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経験の有無より挑戦心こそが重要
海外医療現場も注目する精密医療器具の課題奈良精工株式会社

2018.01.17

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治癒に要する日数を従来の10日前後から2日前後への短縮を可能にする、ばね指手術器具「ダブルガイド式腱鞘切開器」

学ぶべきポイント

  • 得意とする技術、経験を他分野でも積極活用する応用力
  • 国内にとどまらず海外の医療現場のニーズに合わせる対応力

光学機器部品やOA機器部品といった、精密機器の加工を得意とする奈良精工株式会社だが、その強みはそれらに限ったものではなく、精密な医療機器分野にまで及ぶ。奈良県立医科大学と共同で開発した「ダブルガイド式腱鞘切開器」も、同社の技術と経験から誕生した精密医療器具だ。

通常、手術を必要とするばね指(指の付け根の腱鞘が炎症を起こし、引っかかりが生じる現象)の場合、治癒までに10日前後かかってしまう。10mmから20mm程度の切開を必要とするため、縫合する必要性があるからだ。しかし、同社開発の「ダブルガイド式腱鞘切開器」では2mm程度の切開にとどまるため、傷口には医療用接着剤をつけるだけでよく、治癒までの日数も2日程度に短縮することを可能にした。

海外は医療機器展開の重要な拠点

「ダブルガイド式腱鞘切開器」の製品化には2年を要したが、共同開発を行った同大医師と密にコミュニケーションを図り、開発を進めた結果、同大医師の理想とする形に仕上げることができた。同大医師による同器具を使用したばね指手術症例数も100を超え、その有効性について確認する段階までたどり着いた。日本での展開にはまだ時間を要するが、海外では日本よりも、それぞれの医師が使いたい器具を使う傾向が強いことから、海外の医療現場でも同製品は注目を集めている。

海外事情を考慮した展開へ

日本では「ダブルガイド式腱鞘切開器」は繰り返し使用可能な低コスト医療器具として展開しているが、アメリカなどでは使い捨てが基本となることから、展開する国に合う形にしていく必要がある。

現状は手のばね指にのみ対応する製品だが、一言で手といってもその幅は広いことを踏まえ、ばね指に限らず手のひら全般に対応できるよう開発を進めるべく同社は試行錯誤を続けている。解決すべき課題は多いが、手術を必要とする患者の笑顔のための挑戦は続く。

  • 医師のニーズを的確に、素早く形に反映させることができるのは、長年培った精密加工技術とその経験があってこそ。「これまでそういった経験がないから」と言い訳するのではなく、積極的に挑戦を続け、コミュニケーションを図ることで信頼関係を築き、作り上げるというその姿勢は大いに見習いたい。
    誇れる技術に、別の視点で知見が加わり、新たな価値を生み出す好事例として、今後の動向にも注目していきたい。

企業情報

奈良精工株式会社

我社は、1996年に医療機器の製造業として許認可を取得しました。手術器械に於いては、顧客にニーズに合った製品を設計開発し、製品化後の認可届出も行っています。我社は、第一種医療機器製造販売業者です。多品種少量生産を得意とする会社であり、常に前向きにユーザーの声を聴き、製品化のできる企業です。

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