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「社長の笑顔が創り出した世界最小非破壊検査装置」(後編)つくばテクノロジー株式会社

2017.02.22

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写真左から齊藤典生X線事業課長、王波代表取締役社長、高平純治取締役CTO、海老原正美営業部長

  • 2.世界最小の小型X線検査装置 ―超小型X線管、それを活用したユニークな検査装置群―

前回に続き、つくばテクノロジー株式会社のユニークな非破壊検査装置、特に小型X線検査装置群を紹介する。

超小型X線管、単3乾電池でも強力なX線を発生

産総研の技術を活かして、同社が協力会社と開発したX線管は、直径φ45mm長さ100mmの超小型でありながら、出力は150keV(図5)で、他社製品に引けを取らない。この成功の最大要因は、電子源にカーボンナノ材料を用いたこと。これによって、電子源を超小型化するとともに、従来の熱陰極方式X線管のようなフィラメントの予備加熱が不要となり、単3乾電池でも最大150keV、5mAのパルスX線を安定して放射できるようになった。同社は、このX線管を用いたユニークな小型X線検査装置群を近々製品化予定。以下にその一部を紹介する。


図5:超小型冷陰極X線管(150KeV出力)針葉樹型カーボンナノ構造体を電子源に使用

自走式X線電線検査装置─高所不安全作業の撲滅に貢献

鉄塔間に張られた送電線の検査、例えば腐食状態の確認は、従来から人手に頼っており、高所作業による不安全性が問題となっている。同社では、この不安全作業撲滅を目的に、自走式X線電線検査装置(図6)を近々製品化予定。この電線検査装置には、同社が開発した超小型X線管とイメージセンサー板が3セット、送電線を取り囲むように組み込まれている。モータ駆動により送電線を自走しながら、X線で送電線の異常有無を確認する。特に、腐食部が存在すると、送電線内に密度変化が生じるため、X線投影により確認可能とのこと。現在、実際の送電線を用いて、自走性能や測定性能を確認中。


図6:自走式X線電線検査装置 自走しながら電線表面の腐食状態を検査。高所作業撲滅を目指す

医療用X線撮影装置─自宅に居ながらX線検査を受けられる日も間近!

同社が同様に開発した超小型X線管を用いると、自宅に居ながらX線検査を受けることも可能となる(図7)。従来のX線検査装置は病院等に設置され、移動が困難だったが、同社が現在開発中のポータブルX線装置は、医師が持ち運び可能な小型軽量タイプであり、在宅患者や災害・事故現場で動けなくなった人にも検査が可能となる。

また、従来の大型X線装置では、3次元X線画像を得るために64方向からの撮影データが必要であり、非常に大掛かりであったが、王社長が得意とする画像処理技術を用いると、たった4方向からの画像データだけで3次元画像(多数の断層画像)を得ることができるとのこと(図8)。これに、同社の超小型X線管を用いることで、コンパクトな3次元X線撮影装置が実現可能となった。これまでのX線画像では確認困難だった病巣も、容易に観察可能となるため、医療分野からの期待が大きい。本装置も近々製品化予定。


図7:在宅用ポータブルX線撮影装置 超小型X線管により実現可能
図8:コンパクト3DX線撮影装置
従来は64方向からの画像データを必要とした3D画像が、4方向からの画像データで実現

夢は世界的企業にすること

常に笑顔が絶えない穏やかな王社長。毎日の仕事は過酷なはずと思うが、6~7時間はしっかり寝るとのこと。驚いたことに、会社の作業場に卓球台が置いてあった。聞いてみると、社員と卓球をやっているとのこと(実は、図5の超小型X線管は卓球台の上で撮影したもの)。技術・製品に厳しく、社員に優しい王社長の夢は、「当社を世界的企業にすること」という。今後も、王社長の「つくばテクノロジー株式会社」から目が離せない。

企業情報

つくばテクノロジー株式会社

産総研技術移転ベンチャーで、最先端の技術を採用した非破壊検査装置を開発・製造・販売している会社です。「接触検査から非接触検査へ 聴く技術から視る技術へ」を実現するため、製品開発をしています。

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