクトロスピニング法研究者等に販売していた関係で、この分野のネットワークを持てたことが、ノズル完成の最大の要因だったとのこと。

社長の思いと社員の心意気が詰まった量産装置

「開発途中で社員への給料支払いにも事欠くほど、資金繰りに困ったことが有った」と進士社長は振り返る。それでも、ナノファイバーには夢があると信じ、開発を続けた。製品化を実現できたのは、自分の思いを社員がしっかり受け止め、いっしょに頑張ってくれたお陰とも語る。社長と社員の思いは、「本装置をまず国内のお客様に使っていただき、事業に役立ててもらうこと」。まさに、社長の思いと社員の心意気が成功させた「ナノファイバー量産装置」といえる。

笑顔でインタビューに答える進士社長(右)と開発担当の近藤プロデューサー(左)

企業情報

関西電子株式会社

高性能・未来型、高機能性素材、ナノファイバーの量産を可能にした溶融紡糸装置による幅広いアプリケーションの応用技術開発の普及に貢献する画期的で独自性のある新商品の創出を皆様にご提案いたします。

企業情報ページはこちら

SNSでシェアしよう

関連記事