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いざという時に、命を救う!災害救助用「STOレスキュージャッキ」竹内工業株式会社

2019.02.05

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近隣地域に、必ず1台は備えておきたい救助用ジャッキ。普及しやすいようにと、価格もできるだけの低価格を目指した

学ぶべきポイント

  • 既存の事業で培った技術を活かし、災害時の人命救助という新たな課題に挑む
  • 目的を特化し、災害救助のプロの意見も聞きながら、時間をかけて検証と開発
  • ジャッキ使用体験会を行うなど、普及活動にも積極的

数年おきに、大規模な地震が起きている日本。日本で暮らす私たちにとって地震という災害は、決して他人事では済まされない。もしも、自分の住んでいる地域で大規模な地震が起き、家族や友人が下敷きになったら――。竹内工業の「STOレスキュージャッキ」は、そんな事態に備えるための製品だ。

大地震において、倒壊した家屋などから、人命を救い出すことは一刻をも争う重要な課題だ。災害救助には、「72時間の壁」と呼ばれる言葉があり、倒壊した家屋などから人命を救助する場合、72時間(3日間)が経過すると生存率が急激に低下する。しかし、このような非常時には、レスキュー隊の救助の順番は、なかなか回ってこない可能性がある。火災が発生し、火の手が目の前まで迫っているかもしれない。海沿いの地域では、津波も心配だ。いざというとき、頼りにできるのは、自分たちの力。尊い命を救えるかどうかは、正に、私たち一人ひとりの手に託されている。

同社は、長年、自動車搭載用のジャッキを製造してきた専門メーカーだ。1929年に、当時としては画期的だった「自動車用ねじ式三重伸長ジャッキ」を考案して以来、業界のトップとして、事業を拡大してきた。現在は、主に、スクリュージャッキ(通称:だるまジャッキ)とパンタグラフジャッキの2種類のジャッキを製造し、トヨタ自動車の専用ジャッキとして市場に供給されている。

タイヤ交換などをするための車載用のジャッキが思わぬところで活躍したのは、1995年1月17日、兵庫県神戸市を中心に、大きな被害を出した阪神淡路大震災。倒壊したがれきなどを持ち上げて、人命救助をするのに、車載用のジャッキが大変有効だったのだ。

阪神淡路大震災において、倒壊した建物や家屋の下敷きになった約3万5000人のうち、約4分の3の命を救ったのは、近隣の小さなコミュニティの助け合いだったという。そういった状況を受けて同社が2014年ごろから開発を始めたのが、災害救助に使用目的を特化した「STOレスキュージャッキ」だ。消防士など、災害救助のプロの意見も聞きながら試行錯誤を繰り返し、2018年5月より販売を開始した。100㎏のものを持ち上げられる成人男性はそうそういないが、このジャッキを使えば、小学校低学年の子どもでも、車を持ち上げることが可能だという。

人の力を最大限に補助するSTOレスキュージャッキ。磐木と呼ばれる木切れなどを挟みながら使用することで転倒を防ぐ

災害時を想定し、わずかな隙間があれば使用することが可能な点も特長の一つだ。通常のパンタグラフジャッキの場合、ジャッキの高さの分だけの隙間を作ってからでないと使用できず、たとえ差し込めたとしても、低い位置では持ち上げる能力を十分に発揮できない。

ジャッキは、災害時の救助用品の三種の神器(バール・のこぎり・ジャッキ)にあげられている。ただし、レスキュー用として、備えられていることの多いパンタグラフジャッキは、仮に1.5t用と書かれていても、 低い位置では、その能力を発揮できない

しかし、STOスクリュージャッキは、低い位置からでも持ち上げられるよう爪が配置されている。2.5㎝の隙間があれば、その爪先を入れることで最大23.5㎝の高さにまでものを持ち上げることが可能だ。爪先で広げた隙間に木切れなどを挟んで固定しておき、さらにジャッキの爪頭部を入れて持ち上げることで、最大で42.5㎝の高さまで間口を広げることができるという。ジャッキの爪先では約500㎏、頭部では約2000㎏までの重量に耐えうる。

爪先と頭部の2段階で、2.5㎝の高さから、42.5cmまでものが持ち上げられる

また、通常のジャッキは垂直方向にものを持ち上げるが、がれきなどの不安定なものを持ち上げることを想定し、わずかだがジャッキの上がる方向に傾斜がつけてあり、持ち上げるものと爪先がうまくかみ合うように工夫している。倉庫などに置きっぱなしにしたままメンテナンスが不要な点や、重量が約5㎏とコンパクトで持ち運びがしやすいため、いざという時にすぐに使える扱いやすさも、災害時を想定した資機材として、非常に適しているという。

将来的には、一般家庭への普及を目指したいとしているが、まずは、自治体、町内会、自主防災団体、消防団、企業など、小さなコミュニティに備えてもらい、いざという時に、役立ててほしいという。そのために、防災関連のボランティア団体などとともに、ジャッキ使用の体験会を行うなど、普及活動にも積極的だ。また、防災の啓もう活動を行っている消防局などにも、その有効性を知ってほしいとしている。

STOスクリュージャッキで、300㎏のものを持ち上げる体験会。大人が数人かかっても、持ち上げられないものが、小学生でも持ち上がる

また、ジャッキ本体についても、まだまだ改良を重ねていく予定だ。ジャッキを使用する人にかかる負荷の軽減や、使用により生じていく摩耗対策などについて、プロの意見も聞きながら、より安全に快適に使用できる製品づくりに取り組んで行きたいとしている。
ジャッキひとつで、命を助けられるかもしれない。消火器やAEDなどのように、身近な場所に必ず備えておくものとして、広く普及することを期待したい。

【動画】STOレスキュージャッキ使用の様子

取材日:2019年1月8日

 

企業情報

竹内工業株式会社

昭和4年よりジャッキを造り続けております。そこで培った技術力や開発力をもとに新たな製品を生み出し、幅広く社会に貢献して行くことにチャレンジしている会社です。

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