BREAKTHROUGH発想を学ぶ

様々なことにトライしていくと、「これだ!」といえるものと出会えるはず瀬名波 出<連載第4回(全4回)>

2019.02.28

SHARE
  • facebook
  • twitter

今回が、瀬名波教授への最後のインタビューなる。第3回目までは、循環型社会を目標とした、海藻養殖に関する研究を中心にお話いただいた。ラストとなる第4回目は、沖縄という土地柄をふまえた「産学連携の現状と今後」について。そして循環型社会の推進という観点から、再生エネルギー等の新しい視点を中小企業が取り入れることについてお話を伺った。


「地方貢献」のために、沖縄を拠点に産業づくりを

私が指導している琉球大学の学生についてですが、優秀な卒業生ほど、県外の企業に行ってしまいます。こういう状況ですと沖縄県ではイノベーションが生まれにくくなり、非常にもったいない状況です。そのため、地方においても優秀な学生が就職したいという産業をつくりたいと思っています。「地方貢献」という意味でも、沖縄に産業をつくれば社会にとっていちばんいい仕組みになるのではないでしょうか。私自身も地元の地域に貢献できる仕事をしたいと思いますし、産学連携している大学の先生にはそういう想いがあるのではないのでしょうか。

琉球大学では「行動するシンクタンク」というスローガンのもと、産学連携に関しても色々なことに取り組んでいます。特に若手の先生の掘り起こしも含めて、スタートアップ支援事業というものを実施しています。毎年12テーマ程あり、地元の金融機関から融資をいただき、予算をファンドにして企業と一緒に何か開発することを学内で応援しています。
現在、私は大学の産学連携部門の研究支援を担当していまして、色々な相談を受けますが、大学の立場からすると、地方創生的なテーマが取り組みやすいのではと思っています。審査側になる場合が多いのですが、実施していくうちに産学連携にふさわしいテーマがたくさんあることに気づき驚きがあります。

大事なのは、産学連携で今までの知見を活用すること

これまで大学の人間は産学連携の意識が少なかったと思います。研究費が少なくなると研究成果が出せず負のスパイラルに陥りますが、産学連携によって知見を産業に活用できれば、そこから予算や研究費を補えます。大学側も、そういう両輪的な仕組みをつくっていくことが望ましいのではないでしょうか。
私もまさか自分の知識が海藻養殖に使えるとは思ってもみませんでした(笑)。様々なことにトライしていくと、「これだ!」といえるものと出会えるはずです。

最後に「再生エネルギーを使用するなど、新しい視点を取り入れることでの中小企業の可能性とは」について語っていただいた。

再生可能エネルギーを使用するなら、発想の転換も必要

一般的には工業製品は毎月、毎月、安定した量を出荷するという世界です。ところが、再生可能エネルギーと組み合わせて考える際は、「そうではなくてもいいのでは?」と、常識にとらわれず発想する必要があると思います。
例えば、離島である沖縄でバイオマスとなると、優れた光合成能力を持つさとうきび(を搾り取った滓)がバイオガス、バイオエネルギーになります。さとうきびの収穫は12月~3月ぐらいが最盛期であり、その収穫時期にエネルギーの余剰ができることになるのですが、収穫時期限定のエネルギーを使ったものづくり、工業づくりを進めていく、といった形です。
工業も農産物みたいに、つくれる時期とつくれない時期があってもいいのではないでしょうか。近年、働き方やライフスタイルも変化し、多様になってきています。エネルギーに対しても、常に安定した大量のエネルギーを確保しないとものづくりができないという考え方を脱し、量や質に波のある再生エネルギーを受け入れ、上手に活用することがIoT技術の進化などにより可能になっていくのではないか。そういう発想の転換も必要ではないかと思います。再生エネルギーと付き合うのであれば、その再生エネルギーがあるときにものをつくることを意識して捉えると、これまでにない新しい仕組みが生まれてくると思います。

取材日:2018年12月18日

<連載第4回・完>

 

連載

第一回 二酸化炭素を回収して、どのように有効活用すべきかの仕組みづくりが重要

第二回 循環型社会の実現のため、海藻養殖でイノベーションを

第三回 IoT化とAI導入を進めれば、海藻が一番良いコンディションで養殖できる

第四回 様々なことにトライしていくと、「これだ!」といえるものと出会えるはず


瀬名波 出(せなは・いずる)

1967年沖縄県生まれ。1991年琉球大学工学部エネルギー機械工学科卒。1993年同大学大学院工学研究科機械工学専攻修了後、同大学工学部助手に採用。2001年名古屋大学大学院工学研究科工学博士取得。2006年琉球大学工学部准教授、2018年琉球大学工学部教授に就任。2009年から海洋バイオマスを利用したCO2削減・利活用研究に着手。広く学外の研究機関と協働して、沖縄の産業にも貢献できるよう、海ブドウやモズク等といった海藻の早期育成の研究を推進している。

<受賞歴>
・社会貢献賞受賞(2009年)
・工学部貢献者賞受賞(2010年)
・国際学会(IMPRES2010)ベストポスターアワード賞受賞(2010年)
・ロッキーチャレンジ賞受賞(2013年)

SNSでシェアしよう

関連記事