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工場内の「オイルミスト濃度」を計測して安全・快適な作業環境を明陽電機株式会社

2019.03.21

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赤外線を利用した光散乱方式の「オイルミストセンサ」。検出部にパルス駆動方式を採用し、高感度で高速な応答を実現

学ぶべきポイント

  • 船舶で培った技術を応用し、異分野にて用途開発を行った
  • 「工場内の作業環境の改善」の要望に応えた

金属部品の加工現場などで発生する「オイルミスト」は、作業環境の悪化や生産性の低下、工場周辺の環境に影響を与える問題として、近年、重要視されてきている。基準値や測定の義務などの規制はされていないが、自動車部品の関連工場などでは、独自に自主規制値を設定して管理を強化する動きがある。

オイルミストとは、空気中に浮遊している油のことで、大きく2つに分けることができる。1つは、金属加工に使用する潤滑油が加工物や工具に当たることで微細化されて飛び散った「油剤粒子」。もう1つが加工熱によって発生する「油煙」だ。このオイルミストによって、長期間のうちに、工場内の設備や空気は油で汚れ、従業員の健康にも影響を及ぼすという問題が懸念されている。製造現場では、加工方法の工夫や、除去装置の設置などの対策が必須だ。

このような場面で、オイルミストの濃度を測定するのに役立つのが、明陽電機株式会社の開発した「オイルミストセンサ」だ。

同社は、もともと、船舶用エンジン周辺センサのメーカーとして創業。様々な船舶関連の計測器を開発し技術を研鑽してきたことで、国内トップのシェアを持っている。主力とする製品の一つが、ディーゼルエンジンのクランクや船内におけるオイルミストを測定する「オイルミストセンサ」だ。

船舶のクランク内などで、潤滑油が高温に熱せられるとオイルミストが発生する。その発生量が一定数値を超えると、船内での爆発や火災が発生する危険性が非常に高まるため、重大事故を防ぐためには、船舶においては「オイルミストの濃度の監視」が欠かせないのだ。

海上の安全性の確保に重要な役割を担ってきた同社のオイルミストセンサを、金属加工の現場など、工場内でも使えるセンサにしてほしいという声を受け、開発したのが工場用のオイルミストセンサだ。工場で掲げられている自主規制値を受けて、目視できないほどの低濃度のオイルミスト(数mg/㎥程度)から検出できるようにした。開発にあたっては、低濃度の環境を安定的に作って、センサを調整することに苦心したという。また、船舶で使用する製品とは異なり、強度は求められないため、変わりにどんな場所にでも簡単に取り付けられるようにと、軽量・コンパクトであることにこだわっている。

金属の切削加工などにおいて、発生するオイルミスト。低濃度から、高濃度まで幅広い値の計測が可能。コンパクトで取り付ける場所を選ばない

通常、多くの工場で行われているのは、「粉じん計」によるオイルミストの測定だが、その方法で計測できるのは、機器を使用した瞬間の、断続的な計測に限られるという。
一方で、同社の開発したオイルミストセンサは、連続して環境中のオイルミストの量を測定し、その変動の監視を可能にする。データロガーやブザーなどの機器に接続すれば、データの変動を記録したり、上限に達した際に警報音を鳴らしたりすることもできる。

工作機械の内部に設置している様子。オイルミストの濃度を数値化することにより、作業内容や状況ごとの変動を、より把握しやすくなるという

現在は、要望を受けた工場に、サンプル品を納入し、確認実験を進めている。今後は、オイルミスト除去装置のメーカーなどと共同で研究を進め、製品改良に活かしていきたいとの考えだ。金属加工の工場内では、オイルミスト除去装置を常時稼動していることが多いが、濃度や作業状況によって、除去装置の運転や強度を制御していけば、省エネにもつながると考えている。
作業環境の改善というテーマは、ものづくりにおける重要な要素のひとつだ。“海上”の分野を得意としてきた同社は、その技術で、“陸上”の分野にも貢献していきたいとしている。

取材日:2019年2月14日

 

企業情報

明陽電機株式会社

当社は1936年創業以来、電機、電子分野で先端技術の研鑚に励み、船舶用計測器メーカーとして、成長してまいりました。各種センサー技術は、国内外の高いご評価をいただき、多数の導入実績がございます。船舶で培った技術を各分野に提供できるよう精進して参ります。

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